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ムーノ、開花する2

「ほらほらほら! 反撃しないのか! ——む」


 シフルはウィンドショットの連撃をいったん止めた。


 土煙が舞い上がって、視界が悪くなり、標的の姿が見えなくなってしまった。


「ちっ……ウィンドブラスト」


 シフルは風を起こし、土煙を払う。


 視界がクリアになったが、今度はムーノの姿が見当たらない。


「なんだ、逃げたのか? 勝てないとわかったら、さっさと降参したらどうだ!」


 呼びかけるが、答えは返ってこない。


 不気味に感じ、シフルは魔法を発動する。


「……っ!」


 そのとき、背後で気配がして、シフルは振り返る。


 しかし、遺跡の壁から石が転がり落ちただけだった。


 ホッと息をついた瞬間、また背後に気配を感じる。


 振り返れば、また石が地面に落ちる。


「……?」


 さすがに違和感を覚え、シフルは周囲を警戒する。


「な、なんだ……?」


 周囲の石がカタカタと動きながらシフルに近づいてくる。


 まるで意思を持った生物のように集まってくるのだ。


「うまくいったぜ」


「ムーノ!」


 遺跡の陰からムーノが姿を現した。


「ウィンドショット!」


 シフルは魔法を放つ。


 が、それはムーノの手前に出現した石壁によって阻まれる。


「なっ!?」


 地属性魔法、ソイルウォール……に見えた。


 しかしムーノが術式を発動させた様子はない。


 しかも、魔力量も精度もさっきとは比べ物にならない。


 急に別人に入れ替わったような技術の向上だった。


「ど、どうなっている!」


「準備が終わったんだよ」


 ムーノは笑みを浮かべる。


「さっきまでは周りの地面や石に魔力を流し込んでたんだ。そうすれば、術式を介さなくても、魔法を発動させられるだろ?」


「なっ……」


 理屈はわかる。


 周囲の物質に干渉するタイプの魔法を使うと、物質に魔力が残留する。


 保有する魔力が高い物質ほど魔法で扱いやすくなる。ましてや、今回はムーノ自身が持っていた魔力だから、より効果が高い。


 しかし、普通の魔法使いはそんな魔法の発動は行わない。


 魔法使いが術式を使うのは、そのほうが効率がいいからだ。


 無駄な時間と労力をかけず、魔力を効率的に魔法の発動に利用するために、研究されてきたのが術式なのだ。


 それを利用せず、魔力を直に魔法へ変換しようとするなど、無駄もいいところ。


 そんなの……。


「そんな魔力の使い方、モンスターと一緒だろうが!」


 思わず叫ぶシフル。


「そうなのか?」


 しかし、ムーノは気にした様子もなく、むしろ楽しそうに笑みを浮かべた。


「だったら、そのほうがオレの性に合ってるんじゃねえかな。オレはあんたみたいなご立派なお貴族様じゃないんでな!」


「っ!」


 周囲の石材が一斉に浮かび上がる。


 すごい勢いでシフルに向かって飛んでくる。


「う、ウィンドブラスト!」


 シフルは慌てて魔法を発動。


 しかし、石材の動きは緩まない。


 ムーノが使っているのは地魔法だが、シフルに飛んでくるのは現実の物質だ。


 シフルの威力の弱い風魔法では、止めるのが難しかった。


「くそっ!」


 シフルは毒づき、その場から退避した。


「ウィンドプレートっ」


 足の下に風を起こし、身体を前に跳ばすように移動。


 遺跡の中でも比較的形が残っている建物の門をくぐり中に入る。


 ガン! ガン! ガン!


 と飛んできた石材が建物の壁にぶち当たる音が聞こえる。


「ひぃい!」


 思わず悲鳴をあげる。


「くそっ……場所が悪い! こんなところじゃあいつが有利すぎる!」


 そもそも、風魔法が得意な自分が、地魔法が得意なムーノに勝負を持ちかけた時点で自分が相当有利だということも忘れて文句を言うシフル。


 しかし、連続して魔法を放ったせいで、使える魔力も減っていた。


 このままでは負けてしまう。


「冗談じゃない。僕が負けるなんて……」


『負けなければいいのだろう』


 頭を抱えているところに、不意に声が聞こえた。

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え、みんな古代魔法使えないの!!???~魔力ゼロと判定された没落貴族、最強魔法で学園生活を無双する~
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