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65話 あやしいゾ

 必死に自転車を漕いでやっとの思いで指定されたエリアにつくと、遠くのコンビニでの駐車場で、休憩している蕎麦屋の配達のお姉さんがいることに気がついた。


「女の人の配達員って珍しい」


 そんな言葉を漏らしながらも私は気を取り直して発見したことを知らせるおまじないとしてエイヴェリーさんに指定された言葉を言う。


「……梓ちゃんが見つけちゃったぞ」


 私がそう言うと、田舎らしい風景の中でもぽつぽつといる通行人が私のことをちらりと見たあと、聞き間違いだと判断したようでそのまま通行していった。


「車の中で説明書を確認するようにって完全に私を嵌めたでしょ!」


 私は今は隣の市にいるエイヴェリーさんのことを思い浮かべてそう叫ぶ。

 しかし、そうも言ってられないので私は再び自転車を漕いでバイクを追い始めた。


「ああ! もう! 私があの人苦手って言ったのはやっぱり正しかったみたいだね!」


 私は足に力を込めるようにそう言うと、信号の変わった交差点を突っ切っていった。



「ここはどうかな」


 渋滞もあってバイクの進みが遅いからか私はなんとかバイクのお姉さんに離されずに追うことができていた。

 しかし、それは車の翼さんが追いつけないということでもあって。


「ああ、もう疲れたよう」


 私の足の疲労は限界の一歩手前のところまで来ていていた。


「私の泉さんへの愛がなければできないことだね!」


 私は再び民家の前で止まったバイクを遠目で観察しながらそう言った。

 蕎麦屋のお姉さんがインターホンを押しているのを見ていると、部屋から今どきという風のカッコいい金髪の男の人が出てきた。

 今度も空振りかと、私がため息を付いていると、どこか違和感を感じることに気がついた。 

 

「なんか、私の女の子センサーがビクビクするよ!」


 私は感じた違和感を確かめるようにその泉さんとは似ても似つかない男の人を見てみる。


「……どこに違和感を感じるのかぜんぜん分かんないよう」


 私がそう言いながらもじっと見ていると、蕎麦の精算が終わったようで、蕎麦屋のお姉さんが元気な声でありがとうございました! と言って再びバイクにまたがってしまう。


「ああ、もう! バイクの方を追わないと!」


 私は一応、現在地をスマホでピンどめしてから再びバイクを追い始めた。



「今日のところは収穫なしね」


 蕎麦屋がもとの店に戻ったところで俺たちはちょっとした場所で集まっていた。


「そうですね。なんとか最後まで追いきれましたが、泉がそばを頼んでいないのか、それともそもそもここらへんにいないのか」


 タクシーのナンバー以外の手がかりのない中、泉の過去の発言だけを頼りに探しているのだ。見つからないのは当たり前とはいえ、今日一日自転車で走りっぱなしだったことを思えば、なんとも虚しい気持ちだけが残る。

 俺がそう思いながらため息をつくと、梓がまた何か言い始めた。


「私! ちょっと違和感を感じた家を見つけたよ!」


 その言葉に俺たちは期待のこもった眼差しで梓を見た。


「その家ってどんな人が出てきたんだ?」

 

 俺がそう質問すると梓は元気よく答える。


「金髪で今どきの若者って感じの男の人!」


「……その人が怪しいと思ったのか?」

 

 男の人というところ以外に泉との共通点がないぞ。いや、泉の場合、男という共通点ですら……。


「違和感ってどんなことだ?」


 俺は一応聞いておこうと思ってそう聞いた。


「分からない!」


「え?」


 俺は聞き間違いを疑ってそう聞き返した。


「分からないんだよ!」


「えっと、梓さん、一体分からないとはどういうことで」


 俺がそう聞き返すと梓は言う。


「それは……張り込めば分かるんだよ」


 梓もまずいと思ったのか、途中から声が小さくなって目線が明後日の方向を向く。


「それじゃ調べ……」


 られないと言おうとしたところで、翼さんが遮るように言った。


「一応調べて見ましょう」


「私もそれがいいと思うっすよ」


 と、大人の女性陣が調べることに同意する。


「梓の言葉を信じるんですか?」


 俺がそう尋ねると、横にいる彩が言った。


「女の勘は当たるものよ?」


「それって現実にあるのか?」


 俺がそう聞くと彩がニヤリと笑って言う。


「傑、私に秘密にしていることがあるでしょ?」


 俺はその言葉に彩への好意や、諸々、男の子的に秘密にしたいことを思い浮かべて。


「あの、どこまでご存知で?」


「秘密」


 俺のモヤモヤした気持ちとともに、違和感を感じる金髪男を調べることが決まった。


男子中学生センサーじゃないです。女の子センサーです。

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