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第77話 世界一のプレイを

 千鶴さんが夕食を食べ終わって、俺のプレイを見せることなった。


「ここが僕のゲーム部屋です」


 俺は、自分の部屋へと案内する。


「おお、世界一のお部屋か。ちょっと緊張するね」

「普通の部屋ですよ」


 莉央みたいに、完全にゲーム部屋としている訳ではない。

それなりに高いスペックのパソコンを置いてあるくらいである。


「どうぞ」

「お邪魔します……」


 千鶴さんは遠慮がちに部屋へと入った。


「じゃあ、早速一戦プレイしますから、見ててください。そこの椅子座っててください」


 一戦やるのも20分から30分程度はかかるものだ。

その間、ずっと立ちっぱなしなのもしんどいであろう。


「ありがとう」


 俺は、パソコンの前のゲーミングチェアへと座る。

そこから、プロホプルを立ち上げて、ソロモードでプレイする。


 25分ほどパソコンに向かって集中する。


 千鶴さんはじっと、俺の手元と画面を見ている。

世界一のプレイヤーの手元を生で見れる機会なんてものはなかなか無いだろう。


 そして、最後の1人の敵を倒す。

画面には《champion》と映し出されていた。


「まあ、大体こんな感じです」


 俺は、マウスから手を離してヘッドフォンを外す。

当然のごとく優勝した。


「すごい……! すごいです!さすがですね!」


 千鶴さんは興奮おさまらぬ感じだ。


「どうですか? ちょっとは参考になりましたか?」

「超参考になりました! こうすればいいんですね! 早速、明日から試してみます」

「それは良かったです。でも、良くゲームする時間なんてありますね」


 親父の様子を見るに、ほとんど家に帰ってきて居ない。

警察官にゲームをする余裕なんて無いものだと思っていた。


「まあ、一課長は私たちから見ても働きすぎくらいだと思いますよ。それに比べたら私たちにはちゃんと非番もありますから」

「あ、そなんですね」


 どうやら、親父の忙しさが異常なだけらしい。


「いつか、倒れたりするんじゃないかって、私たちも心配しているんです。一課長が居なくなったら、捜査一課の戦力は激減しますから」

「まあ、大丈夫だと思いますよ。親父、結構しぶといですから」


 今まで、いくつもの難事件を執念で解決してきたと聞く。

実際にその姿を見ていない俺たちからは何も言えないが、そう簡単にくたばるような人では無いと思う。


「そうだと、思いますけど、やっぱり心配ですね」

「でも、安心しました」

「え?」

「俺と妹以外にも親父のことをそんなに心配してくれる人がいるなんて」


 親父はその性格上、自分で全ての責任を抱え込もうとする所がある。

それは、子供の俺からしても見ていて分かる。


「私だけじゃ無いですよ。捜査一課にいる捜査員は全員、高森さんの背中を見てきたんです。そんな姿を見せられたら誰だった野心を揺さぶられますよ。そして、同時に心配でもあるんです」


 確かに、今の親父を失ったら警視庁にとっては大きな損失となるだろう。


「ありがとうございます。そんなに、親父のことを思ってくれて」


 母を亡くして親父はどこか変わった。

そんな親父を恨んだことは無い。


 しかし、こうして親父を見て憧れてくれる人がいるのは、家族としてすごく嬉しかった。

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