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秘密結社、三人団 -神の国計画-  作者: 山口遊子


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第22話 都会の釣り1


 中身はまだまだだが、一応拠点もでき上った。


「涼音も何か食べるか?」


「いえ、おなかがまだもたれていますので、遠慮します。花子さんも凄いですが、この部屋はもっと凄いです。こんなことができるなんて」


 花子の凄さは涼音ではまだ分からないだろうがな。涼音が俺たちと別行動する時には花子を護衛に付けてやろう。そうすれば少なくともあんなことにはならないだろう。


「まあな。この部屋もトルシェが作ったんだが、いくらでも広くできるぞ。

 なあ、トルシェ?」


「いやだなー、ダークンさん。いくらでも広くなんてできはしませんよ。そーだなー。一回の拡張だとせいぜい10キロ四方? 高さは1キロくらい? そんなものですよ」


「そうだな。いくらでもってことじゃなかったな」


 一般(じん)から見たら十分『いくらでも』だと思うが、そこらは大賢者・・・トルシェの矜持きょうじが言わせているんだろう。


「今日は何をする? 俺は何か面白いことはないか新宿辺りをブラブラしてしてみようと思ってるんだ。まあ、釣り(フィッシング)とでも言っておこうか。それと俺の服を補充するついでに花子の服を揃えるつもりだ。フルフェイス付きの全身鎧を着てそこらを出歩いていいなら楽だが、さすがにそれはできないだろ? 花子用に目出し帽をどこかで売ってればいいがな。目出し帽といっても目ん玉もないからサングラスも要るか。あれ? 花子には耳の穴しかないし鼻もないからからサングラスをかけることができないじゃないか。まあ接着剤で目出し帽に貼り付けとけばいいか。接着剤を忘れないようにしよう。トルシェたちは何をする?」


「わたしは、ここにもうすこし手を加えて拠点らしくします。電気とネットの配線をしてネットが使えるようにすることと、早いうちに窓も作りたいし。電気機器は電気屋に行って買ってくるつもりだから、新宿に出るかアキバに出るか。大きな冷蔵庫を何台も入れるのなら業務用冷蔵庫になるのかな。そしたら電力が不足する。となると、発電機と燃料と排気か。

 まっ、それくらいなら何とかなるでしょ」


 俺ならスケルトンを1000体も召喚して、自転車をこがせてダイナモで発電すれば何とかなりそうくらいしか思いつけないが、相手はトルシェだ。どっかから発電機を買ってきてスケルトンにでも据え付け作業させて、その後のメンテも何とかできそうだ。まさに拠点、いや秘密基地だな。


「それと、クレカの手続きをネットでしておきます。クレジットカードがあった方が便利そうですから」


 なるほど、トルシェの言うとおり、クレカはあった方がいいだろう。


「アズランは何をする?」


「私の方は運転免許に必要な書類を作ってきます。住所はここでいいのかな?」


「大丈夫です。ここの住所は東京都渋谷区恵比寿、XX丁目XX-XXXです。紙に書きますね」


「今聞いて覚えたから大丈夫」


「はあ」


「アズランは記憶力が良いんだよ。この中で記憶力に問題があるのは俺くらいだ。

 それで涼音は今日はどうするんだ?」


「私は特に用事はありませんので、ここでのんびりしていようと思っています」


「そうか。昼はどうする?」


「下のテナントでいただこうかと思います」


「それじゃあ、俺も一度昼にはここに戻ってくるか。

 アズランも昼までには書類は何とかなるんだろ?」


「できると思います」


「それじゃあ、みんなでそろって昼にしよう。いいな」


「はーい」「「はい」」



 そういえば、俺の姿が映像にした場合はっきり映らないとトルシェたちが言っていたが、俺たちが神と半神という理由かもしれないし、本来この世界のものではないからという理由かもしれない。試しに花子を映像化してみてちゃんと映っていなければ、俺たちがこの世界のものでないことが理由と考えていいだろう。それなら、これから先いろいろとやり易い。トルシェの召喚するものなんかもいろいろヤバ目の物が多いから好都合だ。


 試してみるか。


「トルシェ、お前のノートパソコンで花子を写真と動画で写してみてくれないか? それがぼやけて判別できないようなら、これから先、花子の他に召喚しても、ちゃんと映らないと思うんだ」


「ちょっと待ってください。今ノートパソコンを出しますから」


 すぐにトルシェがノートパソコンを収納キューブから取り出して起動し、カメラの付いている画面の方を花子に向け、カメラのシャッターを一度切ってから、その後動画を撮影し始めた。ただ、カメラを通して画面に映っている花子は最初からぼんやりして、人のようなそうでないような、というくらい判別不能な何かになっていた。これなら再度見る必要もない。


「写したものをわざわざ見なくても、ちゃんと写らないことが分かるな」


「そうみたいですね。これならやり放題?」


「限度はあるが、何をしても俺たち同様、本人である証拠がないわけだから、最終的には心霊現象で片付けられてお終いだろう。

 それじゃあ、俺はさっそく釣り(フィッシング)に出かけてくる」


「行ってらっしゃーい。大物頼みまーす」「行ってらっしゃい」


「えーと、釣り(フィッシング)ですか?」


「都会のバ○を釣りに行くんだよ」


「なるほど」


「期待しててくれ。大物が釣れそうな予感がする」


 女神の予感はよく当たるのかどうか、これも記憶にないが、当たるに違いない。当たらなければこっちから当ててやればいいだけだ。都会の荒波というやつを教えてやろうという親切心、いや女神の『慈悲』の心からのことだと理解してくれればいいよ。



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