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レント、新たなる世界に挑む

 合同魔法学校祭での事件から数ヶ月が経った。


 魔法試合での数々の事件と、それに伴う騒乱はその日のうちに治まった。

 とはいえ、その影響は少なくない。


 ヴァイツ第二王子と、魔法騎士団の副長以下数十名が、イアスン第一王子暗殺の罪で囚われ、投獄中。


 そのイアスン第一王子は、襲撃を受けた際の言動がその場にいた商人たちに知られ、そこから各地へ噂が広まり、一気に人気が失墜してしまった。


 イードラ第三王子は大聖女教会と通じ聖剣デュランダルを持ち出した罪を問われた。ただ、事態が混乱していたこともあり『世間知らずの彼が恩人に騙された』と判断され謹慎処分にとどまっている。


 フィーア第四王子は表立って目立った行動を起こしていなかったのでお咎めなしではあったが、魔竜一族との協力関係は一時的に絶たれてしまった。


 王子たちの目論見が潰え、評価が下がった結果、もともと国民からの人気が高かったルイン第五王子が一気に注目を浴びることになった。


 王都に接近する魔王を身を挺して妨害したという話が広まり、彼の素の態度を知っていた王城の兵士たちも彼を見直した。


 また、騒乱の収集にもルイン王子は活躍した。

 なにしろ、それぞれの王子たちの謀略を全部知っていたのは彼だけなのだ。

 それゆえ、事情を知らぬ者からは、彼が凄まじい政治的手腕を開花させたように見えたのだった。


 もちろん、どの王子も野望を絶たれたわけではない。

 また計画を練り直し、策略を練って、王位を狙って動き出すことだろう。


 だが、それを振り払うだけの力を、ルイン王子は身に付けつつあった。


         ○


 夏季休暇を終えた王立魔法学園は大きく体制が変わった。


 魔王の復活、聖剣デュランダルと魔導書ガルドラボーグを巡る陰謀、そして明らかになった闇属性魔法と光属性魔法の事実から、これまで伝えられてきた魔法体系を見直す必要が周知された。


 その結果、段階的にAクラス、Bクラス、Cクラスのクラス分けを排した合同授業を正式に増やしていくことが決定された。


 もちろん難色を示す講師や役人もいたが、あるときはルナ・リバロ校長が脅し、あるときはレントや魔王が魔法を実演して、その必要性を認めさせていった。


「はぁ……はぁ……!」


「もう、これ以上っ……」


「無理っ、ですっ」


「冗談じゃねえぜ! なんだこの訓練!」


 シフル、サラ、ディーネ、ムーノが息も絶え絶えに地面に倒れ込む。


 彼らはまだいい方で、その背後にはAクラスもBクラスも関係なく、大量の生徒が途中でぶっ倒れていた。


「なんだ、残ったのは四人だけか」


 彼らの前に、腕を組んだ魔王が降り立つ。

 彼は、以前の少年姿に戻っていた。


「しかたっ、ないだろ、こんな無茶な訓練……!」


「魔力だけで身体を動かし続けるなんて……普通は無理……よ!」


「貴様らはできたではないか。それにレントとビルデはとっくにゴールしておるぞ」


「その二人と一緒にすんなっての!」


 ――講師や役人から一番反対が多かったのが、この魔王による訓練である。


 曰く、魔族寄りの思想教育がなされるのではないか。

 曰く、闇属性魔法を教え込まれ、魔族にされてしまうのではないか。


 そんな根拠のない意見は全部無視して、ルナ校長はこの訓練を実施していた。


 その結果、魔法学園の生徒たちの魔法技術は格段にアップしていった。


「いや、無理無理、死ぬって」

「魔法学園ってこんな体育会系だっけ?」

「なんでこれできる奴いるんだよ……」

「痛いー! 足つったー!」


 途中でぶっ倒れた生徒たちの怨嗟の声に、レントは苦笑する。


 隣のビルデが声を上げる。


「はっ! これまでお前らがどんだけサボってたかってことなんだよ。魔力で運動を操作するくらい、当たり前にやってるんだと思ってたぜ。な、レント」


「うん、まあ……」


 レントは曖昧に頷く。


 実はレントは自覚がなかったが、どうやらそうだったらしい。

 第四位階以降の魔法を習得する過程で自然と身につけていた。


「さあ、クリアした者は次の訓練だ。ダメだった者はもう一度初めからやり直せ」


 魔王の言葉に、訓練場中から悲鳴が上がった。


         ○


 そんなこんなで放課後。


 レントは呼び出されていた校長室にやってきた。


 校長室にはルナ校長とミリア教官がいた。


「さっそくじゃがな、レント」


 ルナ校長はニヤリと笑みを浮かべて言ってくる。

 またなにか悪巧みを思いついたな、とレントは思う。


 まだ知り合って一年も経っていないが、この師匠の考えはだんだん理解できてきた。


「大聖女教会との交渉がうまく進んでな、教会が管理している遺跡の捜査を行えることになった」


「遺跡ですか」


「そうじゃ。大陸南部の大図書館遺跡――術式による無数の封印の奥に、未解読の魔法書が眠る、魔法使い垂涎の遺跡じゃ」


 その説明を聞いてレントは息を飲む。


「そこに儂と、各国の魔法使い、それに魔法使い同盟の代表者を含めた合同チームが派遣されることになった。ミリアは連れていくことに決めておるが、お前はどうだ?」


 ルナ校長はそう問う。


 もちろん、レントの答えは決まっていた。

これにて閉幕です!

ここまでお読みいただきありがとうございました!

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え、みんな古代魔法使えないの!!???~魔力ゼロと判定された没落貴族、最強魔法で学園生活を無双する~
― 新着の感想 ―
[良い点] 大団円になって良かったです‼️誰も死なないし‼️良ければ続き期待したいです‼️
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