返礼
パーシヴァル様へハンカチを贈って以来、私の創作意欲に火がついた。前世叶わなかった推しへの貢ぎ物を堂々とできる日々を手に入れたのだ。
妹ポジさいこー。ミランダよ、ありがとう。
マリー先生の呆れ果てた視線なんて気にならない程、毎日刺繍に心血を傾け続ける日々を過ごしていた。
そんなある日、パーシヴァル様からハガキサイズの素敵な絵画が届いた。なんて、素敵なの。
しかも、わたしの為に筆を取ってくださったなんて。
そうなのだ。パーシヴァル様は頭脳明晰スポーツ万能なだけでなく、芸術的感性も抜群で、漫画でも、主人公ダリアに素敵な絵を描いてあげているシーンがあった。
暗い荒れた海に煌々と浮かぶ気高く美しい灯台の絵。
荒々しい波の描写も美しく。
灯台の光に照らされた水面の美しさが幻想的だ。
遠くの海に小さな船影が少し見えた。
パーシヴァル様のサイン入り。なんて貴重なの。こんなレアアイテムをゲット出来るなんて。
裏には、鉛筆で『レディ・エスメラルダへ。灯台を目指し航海する者より、親愛をこめて。』と書いてある。
はあー。生きてて良かった。
こんな、レアグッズ手に入れられるなんて。
幸せだわ。
ミランダよ。姉は遂にレアグッズを手に入れた。
ふふん。どうだ。すごいだろう。
「お姉様、見てみて。これ、この前の観劇の時にジャン様がお一人で撮られたポートレイト。サイン入りなのよ。枕元に飾るの。ふふ。」
なんと、サイン入り生写真。そんなファン垂涎の超レアアイテムを、手に入れたなんて…。
いや、絵画もいいよ。いいけど、枕元に生写真。
素晴らしいな、ミランダよ。
早速、姉も絵画のお礼のお手紙に大量のハンカチをつけて、おねだりするとしよう。
『私に推しの生写真を下さい。』
マリー先生、私達姉妹をそんな目で見ても状況は変わらないわよ。諦めて、先生も推し活しよう。
楽しいよ。
お読みいただありがとうございます。




