魔法バトル、決着
すごい勢いで森を蹂躙していくディーネの水魔法の影響は、模擬戦の勝敗にも大きな影響を与えていた。
レントを探すAクラスの男子生徒は、風魔法に幻惑されているとも気づかずに、森をさまよっていたが、ようやくなにかがおかしいと気づいた。
「さっきから同じところをぐるぐる回ってる気がするな……この樹、さっきもなかったか?」
しかし、気付いたときには遅かった。
ごごごごご……と不気味な音が聞こえてきたと思ったら、次の瞬間にはすごい勢いで流れてきた水に飲まれ、彼はあっという間に押し流されてまった。
「うわっ! なんだ、魔法か? 災害か? 聞いてないぞこんなの——ガボゴボ」
水にのまれ気を失った彼は、ルナ校長の魔法で救い出された。
レントの魔法で地面に拘束されたAクラスの女子生徒は、
「ちょっと、水! 水! 溺れるじゃない! 誰か、誰か助け——ゴボガボ」
同じく水にのまれ、直後校長の魔法で助け出された。
そして、残ったルイン王子は——。
「さあ、追い詰めたぞ」
「くそっ……」
「ここまでかしらね」
樹々が行く手を遮って行き止まりになっている場所にサラとムーノの二人は追い詰められていた。
ルインは相変わらず爽やかな笑みを浮かべながら、魔力を展開する。
「まったく、ただ逃げ回るだけなんてみっともないじゃないか。魔法で勝てないとわかったら、素直に倒される。そういう引き際を学ぶべきだ」
「申し訳ありません、殿下。父からは、生き残るために最適の道を探せと教えられてきたもので」
「なるほど、それも戦場での騎士道だろう。だが、美しくはないな」
ルインは手のひらに風魔法を展開する。
手のひらに風の刃がいくつも生み出された。
ウィンドカッターだ。
「痛みとともに、潔さを学びたまえ」
そう言ってウィンドカッターを放とうとしたルインの上に、
「……——あああああああああっ!」
長い悲鳴を発しながらシフルが落下してきた。
ディーネの水魔法で吹き飛ばされた彼が、ようやく落ちてきたのだ。
「っ!」
さすがに予期しない展開に、ルインの注意が一瞬逸れる。
サラはその瞬間を逃さなかった。
「ファイアブレイド!」
炎で長剣を生み出し、それを振り上げてルインに肉薄する。
相手に接近しなければ攻撃できないため、魔法使い同士の戦いではほとんど使い道のない魔法だ。
だが、簡単に防御されないように、サラはあえて炎の剣を使った。
「このっ……!」
ルインがウィンドカッターを放つ。
サラは攻撃の邪魔になる刃だけを炎の剣で消し去る。
残った刃が彼女の身体に傷をつけるが、構うことなく疾駆。
炎の剣をルインにぶち当てた。
「バカなあああ!」
信じられないといった声をあげ、吹き飛ぶルイン。
そこにシフルが落ちてくる。
「ウィンドプレート——って殿下っ!?」
シフルが衝撃吸収のための風魔法を展開したまさにその真下にルインが飛んできて、押しつぶされる。
「ぐえ!」
「殿下ーーーーーー!」
動揺したシフルは風魔法を解いてしまい、ルインの上に落っこちた。
「「ぐええ!」」
悲惨な声を上げて、二人ともそのまま気絶してしまった。
結果、ディーネの魔法によって、Aクラスのメンバーは全員敗退。
交流授業の結果は、Cクラスの勝利となったのだった。
ディーネのターン終わり!
次はムーノの話です。
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