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第86話 路標

 警視庁捜査一課長、高森義英は警視総監に辞表を提出した。


「なんのつもりだ?」


 警視総監室。

静かなその空間に総監の低い声が響く。


「妻の事件を公表したことによって、総監にもご迷惑をおかけしてしまいました。私は責任をとって退職します」


 沙耶の死の真相によって揺らいだのは政財界だけではない。

その事実を闇に葬ろうとした警察にもバッシングを受けている。


「お前の仕事はなんだ?」

「事件を解決することです」

「わかっているじゃないか」


 総監はニヤリとした笑みを浮かべた。


「辞任で責任を取るのは私の仕事だ。お前の責任の取り方はこれからも、目の前の事件を解決することだ」


 そう言って、総監は辞表を破りゴミ箱の中に放り投げた。


「これからも頼むぞ。高森義英捜査一課長」

「ありがとうございます」

「さて、ここからは俺の仕事だな」


 一課長である義英が退出し総監は一人になる。


「被害者遺族は真実を知って、初めて前に進めるか。あいつらしいな」


 翌日、総監は記者会見を開いた。

高森沙耶の死の真相が闇に葬られていたのは、元警視総監の指示の元だったことを公表し謝罪した。


 そして、その責任を取って警視総監の座を辞任。

後任は現在の警察庁次長が就任することになった。


 

 ♢



 大きな仕事を終え、義英は子供たちが待っている自宅に帰る。


「父さんな、警察に残れることになった」

「よかったじゃん!」

「俺が養わなくて済みそうで何よりだ」


 ニュースでは総監の記者会見の様子が流れている。


「でも、この人じゃなくて前の警視総監がやったことなのに今の総監が辞任する必要あるのかな」


 柚月が言った。


「組織ってのはそういうもんだ。今回は流石に総監が守ってくれなきゃやばかった」


 総監が庇ってくれなきゃ間違いなく捜査一課長から降ろされていたし、警察も辞めなければならなかっただろう。


「親父、新しい警視総監ってちゃんとしてるのか?」

「ああ、あの人なら大丈夫だ。熱い正義の心を持った警察官だよ」

「親父がそう言うんだから大丈夫か」


 後任の天童は、世間体など気にしない、出世名誉に興味なしといった性格で数々の陰謀と戦ってきた。

元々キャリア組であったし、その功績を評価され警察庁でNo.2にまで出世した。


 警察組織内では、毒薬と言われて恐れられていた人物だ。

しかし、組織を浄化するには時に彼のような劇薬が必要なんだと思う。


「これからは、お前たちと一緒にいられる時間も増えると思う。今まで、すまなかったな」


 沙耶の一件が解決し、親父の中では余裕ができたんだろう。


「親父はさ、これからも被害者に真実を届けてよ。俺たちに真実を届けてくれたみたいに」

「随分、いっぱしのこと言うようになったな」


 そう言って親父は俺の頭をわしゃわしゃっとした。


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