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今日の華琳さん家  作者: 黒崎黒子
23/121

突然のお客様

動かぬ身体に鞭を打ち…服を羽織る


玄関に行くと…


「一刀~♪」


"ぽすん"


桜が胸に飛び込んできた

く…いつもは楽だけど…

今日に限っては…つらい


「お帰り、桜」


「ただいま~♪」


小さな身体で

ぎゅーっと抱きついてくる


桜の頭を撫でながら

玄関に立ったままの彼女に声をかけた


「いらっしゃい。空」


鍛冶屋とメイド喫茶のオーナー

刀匠虎徹(真名:空)であった


「あ…一刀様…///

 お、おお、お久しぶりです…」


「空ちゃん、帰りに拾ってきたの♪」


また、物か動物みたいに…


お客様に目を向けると真っ赤になった

彼女が"がば!"と頭を下げた


「半年ぶりだね…元気そうで何よりだよ」

「は、はぃ…一刀様の差し入れには

 何度も救われましたから///」


この通り…ピンピンしてますよと

力こぶを作って見せる


うん、女の子らしくて細く綺麗な腕だ


「ははは…!本当に元気そうだ

 洋菓子は口に合ったかい?」


俺は『羽十羅』の菓子を

空の様子見がてらによく届けていた

一度も空には会えなかったけどな


「はい…とても美味でした…」


目をキラキラさせ、あらぬ方を向いて

何かを思い出しているようだ

空…よだれがでてる…


「はは…そうか、それはよかった

 今度一緒に食べに行こう

 新作の菓子も試して欲しいからね」


「宜しいのですか!?是非とも♪」


キラ☆キラ~☆

と目を輝かせて

蓮はポン☆と手を合わせ頷いた


「あら、誰かと思えば…空じゃない」


奥から蓮が出てくる

風呂から上がったのだろう


「あ、お久しぶりですね、蓮さん」


「ええ。そんなところで何でしょ

 大したもてなしもできないけど

 上がりなさいな♪」


お茶準備するわ~と台所に向かう


「そうだな…桜……桜…?…」


家の主に許可を貰おうと声をかけると


「んー?一刀…ここ私の家だよね?」


桜は目を線に"むー"と考えこんでいた


「桜、気にするな。それよりほら

 千葉家のお客様を」


「あ、うん…どうぞ♪空ちゃん」


「あ、はい…お邪魔します、桜さん♪」


さぁ、千葉家に突然のお客様…

いったい何があったのだろう…


「一刀様…お話があって参りました」


正座し姿勢を正した空は一刀を見つめた


「………」


俺は黙って空を見つめ返す


「お預かりしていた九つの武器

 打ち直し出来ました」


「ついに…帰ってきたのか」


得も言われぬ思いが胸を締め付ける


「えぇ…ですが…

 全ての武器は個性が強く

 一つに成ることを拒んでいました』


『北郷が居なくては意味がないのだ

 ウチらは皆揃って"魏"なんや

 だからこそボクたちは

 兄様に会うために気の遠くなる程の

 時を越え、道を越えて、国を越えたの~

 よく分からんが…私は心に従うだけだ

 そう、一刀。あなたが居なければ

 意味なんてありはしないのよ』

 

信頼されてますね…と空は微笑む


確かに彼女たちは『魏』という一つの

旗の元で共に出会い、生きたのだ

そこには俺もいなくてはいけないんだ…と

彼女たちは言ってくれているんだ


「つまり…武器は一つではなく」


「えぇ…九つあります」


「こ、九つ…使いきれるかな…」


「そこは…一刀様の頑張り次第ですわ♪

 彼女たちの想いに答えてあげてください

 皆、待っていますよ♪」


庭を空は微笑みながら見る


視線先…いつも鍛錬をしている広い庭には

黒に赤の十字と豪華な装飾をあしらった

『棺』が立っていた


「さっきから気に成ってたけと…あれが」

「はい♪一刀様の恋人たちです♪」


……………ふっ


もう、俺はニヒルに笑うしかできなかった



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