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√悪役貴族 処刑回避から始まる覇王道 悪いな勇者、この物語の主役は俺なんだ  作者: 萩鵜アキ


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27/92

けっとうだ!!

「……とりあえず、注文したらどうだ?」

「そそ、そうだ、ね」


 料理を注文すると、また無言の時間が重くのしかかる。

 くそっ、せっかく羽を伸ばしてたところだったのに……。

 なんかすげぇ気疲れする。


 さすがにこの沈黙は辛すぎる。

 仕方ない。

 頑張って学友と歓談するか。


「「あの――」」


 かぶった。

 畜生、なんだよこのテンプレ状況は!


 ってか本当にこういうことがあるんだな。

 日本でも、異性と話すタイミングが重なったことなんてねぇよ。


 まあ、離せる異性なんていなかったんだけどなッ!

 ちくしょう!


「先にいいぞ」

「う、うん。7年前に、助けてくれて、ありがとうって……ずっと、言いたかったの」

「お、おう。そうか」

「うん。本当に、ありがとう」


 ……なにか、裏があるのか?

 素直に感謝して、俺からなにかを引き出すつもりか!?


 くっ。

 7年前から処刑台と、そこに送り出す奴らにビビリまくってきたせいで、聖女の言葉を素直に受けとれねぇ。


「次は、エルヴィンの番」

「む、ああ、そうだな。一つ聞きたいんだが、アベルは本当に予言の勇者なのか?」


 今日初めて勇者に出会ったが、プロデニをプレイしてた俺の印象とあまりに違い過ぎる。

 いくらエルヴィン視点だからといっても、これはキャラクター崩壊といっても過言じゃない。


 もし世に出していたら、多くのプレイヤーが激怒しただろう。

 勇者だって少し前まで操作キャラだったんだ。それを、あそこまで殴りたいキャラにされるのはあんまりだ。


 どうか人違いであってほしいんだが……。


「あ、ははは。そうだヨー」


 残念ながら、聖女が頷いてしまった。

 やっぱり、あれが本物かあ。

 この世界の勇者アベル、お前にはがっかりだよ。


「あれでも正式に教会の勇者なんだ。勇者って予言された以上、聖女としてはサポートしなくちゃいけない」

「……大変だな」


 心底思う。

 あれをサポートとか、俺には無理だ。

 気づいたら後ろから絞めてそうだもん。


「ところで今日、アイツ――じゃなかった、勇者に連れ回され――食事をする予定だったんだけど」

「お前、相当キてるんだな」


 勇者への気持ち(ヘイト)が飛び出してるぞ。

 その殺気、しまえしまえ!


「レストランが軒並み満席だったのよ」

「へぇ、面白いこともあるものだな」

「これ、アンタの差し金なの?」

「そんなわけはない」


 まったく身に覚えがない。

 初手ブブヅケだったら俺のせいだけどな。


 っていうか、強引な手を使ったら絶対俺に矛先向くだろ。

 だってアイツ、俺を殺る気満々だったもん。


 ああいう手合いは、一度標的と決めた相手には、全く無関係な出来事でも『お前のせいでこうなった!』って糾弾するんだよ。

 風が吹いたら桶屋が儲かる的な。

 きっと、割り箸が妙な割れ方しても俺のせいとか言い出すぞ。


「じゃあ、なんで満席って嘘をつかれたんだろ?」

「評判が落ちるから入れたくなかったんじゃないか」

「あ、それアタシも思った」


 くっくっく。

 ふふふ。


 悪い笑いが個室を満たす。

 それとほぼ同時に、注文の食事が到着した。

 やれやれ。店員は気遣いが完璧だな。


 食事のお代はもちろん、俺が支払った。

 この一飯の恩で、処刑台送りはやめてくれないかな?

 そんな願いを込めて。




          ○




「オレがレストランに入れなかったのはお前のせいだろ!! 決闘だッ!!」


 うん、わかってた。

 でもさ、君ちょっと喧嘩っぱやくね?


 アベルに決闘を申し込まれたのは、登校してすぐのことだ。


 本当に勇者かお前ってくらい目が血走ってる。

 どうやら、レストランに入れなかったのが相当堪えたらしい。


 にしても決闘はないわ……。

 本編だと二人が初めて戦うのは三ヶ月後にある訓練の授業で、だろ?

 シナリオスキップしようとすんなよ。


「アベル、いきなり決闘はないでしょ。そもそもエルヴィンがやったっていう証拠だってないのよ?」

「証拠がなくても俺にはわかる!」

「えぇ……」

「なぜならこいつらは悪の親玉だからだ!」

「……。あ、あのさ……証拠もなしに、決闘はよくないよ?」

「一度、立場の違いというものをわからせてやる」


 ダメだ。聖女の言葉でも聞く耳がねえ。

 てか、耳に穴あいてんのか?

 会話になってねぇぞ。


 ぱちり、と聖女と目があった。


(やっぱりこうなったろ?)

(うん、なんかごめん)


 視線で会話すると、勇者がそれを見とがめた。


「ニーナ、まさかお前……グルだったのか!?」

「へ? そんなわけないでしょ」

「まあそれもそうだな」

「む?」


 やけに簡単に引いたな。

 ずいぶん聖女を信頼しているようで。

 だったら少しは彼女の意見に耳を傾けたらどうかな。

 いくら勇者でも、事が大きくなりすぎるともみ消せなくなるぞ。


「とにかく、今すぐ決闘だ」

「……はあ。やめておけ」

「怖いのか?」


 おう、怖いぜ!

 マジでシナリオスキップ発動してこのまま処刑台へGOってなったら、これまでの準備がマジでパァだからな!


 あっ、でもこの煽ってくる勇者の顔はぶん殴りたいな。

 どうしよう?


 俺はラウラとニーナを見比べる。

 どうやら二人は違う意見をお持ちのようだ。


 ラウラ(意訳)「なんとか回避した方がいいんじゃなくて?」

 ニーナ(意訳)「一発殴ったらおとなしくならないかしら?」

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