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√悪役貴族 処刑回避から始まる覇王道 悪いな勇者、この物語の主役は俺なんだ  作者: 萩鵜アキ


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83/92

見覚えのあるアイツ

「ちょ、ちょっとアレ、なんなのよ!?」

「うっわ、マジ、エグいっすね」

「…………」


 あ、ありのまま今起ったことを説明しよう。

 教会から街の明かりを眺めていたら、突然外壁が破壊された。

 なにいってんのかさっぱりわからないだろうが、俺もさっぱりわからない。


 いやマジで、なんなの?

 聖女やジェイと同じようにキョドりたいわ。

 大貴族の呪縛がそれを許してくれないけどな。


 空を漂う無数の翼。外壁から侵入する巨大な体躯。

 それらの姿を、俺はプロデニで何度も見たことがある。


 ――魔王軍第二師団『牙』。

 その中にいる、一番デカい奴が軍団長のベリアルだ。


 なるほど。

 イングラム王国が滅びたのは、アレのせいか。


【シナリオ理解度が1%増えました――59%】


 それにしても、早くねぇか?

 プロデニだとまだ高等部一年生が終わってない。

 そんなタイミングで魔王軍が動き出してたら、勇者が育つ前に大陸の国全部征服されてるはずだ。


 エルヴィンルートだと、イベントが少し早まきなのか?

 あー、そういや勇者いないんだったな。

 魔王軍の行動が早いのは、そのせいか?


 可能性はありそうだが、断定は出来ないな。

 っていうかしたくない。

 だって断定したら、俺のせいってことになるからな……。


 ――さて。

 そろそろ好き勝手に人の土地で暴れてる悪魔たちにお灸を据える時間だ。


 レベル99の性能試験もしたいし、エルヴィンルートの四天王がどれくらい強いのか確認もしたい。

 あとドロップアイテムも欲しい。


 ってわけで、悪魔ども。

 喜んで俺の糧になれ!


 影に魔力を込められるだけ込める。

 足下の影が、喜ぶかのようにピクンピクンと蠢いた。


「ちょ、ちょっと待って!」

「なんだ?」

「アンタ、まさかアレに立ち向かおうっていうんじゃないでしょうね?」

「そのまさかだが、どうした」

「そんな……。アレは普通の魔物じゃなくて、悪魔なのよ!? 悪魔は魔物とは比較にならないくらい強い。それこそ低級悪魔一体に、兵士が十人束になっても勝てないって言われてる」


 当然、知っている。

 実際に戦ったことあるしな!

 ゲームの中でだけど。


 プロデニでは中盤で詰みが発生しやすい。

 それは、中盤から魔王軍の侵攻が始まり、悪魔との戦いが本格化するからだ。


 そこまで魔物をサクサク倒せるくらい育っていても、悪魔が相手になった途端に、ギリギリの操作が要求されるようになる。

 だから、ステータス育成に失敗すると、あっさり詰む。

 ――あくまで初心者に限った話だけどな。


 ほんと、初めて悪魔と戦った時は、自然にモードが変わったのかと思って何度も確認したなあ。

 それくらい、魔物と悪魔は強さに開きがある。


「一人で立ち向かうのは無謀よ! それに今は人類の切り札の勇者もいない」

「勇者……必要か?」

「あっ、うん、いや、居ても意味ないだろうけど……ハハ」


 勇者って台詞でアベル――というか嫌なこと全部フラッシュバックしたんだろうな。目が死んでる。

 うん、気持ちはわかる。


 勇者がいても意味がない、という台詞には同意する。

 それはアベルが〝ああ〟だからって意味じゃない。


 たとえ俺が勇者をプレイしてても、たぶん雑魚を蹴散らして終わりだ。

 今、ここのボスと戦ったら簡単に死ぬ。


 だってスキルが育ってないし、初期装備だしな……。

 そもそも論、このイベントは勇者ルートじゃクリア出来ないんだろうな。


 魔王軍第二師団『牙』のボス、ベリアルは肉体派の悪魔だ。

 魔王を除く全敵キャラで一番攻撃力が高い。


 魔法は肉体強化しか使わない。っていうか使えない。

 だってバカだし……。


 エクストラモードクリアの時は、たぶんステータスに10倍以上の開きがあったはずだ。

 拳がかすったら死ぬ。デコピン一発でも死ぬ。なんならくしゃみを真正面で受けただけでも死ぬかもしれない。

 ――それでも、俺はベリアルを倒した。


 だから、死の不安はない。


「安心しろ。俺は勝てない戦いに挑むほどバカじゃない」

「……勝算はあるの?」

「当然だ」


 ベリアルごとき、肉体の僅かな動きから、細かいモーションまで頭にたたき込んだ上で、今度は何度も死に戻りながら体で覚えて、フレーム単位で反応出来るようになれば〝誰でも勝てる〟んだよ!


 ただ一つだけ問題がある。

 雑魚悪魔の存在だ。


 プロデニだと、ボス戦に雑魚が乱入することがない。

 システムが制御しているからだ。


 だがリアルだとそうはいかない。

 このまま突っ込んだら、雑魚とボスと俺が入り乱れての戦いになるだろう。


 弾幕ゲーみたいに雑魚が突撃してきたら、さすがに辛い。

 乱数ってマジでクソだからな……。


 さて、どうしよう?


 方針を考えながら戦場を眺めていると、突如ボッ! と火の手が上がった。

 今のは焦熱魔法か?

 どうやら悪魔と戦っている、気骨ある市民がいるらしい。


 焦熱っていったら、上級魔法だよな。

 ただの一般人が使えるとは思えないんだが……。

 一体誰が使ったんだ?


 じっと観察すると、ガタイのいい男の後ろ姿が見えた。

 血と死の臭いが漂うその男……どこかで……って、ユルゲンじゃん!!


 なんであいつがここにいるんだよ!

 ってか、ユルゲンって魔法使いだったの!?

エルヴィン「お前、魔法使いだったのか……」

ユルゲン「あれ、大将に言ってませンでしたっけ?」

エルヴィン「聞いてない。筋肉が凄いから、肉体派かと思っていたぞ」

ユルゲン「強い魔法は良質な筋肉からって、基本中の基本ですぜ。魔力が尽きたら拳でヤれますしね」

エルヴィン「……(ドン引き)」


 殴りマジ(撲殺系マジシャン)ってロマンだよね

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