22話 襲来
コラボ配信も終わり、ちょっとした事件どころではない烏城女の子疑惑騒動もいったんは収束し、俺と彩は泉が立ち上げたバーチャル技術の会社『メタガラス』に参加することになった。
と言っても、俺たちといえば、以前とやることは変わらず、ただメタガラス所属VTuberとして配信を行うだけなのだが。
「ねえ、最近さ。驚くほど泉さんに会わないんだけど、もしかして私避けられてない」
休日の昼下がり、リビングでのんびりしていると、俺の妹の梓がそう言って、話しかけてきた。
「アホの子でも流石に気づいたようなだな」
そう言って、梓の方を振り返ると、梓はまるで人でなしを追求するような表情で俺に迫ってきた。
「お兄ちゃん! 泉さんに頼まれてるのか知らないけど私の予定を泉さんに教えないでよ。私も泉さんと遊びたい!」
避けられているのにアタックをやめないとは自分の妹ながらなかなかガッツのあるようで。
「一応、言っておくが、俺からはお前の予定を流したりしてないからな」
そう、俺が言うと梓はキョトンとした顔で見返してくる。
「うそー。それにしては全然泉さんと会わないもん。泉さんって結構な頻度でお兄ちゃんと彩ちゃんと打ち合わせするためにうちに来るじゃんか」
俺は、遠回しに答えを伝えようと梓が現在進行形で手に持っている泉から譲り受けたタブレット端末をわざとらしくじっと見る。
「お兄ちゃんどうしたのそんなにタブレットを見て……あッ!」
梓はなにかに気づいたようにタブレット端末を机の上に置いた。
「もしかして、ずっとこのタブレットから私のことを監視してたの!? もうお嫁に行けないよう」
梓はそう言うと、よよよと床に崩れ落ちる。
「流石にカメラで盗撮はしてないと思うぞ……。観覧履歴なんかは知らんがな」
そう、俺が指摘すると、梓はさらに崩れ落ちる。兄としては妹の純情さを信じたいところだが、一体このアホっ娘妹はタブレットで何を調べていたというのだろうか……。
「天才の落とし方とか、天才を手球に取る方法とかを検索したのがバレちゃったよ」
俺は、その言葉に呆れた面持ちで梓を見る。
「お前が避けられてるのって、それのせいだろうが……」
そう突っ込んでから、少なくとも手玉に取るという点についてはもうすでに達成しているのではないかと、我ながら妹の将来が心配になった。
*
そんなしょうもないやり取りをしていると、玄関のインターホンがなった。
「彩と約束でもしてるのか?」
そう、すっかりケロッとした様子に戻った梓に尋ねると、梓は首を振って否定する。
「してないよ」
「そうか」
宅急便でも頼んだっけと自分の記憶を漁りながら、泉がなにかを送りつけてきたのかと思い、玄関の扉を開けた。そしてそこには。
「あ、どもども~ここでメタガラス事務所に所属するための面談をやるって聞いたんですけど、一般のお家でやるんですかね?」
俺の目の前では、横に小学生と思しき女の子を連れた涙子お姉さんが立っていた。
2章開幕です!
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