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31話 大塚あやね、VTuber DEBUT1

 泉がVTuber事務所を立ち上げ、俺の美鈴咲や彩のチチちゃんなど、個人勢の中ではトップ層であったVTuuberが同じ事務所になったことで、それのシナジー効果や、泉のネット上の名前である烏城というブランドもあり、俺のチャンネルである美鈴咲は75万人でしばらく停滞していたのが、一気に100万人の大台を突破し、チチちゃんこと彩の方ももともと俺より多かった登録者数がさらに増えて125万人ほどへと増えていた。

 そして、元々125万人というかなりの登録者を誇っていた涙子おねえさんも事務所所属や泉の楽曲提供などの効果もあってついに150万人を突破したのであった。


 そして、今日。泉の事務所では初めての事務所発の新人VTuber、セーラちゃんがCV大塚ちゃんでデビューすることとなっている。

 俺は、泉が根城としている雑貨屋のとなりの空き地を買い取り、プレハブをカスタムして建てた簡易スタジオにやってきた。

 柔道なんかができそうなくらいのそこそこ広いスペースでは既に、泉の下僕である田所が翼さんの指示を受けながらせっせと機材の準備をしており、ほかにもせっかくのスタジオなら本格的にやろうと言うことで体のあちこちにセンサーをつけて装着感のチェックをしている彩や早苗さんがいた。

 俺は泉のもとへ向かうと、指示を仰いだ。


「俺もセンサーをつければいいのか?」


 俺が机の上に置いてあるセンサーを見てそう聞くと泉はうなずいて言った。


「そうだよ、すーくん。付け方は分かる?」


 泉が無駄に顔を傾けて聞いてきたので、俺はため息をつきながら、そのセンサーを手にとった。


「まあ、彩たちを見ればなんとなく分かるよ」


 俺が彩の方をみて言うと、彩が嫌そうに言った。


「見ないでくれる? ヘンタイ」


 ああ、それまだ続いてたんすね……。

 俺は、そう思って早苗さんの方へと向かう。すると、そこでは大塚ちゃんたちがなにやらブツブツと言っていた。


「Sサイズじゃだめっすね。中学3年生だったら、小柄と言っても大丈夫だと思ったんすけどね」


「私のせいじゃないかんな」


 そこには、自分と同じSサイズのセンサを大塚ちゃんに装着しようとして難儀している早苗さんがいた。


「腕細いな。お前そんなんじゃ小学生にしか見えないぞ」


 俺が、見学に来ている梓と見比べて言うと、大塚ちゃんは今にも噛みつきそうな顔で言う。


「黙れ、モブ顔」


「お前、俺が事務所の先輩なこと忘れんなよ。ひっでえ紹介の仕方すんぞ」


 俺がそう言うと大塚ちゃんは勝ち誇った笑みで言う。


「じゃあ、モブ顔が実は男だってこと言いふらしてやんかんな」


 俺が、ぐぬぬと言葉を返せぬと見るや、大塚ちゃんはさらに追加で言ってくる。


「へ、さすが、彩さんと楓さんで優柔不断のモブ顔だな!」


 大塚ちゃんがそう言うと、彩がずっと聞き耳を立てていたのか、真っ赤な顔で言った。


「いい? 大塚ちゃん。私とこれはそういう関係じゃないから」


 そうですか。これ呼ばわりの上、そこまで怒ることですか。

 対して、女装姿の泉はニヤリと笑っている。ほんと性格悪いなアイツ。


「まあまあ、このまま行くと共倒れになりかねないっすから、あやねも炎上事件バラされたら終わりなことを思い出すっすよ」


 と、早苗さんが仲裁をしたことで俺たちは再び配信の準備に戻った。

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