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走れ!ジャック・バウワウ


「手を頭の上に乗せて、地面に伏せるんだ!!」


 電光石火のごとく、いの一番に事件現場にへと到着したジャック・バウワウ警部は、稲妻のように車内から飛び出すなりに、ソウルマンと空手メンズとに拳銃を構えて恫喝をした。猛々しくサイレンを鳴らして、白昼の地平線から轟々として現れてきた複数のパトカーと装甲車らに、交戦中だったソウルマンおよび空手メンズは、何事かと思って拳を止めてしまった。その上、弾丸のように飛び出してきた金髪の変なアメリカ人にいきなり恫喝されただけではなく、拳銃まで突きつけられたのだ。さらには、残りの装甲車とパトカーらの中から重装備の機動隊員らおよび刑事らと警察官らにも銃器を集中的に向けられてしまったのである。

「いいか。少しでも不審な動きでも見せてみろ! 撃つからな!! 有無を云わさず問答無用で撃つからな!! 分かったか!!」

 ジャック警部から放たれてゆく、気迫と怒号とから本気を感じとったソウルマンおよび空手メンズは、小刻みに頷いた。が、しかし、ソウルマンはやっぱり納得がいかなかったのだ。襲撃のさいちゅうを邪魔されたことと、警察が来たということ。そしてなによりも、ソウルマン自身がもっと嫌だったのは、警察に捕まってしまうことだった。そう、捕まりたくなどないのだ。

「よし、逃げる」

 と、決意を新たにしたソウルマンが、激しく跳ねて飛び起きるなりに、ブーツの踵のロケットエンジンに点火をすると、たちまち犯行現場から離脱をしていった。

「逃がすか!!」

 そして、ジャック警部も地を蹴って駆け出していき、ソウルマンを追いかけていく。走れ!ジャック・バウワウ警部。極悪非道なる無差別連続通り魔を逮捕するのだ。多少、手荒な真似をしてでも!

「パパ……じゃない、警部!」

「キム! 私は犯人を追跡中だと伝えといてくれ!―――あと、応援も頼んだぞ!!」


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