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n番煎じの異世界転生  作者: ココちゃん
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第11話




出てきたのは昨日と同じようなゴブリンが6体。

レオン1人でも充分倒せる相手だ。


ゴブリンは全部レオンに向かって行ってるけど、レオンは余裕で買ったばかりのショートソードを嬉しそうに振り回して首を刎ねている。さっくさくだ。


私も今覚えたばかりの氷魔法を使ってみようと思うんだけど、対象が動くから間違ってレオンに当たりそうで怖い。

あ、でも死ななければヒールで治せるか。


木を倒した時よりも少ない魔力で氷の矢を射ってみる。

狙いはレオンから少し離れた奴。立ち止まってるから行けそう。頭を狙う。


グシャ


狙いは良かったんだけど、肩から上が無くなった。怖い。


他のゴブリン5体の首を刎ね終えたレオンが、無表情で私が倒したゴブリンを眺めている。


「頭はどうした」


「その辺に散らばりました」


「討伐証明部位の左耳は残すようにしてもらいたい。魔石のある左胸も、だ」


「善処します」


「だが、経験を重ねれば、もっと強めの魔物も狩れそうだな。魔力は大丈夫なのか」


「これくらいなら全然問題ないみたい」


「戦闘中に魔力が枯渇すれば死に繋がる。魔力量の把握は必須だ」


「枯渇する時って、何が前兆のようなものはあるの?」


「それも人それぞれなんだが、俺の場合は、疲労が加速度的に積み重なって、枯渇すると力が抜けて最悪気を失う」


「なるほど」


戦闘中に気を失うのは危ないね。自分が死ぬだけでなく、仲間も巻き込む。早めに検証せねば。


会話している間に、レオンはザクザクとゴブリンから魔石を取り出し、左耳を切っていた。

私の倒したゴブリンは、魔石だけはギリ回収出来たらしい。左耳は不明。

どこ狙うと良いのかなあ。心臓が魔石っぽいから、心臓はダメだよね。下半身とか?なんか上半身だけしばらく生きてそうだから精神的なダメージ来そう。それだとやっぱりヘッドショットってことかね。

威力が足りないと仕損じて逆襲されそうだから、少しずつ弱める感じだな。


「また来たな」


町の門から徒歩1時間程度の、街道からも近い草原でも、こんなにワラワラと魔物が湧いてくるんだ。戦闘手段を持たない人は町から出ちゃダメなレベルだ。


4体のゴブリンだった。

今度は先制攻撃してみたら、1体はほどよく倒せたんだけど、残りの3体が全部こっちに向かってきて焦った。


「っ!俺より先に攻撃するな!」


「ゴメン」


すぐに2発目を発動したけど、不規則に動いているものには当てづらい。外れてより一層ピンチになる。

それでもレオンが一瞬のうちに追いかけてきて残り全部倒した。つえー。


「落ち着け。焦れば死ぬだけだ」


「ハイ」


「一発で倒せても、敵が複数の場合は、他の奴のヘイトを取るから、お前は俺より後に攻撃してくれ」


「わかった」


解体する間もなく、再びゴブリンが襲ってくる。なんなのここ、巣とかあるの?

この調子で来るならいいけど、いきなりドバッととか、強いの混ざったりとかは無理だよ。レオン大丈夫?


今度の団体様は8体。確実に減らしたい。

本当は射程距離、私の方が遠いし、先制攻撃は私からの方が良いと思うのだけど、パートナーに信用されるレベルじゃないので大人しく待つ。

あと、レオンが近いと撃ちにくいっていうのもある。

それでも今回は、ほどよくヘッドショット出来た。顔の上半分だけグシャっと。こわ!


この調子で、次もグシャ。

落ち着いて、魔力量を一定に、グシャ。


「安定したな。お前は休んでいろ」


褒めてくれた。わーい。


レオンは黙々と魔石と左耳を回収していく。


雷の魔法だと、氷みたく手元で発生させなくても、直接魔物の近くでスパークさせれば、こっちにヘイト来ない可能性あるんじゃないかな。氷は形を整えないといけないから遠くでってのはなんとなく無理っぽい。

たぶん、自分で無理って思った時点で不可能になりそう。逆にイメージさえ出来れば、結構何でも出来そう、魔法ヤバい。


「魔法って、どれくらいの人が使えるの?」


「さっきも言ったが、魔法使いは貴重だ。俺程度の魔力レベルでも珍しく、国で保護されるのだが、同年代が集められる魔法学校の生徒数は、10人もいれば良い方だ」


「少なっ!」


「ただ、お前のように国で保護されていない魔法使いも一定数存在するのも事実で、国によっても差があるだろう」


「そか」


「実際、お前が魔法使いで冒険者登録しても、特に騒ぎにはなっていないところを見ると、たしかに珍しいが、いなくもないといったところなんだろう」


「なるほど」


「だが、お前の魔力は俺とは桁違いだ。先ほどから、続けて使っているようだが、枯渇の気配がない。そして、信じられないが、その完成された氷の攻撃魔法は、今日初めて使うのだろう?」


「うん」


「お前を守るのは骨が折れそうだ」


レオンは、そう言ってフッと肩で笑った。

なんか無駄にカッコいい。無精ヒゲの癖に。


「魔物や山賊から守るってだけでなく、国とかからも守ってくれるってこと?」


「お望みのままに」


マントをバサっと翻し、手を胸に当てて優雅に礼をした。王子様か!あ、亡国の騎士様か。


「ここにいれば延々とゴブリン狩りが出来そうだが、他も見たいので、場所を移そう」


「了解」



そのまま町から街道がある方の周辺を適当に歩いて見て回った。


昨日の馬車の所で、犬系のワイルドファングが襲ってきたので倒した。馬車の残骸はあったけれど、死体は骨と皮くらいしか残ってなかった。自然に還ったらしい。


町より北は未開の地で、強い魔物が出る大森林なんだそうだ。当然、低ランク冒険者は立ち入り禁止だ。


夕方になる前に町に戻る。

冒険者ギルドで魔石と皮を換金してから、レオンから何か欲しいものはあるか聞かれたので、レオンの装備って答えたらまたため息をつかれた。


だって前衛なんだし、装備整えてくれないと怖い。昨日出会ったばかりの異世界の全然知らない人だけど、既に精神的にもかなり依存してるのを自覚してるし。


大剣はまだ我慢して貰うとして、中古の革の鎧を買った。いくらかマシになったんじゃないだろうか。

あと、背負うタイプのカバンと、解体用のナイフもついでに。


「マジックバッグとかないのかな?」


「なんだそれは」


「物理法則を無視して、何でも入っちゃうバッグ」


「そんなものがあるのか」


「いや、ないですよね」


今日の『森のこりす亭』の晩ごはんは、何かの肉のステーキとパンと昨日と同じ赤ワインだった。野菜が食べたい。




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