やんちゃな左慈
「は!せい!や!」
「ん!ふっ!た!」
庭の右側を使用して
桜と蓮が久方振りに稽古をしている
何でも、俺の回復を待つ間
体を温めておきたいからだそうだ
「行くわよ!空ちゃん!」
「ふふ…いつでもどうぞ♪」
もう半分は意外にも
貂蝉と空が対峙していた
拳を握る貂蝉に相対するは
我らが金髪メイドの空
漆黒の鎧と、目元を隠した鬼面を身につけ
手には巨大ハンマーを持っていた
長年、鍛冶をやっていたからか
ハンマーの扱いは見事なもの
しかも、空が振るうハンマーの重量は
岩打無反魔と同等
それを軽々と振る姿は圧巻であった
剣や格闘は苦手なのは
知っていたがまさか、こんな才能が
あったとは。俺の周りの女性は皆
規格外が多すぎるんだよな、だいたい
目を細め、俺の周りの女性を思い出し
苦笑していると左慈が帰ってきた
「左慈。ちゃんと、元居た場所に
返してきたか?」
「あぁ、返してきた
綺麗に流れていったよ」
と、左慈は満面の笑顔を浮かべ
縁側に腰掛けた
「そうか。なら茶にしよう
いろいろありすぎたからな
少し休憩しても罰は当たらないさ」
「あぁ、確かに疲れた…」
左慈のため息を聞きながら
台所へと向かい
茶と菓子を持ってくる
「そういえば、助かったよ
俺の首は何とか繋がったようだ
于吉が言ってたんだが
左慈が進言してくれたんだろ?」
茶を置いて、左慈の横に座る
「ん……ほっ…
別にどうということはない」
左慈は茶を一口啜るとほっとして和む
「しかし…よくあの華琳が
許したよな。何をしたんだ?」
俺も庭を眺めながら茶を啜る
稽古は桜と貂蝉が優勢のようだ
「なに、曹操を誘拐しようとしただけだ」
「へぇ、曹操を誘拐しようと、ね…
なら、華琳も話を聞いてくれるよな!
って!何でやねん!」
"すぱ―――ん!"
ハリセンで左慈の頭を叩く!
「痛い。なんだ?トイレか?
なら、裏の川でするといい
ヤツもきっと喜ぶだろう」
頭をさすりながら、訝しげに眉を寄せる
「違うよ!つーか、于吉は魚か何かか!?
そんなことより、誘拐ってなんだ!?
華琳を誘拐しようとしたのか!?」
「ん、流れで!」
左慈は頷くと親指を立て微笑むと
経緯を簡潔に語り始めた
「俺は北郷が生きていること
そして、帰ってくることができること
そのための準備をしていることを
伝えるために魏へ単身乗り込んだんだ」
目を瞑り、左慈は情景を思い出しながら
ポツリ、ポツリと語り始めた
魏へやって来た左慈は街を闊歩していた
魏の城門前まで行ったが
『何?天の御使いだと?
ふざけるな!天の御使い様は
我らが隊長"北郷一刀殿"お一人だけだ!
あの方を愚弄するのなら
生かしてはおけん!首をハネてやる!』
「全く取り合ってはくれず
さらには、捕らえようとする始末だ
消えて半年も経っていたが
お前への信頼は少しも揺らいでなかったよ」
良かったな、と左慈は笑った
「だが、捕まっては元も子もない
そこは一度退いて、態勢を
立て直すことにしたんだが
思いの外、お前の警備隊がやるものでな
手加減を忘れて全員、伸したんだ」
「お、お前な…」
頭を抱え、頭痛に耐える
「まぁ、待て、まだ話は続くんだ
その後、思わぬ乱入者が現れてな」
『…お前か。隊長の…隊長の部隊を
壊滅させたのは…』
『…ええ度胸しとるやん…自分…
生きて帰れると思うなや…』
『…北郷隊は隊長の…忘れ形見なの…
それを…こんなにしくされやがって
そのチ○コねじ切って…
性転換させてやろうかなの…』
「あれは久々に鳥肌がたったぞ
しかも、なかなかどうして
強いじゃないか…どうにも
ワクワクしてな」
左慈は"ガッ!"と拳を握りしめ
子供のように目をキラキラさせた
「まさか…お前…」
俺はその結末を想像して青ざめる
「あぁ、伸した」
「すま―――ん!凪!真桜!沙和!」
今は見ること叶わない愛する三羽烏に
不出来な息子の非礼を心から詫びる
「でも、俺も頑張ったんだぞ
命まで取らないようにな」
誉めろ、とバカ息子が胸を張る
「やかましい!」
"すぱ―――ん!"
「痛いというに!そのハリセンは止めろ!
地味に痛いんだ!」
両手で頭を押さえて、涙目で抗議を上げる
「それはよかった…
バカにつける薬が出来て俺は本当に嬉しいよ
で?当然、それでは終わらないだろ?」
俺はハリセンの具合を確かめながら
自分でもわかるくらい鋭い眼光で
左慈を見つめる
「う…それは」
それから語られたものは
想像していたモノの斜め上をいった
凶行としか言えない出来事だった
「三羽烏を倒したために
俺は危険人物とみなされ
より強者が送り込まれて来たんだ」
『あはは!お前、やるじゃないか!』
『ふっ、無駄口だよ。夏侯惇』
「いきなり、ラスボスじゃないか!」
俺は思わぬ人物の登場に驚愕し立ち上がる
まさか、春蘭とは驚いた。北郷隊に加え
魏の将が三人もやられたんだ
警戒レベルがそれだけ
引き上げられたってことだろう
「いや、本当に強かったな
おまけにだ…」
『姉者!華琳様の命が下りたぞ
これは魏への侮辱に値する行為
捕らえるのではなく
早急に首をハネよ、とのことだ
私も出るぞ。魏を、華琳様を
そして、北郷を侮辱した罪
簡単に拭えぬことと知れ!』
『うむ。華琳様の命なら仕方ない
すまんが、遊びはここまでだ
本気で行くぞ』
前方で夏侯惇が剣を構え
後方から夏侯淵が弓を構えた
夏侯姉妹の殺気が膨れ上がり
その場に援護に来た兵と
野次馬化した民は皆、動けなくなる
「先程の三羽烏とは比べものに
ならないほどの凄まじい殺気
そして、その実力も素晴らしい
もうこれはガチでヤルしかないよな!」
またも目を輝かせ、拳を突き出す
「………」
『はああぁぁ!!!』
『……そこ!』
夏侯惇の攻撃の隙を狙う左慈に対して
夏侯淵が絶妙のタイミングで矢を射る
必然的に左慈は手数が削られ
守りに徹するしかなくってくる
「あの連携は素晴らしかったな
何度か肝を冷やした場面もあったぞ
それでも粘っていたんだが
曹操も我慢の限界だったんだろう
親衛隊の二人を投入して来たんだ」
『春蘭様―――!』
『秋蘭様―――!』
『季衣と流琉か!』
『なるほど、増援か。華琳様も
我慢の限界らしい。仕方ない。
季衣!流琉!姉者の援護に回れ!』
『分かりました!』
『御意です!』
夏侯淵は親衛隊の二人に
指示を飛ばすと、三人の合流のために
左慈へ威嚇射撃を開始する
射撃を避けるために左慈は
大きく、後ろへ飛んでしまう
結果、三人の合流を許して
しまうこととなった
「親衛隊も合流したのか
四人を相手に闘うことになるわけだ
よく無事だった、お前」
俺は素直に感心してしまう
それはそうだ、相手は魏の猛将四人
夏侯惇、夏侯淵、許緒、典韋なのだ
「それは、流石に無理だ」
俺の問いに、左慈は手を振り苦笑した
「えー…無理だんだ…」
期待を裏切られ、俺は口を尖らせる
頭の中では左慈が四人を相手に
九朗義経顔負けの
大立ち回りを演じていただけに
その落胆も大きかった
「いや、流石に猛将四人を相手に
大立ち回りは自殺行為だ」
「でも、左慈が最初にいた世界では
関羽さん、張飛ちゃん、趙雲さん
馬張さん、黄忠さん
更には貂蝉を相手に
大立ち回りしたんだろ?」
指折り数えて"ほら!六人も"と左慈に示す
「あれは、于吉もいたからな
于吉の仙術で敵を翻弄し
出来た隙を使って討っていたに過ぎない
一人となれば、三人が限界さ」
と左慈は肩を竦めて見せる
「じゃあ、それからどうしたんだ?」
「簡単さ、逃げた」
身体能力だけなら貂蝉と並ぶからな
と自傷気味に笑う
「なるほど、身体能力が皆より上でも
センスやら判断力は別だからなー」
実際に戦場を駆け回っていた彼女たちと
戦えば、僅かな綻びから敗北は必至
左慈は戦い慣れはしているが
それは蜀の将に対してのみ有効なのだろう
なんたって何十何百回と蜀の将と戦って
来たんだから
「まぁ。また世界を渡って、魏の将と
何十何百回と闘いクセを見れば
相手に出来る人数は増えるさ
だが、目的は魏の将の殲滅ではない。
あくまで曹操に会うこと、それだけだ」
「北郷隊と三羽烏を
殲滅しておいてよく言うよ」
「事故だ、事故。骨のあるアイツらが悪い
だから、俺はそれ以上悲しい犠牲を
出さないために直接、城に乗り込んだ」
「その犠牲を生んだのは
お前の好奇心だけどな…」
「それでな…」
人の話、聞いてください…
『くっ!逃がすか!』
『屋根を走るなど、アイツは隠密か!?』
四人は魏の兵を連れて
隙をついて屋根に飛び上がった左慈を追う
『あの方向…城に向かっている!
まずい!華琳様が危ないぞ!秋蘭!』
『わかっている、姉者。城門を閉めろ!
ヤツを絶対、中に入れるな!』
指示が飛び、速やかに門が
閉じられてしまった
『あっはっはっ…!残念だったな!
これで貴様は袋の鼠だ!』
左慈は閉まった門に阻まれ立ち止まる
後ろから夏侯惇の声が聞こえたが
近づいてくる気配はない
上手いこと追い込んだことで
安心感が生まれたのだろう
『ふっ…夏侯惇…もしもの話だが
全うしなくてはならない使命を
背負った時、目の前に壁が現れたら
お前はどうする?』
門と向き合ったまま
振り返ることなく
腰を落として拳を構えた
『そんなの決まっている!
我らの行く手を阻むものは
また立ちふさがる気も起きないほど
完膚無きまでに破壊し尽くすだけだ!』
『ふっ…同感だよ、夏侯惇将軍』
夏侯惇の言葉に小さく笑うと
ゴソゴソと長い袖口から
なにやら取り出す
それは黒いモサモサ…
『?何だ?その毛の塊は!薄気味悪い!』
囲んでいた兵も将も
異様な物体に数歩下がる
『具死堅さん!俺に力を貸してくれ!』
左慈は叫ぶと、そのモサモサを被る
左慈の姿は立派なアフロに口髭
そして、ボクサーグローブ
そう、日本南端の島国最強の男に
"なりきった"のだ
アフロ左慈の闘気が跳ね上げり
兵と将はまた、数歩下がる
『くっ!何だ!この闘気は!あの髪か!
あの髪にヒミツがあるのか!』
夏侯惇の叫びに左慈は振り向くと
『ちょっちゅね~(そだね~)』
と口元を上げて微笑んだ
「まてえぇ――――い!!!」
話を聞いていた一刀は立ち上がり叫んだ
「何だトイレなのか?
これからが良いところなんだが
茶を飲みすぎだぞ北郷
まぁ、トイレなら裏の川でするといい
ヤツが泣いて喜ぶだろうさ」
「違う!そうじゃなくて、なんで
そこで黄金の左手が出てくるんだよ!
具死堅さんに謝れ!」
「自分を高めるためだ。他にも
ガッツリ石丸、ボンバー家・猪森
中国ならブルース・琳が得意だ!」
"スパ――――――ン!!!"
「禁止!大御所のモノマネ禁止!」
ハリセンの先端を突きつけ命じる
これはあまりに危険すぎる
早急に矯正しないと
「ふぅおおお……!!」
頭を押さえ左慈が悶絶する姿を眺め
俺はため息を吐いた
結局、左慈はそのあと、必殺の一撃で
門を破壊。その勢いで城に突入したらしい
勿論、道中の物や人をぶっ飛ばしながら
左慈…本当によく生きてたな…お前
"バン!"
玉座の間にたどり着き、扉を開け放つ
中には数人の兵と軍師そして、魏王がいた
『何者だ!』
兵が武器を手にして左慈を取り囲む
『邪魔だ』
"ヒュン!"
『ひっ!?…ぅ、うわあああ―――!』
周りを囲む兵を一蹴すると
歩を進め曹操の前に立つ
『……あなた、いい度胸ね』
『お褒めに預かり光栄の至り
少し、話があるのだがいいか?』
『いいわけないで…しょ!』
"ヒュン!"
曹操は武器を取り斬りつけてくる
『おっと…危ないな…何を怒っている』
理解に苦しむ、と肩を竦めながら
曹操の攻撃を軽くかわす
『何を?当たり前でしょ!大事な将兵に
城門、民の家、街の物資。あなたに
どれだけの被害を受けたと
思っているの!しかも、言うに事欠いて
天の御使いを名乗ったそうじゃないの
一刀を…私のものを愚弄した罪!
万死に値するわ!死になさい!』
"ヒュン!ヒュン!"
『ふむ、なるほどな。北郷も
愛されたものだ。しかしな、俺も…』
"バターン"
2人の交戦が続く中
背後で扉が開く音がする
『華琳様!』
『ご無事ですか!?華琳様!』
どうやら、夏侯姉妹と親衛隊が
追い付いて来てしまったようだ
結構、離したつもりだったんだが
『ちっ、5人まとめて
相手はつらいな。仕方ない』
"ガッ!"
『くっ!?しまった!』
左慈は曹操の攻撃の隙をついて
武器を拳で跳ね上げる
くるくると円を描いて曹操の武器は
駆け寄る将たちの前に落ちた
『すまない、曹操殿』
『え?きゃああああ…!!』
左慈は曹操を抱えるとそのまま
玉座の間の窓から飛び出していった
『華琳様―――!』
『華琳様が拉致された!
兵を捜索に回せ!
なんとしてもお救いするのだ!』
『は!すぐに!』
将や兵は大慌てで拉致された
王を探して至る所を探し始めた
『…で?どういうつもりかしら?』
『あぁ。正直、俺も困っている
まさか、こんなことになるとはな』
屋根の上から身を乗り出して
下を駆けずり回る兵や将を眺めて苦笑する
『はぁ、当然でしょ?一国の王が得体の
知れない男に拉致されたのですもの』
はぁ、とため息を吐きながら曹操は
屋根の天辺に腰掛ける
『すまない、曹操殿。こうでもしないと
話が進まなかったんだ。許してくれ』
左慈は頭を下げると曹操と
少し離れて腰を下ろす
何もしないと示すために
『はぁ。まぁ、あなたなら簡単に私を
殺すことも出来るのでしょ?
それをしないのは何か理由が
あるのでしょう?』
『あぁ、北郷一刀のことだ』
『一刀の?あなた、一刀のこと
知っているの?』
『よく、知っているさ。北郷は今
天にいるんだ。用を済ませるために
日々頑張って生きているよ』
『そう、一刀は生きているのね』
曹操は嬉しそうに微笑む
『あぁ、ここに帰るために頑張っている』
『一刀は戻って来るの!?』
『帰って来るよ。新たな使命を
果たすために』
『新たな…使命?』
『いずれ、分かる。それより
問題があってな。北郷には帰って
来ようにも出来ない理由があるんだ』
『帰って来れない理由?』
『北郷一刀の脱国扱いだよ。それでは
戻っても即、鞭打ちか打ち首だろ?
それでは北郷が使命を果たせないんだ』
『そうね。では、一刀は天へ使者として
無期限で戻ったことにしましょう
それなら問題はないのでしょ?』
『流石は、曹操殿。見事な采配だな』
『当然よ。それより、一刀は
どれくらいに帰って来れそうなの?』
『ふむ、向こうでの進み具合は
順調だからな。このままいけば
あと、一年と半年だ』
『…長いわよ』
明らかに不機嫌そうに眉に雛を寄せる
『そういうな。この世界と天の世界とでは
時間の流れが違う。北郷は倍の時間を
生きて、頑張っているんだ』
『倍ね…』
『あぁ。長いだろ?だが、あいつには
それが出来る。それだけの想いが
あいつにはあるんだ』
『想い…か。なら、私も負けては
いられないわね!あと、一年と半年
で約束を果たさなくてはね』
『ふっ。では曹孟徳の想い
特と見させてもらおうか』
腰を上げた左慈は懐を探り
一枚の紙を取り出す。サラサラと
一羽の鷺を描いていった
『あら、見事なものね』
曹操は左慈の手元を覗き込んで感嘆する
『そうか?これは父から教わったんだ』
最後に鷺に目を描き込む
『良き父を持ったわね。あなた、名は?』
『性は北郷、名は左慈。字も真名もない』
『北郷?あなた、一刀の親類?』
曹操は心底驚いたようだ
『はは、北郷一刀は…』
そこまで言って左慈は紙に息を吹きかける
"バサ!バサ!"
途端に絵から一羽の大きな鷺が現れ
左慈の横に寄り添う
『っ!?妖術!?』
曹操は一歩後退り、明らかな
警戒の色を見せる
『?…まぁ、いい』
左慈は鷺に乗ると首を優しく撫でる
鷺は一鳴きすると羽を羽ばたかせ
ゆっくりと宙に舞いあがった
『っ…!あ、あぶないわね…』
曹操は風に煽られ危うく転倒しそうに
なるも何とか踏みとどまる
『北郷一刀についてだったな
北郷一刀は俺の父だよ
この世で唯一無二の大切な父親さ』
『父!?あなたは一刀の息子なの!?』
曹操は衝撃を受け、よろめく
『話は終わりだ、また会おう!』
左慈を乗せた鷺は高く舞い上がり
地平の彼方へと飛び去ってしまった
「こうして無事、使命を果たしたのだ」
誉めろ!と左慈は胸を張る
「まて、いろいろ、待てよ…」
一刀は頭を抱え、考えこむ
「まず、一つ。なぜ、俺が父だと
華琳にバラしたんだ?」
「…俺が息子だと恥ずかしいのか?」
左慈は寂しそうにしょんぼりしてしまう
「…そうじゃなくて」
「そうだよな。元は『悪』だもんな…
恥ずかしいどころか、隠されるべき
存在なんだよな」
「だから、違うっての!お前は自慢の
息子だよ。ただ、突然のことだし
華琳も驚いただろ?」
「あぁ、そういうことか…それは
すまなかった。また、会ったら
説明しておこう」
「あぁ、頼む。あと一つ。拉致したあと
屋根の上の華琳をどうしたんだ?」
「ん~?あ!……あ…ははは…」
左慈はポン!と手を合わせ、笑う
「屋根の上に置いて来たわけか」
俺は頭を抑えて、苦笑する
「はぁ…これはまずいことをしたな…」
「あぁ、間違いなく、怒ってるだろうな
飛ぶのは俺の首じゃなくて」
「俺の首か」
左慈が苦笑し、思慮に入る
「ていうか…これさ」
「あぁ、悪化しているな」
一刀は浮気をしたと誤解され
左慈は拉致した上に放置
2人の処刑台はすでに用意されて
しまっているだろう
2人は青い空を見つめため息を吐いた




