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Chivalry  作者: 祀木 楓
第1章 始まりの刻
4/6

葵とケイ


 与えられた自室に戻る途中の葵は、廊下から蘭とボールスの姿を見かける。


 花園で何やら楽しそうに話す二人の姿に、葵の心は掻き乱された。



「何で……アイツは、あんな風に暢気で居られるんだよ!!」



 訳の分からない苛立ちに、思わず壁を叩いた。



「いくらお前の城とは言え……物に当たるのは感心しないな?」



 その言葉に、葵は振り返る。



「ケ……イ!?」



「ほう? 私の名前を早速覚えたか……。」



「何の用だ、ケイ……俺をからかいにでも来たのか?」



 偉そうな物言いをするケイに、葵はムッとする。



「私はそんなに暇人などでは無い。……お前の様子が気になった、ただそれだけだ」


「気になった……だと?」



 ケイの意外な言葉に、葵は拍子抜けする。



「お前は、蘭と違って繊細のようだからな。王が即位式前に潰れてしまっては我々も困る」


「そんな……理由かよ」


「ん? こんな理由では気にくわなかったか……ならば、どんな理由ならばお気に召すのだ?」



 ケイは長い黒髪をかき上げると、悪戯っぽく笑った。



 その仕草と、初めて見る無邪気な笑顔に、葵は思わず目を奪われる。



「初日から部屋に引きこもっていては、ますます気が滅入るだけだ!行くぞ?」



 ケイは、呆然と立ち尽くす葵の手を取ると、突然駆け出した。



「お……おい!何処に行くんだよ?」



 葵が尋ねる。



「良い所……だ」



 ケイははぐらかすかのように、先程の笑顔を浮かべると、そう呟いた。







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