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n番煎じの異世界転生  作者: ココちゃん
24/55

第24話




「それで、奴隷である僕は、何をしたらいいのかな?」


魔導具のことなどを熱く語った後に、アビエルが質問してきた。


「ん?何かしたいこたあるならしたら良いよ?」


特にして欲しいこともないし?


「僕は一度命を失ったと思ってる。今生きているのは、リリのお陰で、命の恩人であるリリのために、これからの僕の人生を捧げたいんだけど…色々興味深いし」


重っ!

そんな決意、要らないから!

うちには既にレオンがいるから!



「えっと、捧げなくていいよ?」


「どうして?僕は奴隷になるのは初めてだけど、見たことはあるよ?契約形態は色々あるようだけれど、少なくともみんな使役されていて、主人に尽くしていた。

僕もリリに尽くすよ」


尽くすとかやめて欲しい。


私は、誰かに尽くされなくても充分、幸せに生きていける。


「や、私は、私の能力とか誰にも言わないでいてくれたり、私を攻撃したり陥れたり、不利益になるようなことをしないでくれたらそれでいいの」


「でもレオンはリリの側に仕えてる」


「レオンは、私の盾だもん」


なぜか、隣でレオンが嬉しそうにしている。

わんこが褒められてると思って、シッポをゆっさゆっさしてるみたいだ。

盾扱いで嬉しいのか。いい奴だ。



「僕もリリを守るよ」


アビエルはなおも食い下がる。

自由にしていいって言ってるのに。


「でもアビエルはあまり戦闘に向いていないから、かえって足手まといになるよ」


「それは、そうかもしれないけれど」


「アビエルを助けるためにレオンが死んだりしたら、私は私のことが許せなくなる」


アビエルを連れて行くと判断した自分に。


「そういう時は、僕を助ける必要はない」


「そんなこと出来ないし、自ら命をかけて盾になるのも許さない。もちろんレオンにもそれは許してないよ」


「…リリは厳しいな」


「厳しいよ。二人の主人だからね」


「じゃあ何をしたらリリは喜んでくれるのかな」


「何もしなくていいよ?自分のやりたいことをやってよ」


「リリの側に仕えて尽くしたい」



わー、話が一周して戻った。案外頑固だな。


「私は冒険者として生計を立てているんだけれども、私よりも体力が無く、私よりも狩りに必要な魔法が使えないアビエルは、正直、町の外に連れて行きたくない」


これ以上ないってくらい、はっきりお伝えする。


「じゃあ、リリの家を守って、リリの為に魔導具を研究する」


自宅警備隊かあ。

でも、自宅がないんだよね。


「今はこの宿に泊まってて、自分の家は持ってないよ」


「じゃあ、僕がみんなで住む家を探すよ」


一緒に住むこと前提か。


「ちょっと待って。アビエルはこの町に住んでるんでしょ?帰る家、あるんじゃないの?」


「姉上たちの家に居候させてもらってて、前々から出て行けって言われてたんだ。ちょうどいいし、引っ越しする」


「えー」


押し強いな!なんなのこの粘り強さは。


「どんな家がいいの?広さは?場所は目立ちたくないなら郊外?生活用の魔導具は任せて」


恐ろしいことに、話がどんどん進んでいる。

悪い感じはしないから、このまま乗っかっても良いのかもしれないけれど、今日初めて会った人と一緒に住むことに抵抗があるよ。

倫理的にどうなの。


でも奴隷契約してるんだからいいのか。


冒険者なんかは、年齢性別関係なく、自由に生きてるみたいだし。


「打ち合わせなどをする大きめの部屋の他に、台所や、食堂、あと各自に一部屋ずつは必要だろう」


なんでか、レオンが家の希望を答えている。

おい。


「レオンはアビエルと一緒に住むのに賛成なの?」


レオンの意見も聞いておこう。


「アビエルもリリの奴隷で、リリに尽くしたいと思っているのだから同じ家に住むべきだろう」


レオンは、当然と言った顔で答える。

そういうものらしい。


「そうだよね!で、リリの希望は?」


味方を得て、力をつけたアビエルを止める術はもうない。


「湯船にゆっくり浸かれる広めのお風呂と、臭くないトイレとか…。あと、お金や、高価なものを安全に仕舞っておける倉庫かな…」


「承知したよ。場所はどの辺りが良いの?町の北西は高級住宅街で、治安は良いけどいきなり冒険者は住めない。町の中は、商売やってる人が店舗兼住宅として住んでる地域。騎士団の奴らは、騎士団内部の寮に住んでいて、所帯持ちは、官庁街の住宅に住んでる人が多いよ。

あと、冒険者たちは、冒険者ギルドと正門の間にある家を借りて住んでる」


「へぇー、そうなんだー」


さすが、この町に住んでるだけあって詳しいな。


「治安はなるべく良い方がいいが、この町は全体的に悪くないので、場所には拘らなくて良いだろう。目立たない方を重視で。

あと、庭に木を植えるなどして道路からの視界を遮りたい」


なぜか住環境について、レオンが積極的だ。

普段あまり意見を言わないから、なるべく好きにさせてあげたいと思うのだけれども。


「そんなにお金ないから、家賃の高いとこは無理だよ」


いかんせん、先立つものがない事実には目を背けられない。


「金は、俺たちがもっと効率良く狩りに行けば稼げるだろう。魔法のかばんもあることだし」


「なるほど」


はいはい頑張りますよ。あるじ様だしね。


「少し心当たりがあるから任せて。明日、行ってくるよ」


「よろしくー」


あれ?いいのか?




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