レイナルド・ヨークシャー (イラスト)
レイナルド・ヨークシャー(12歳)
装備:一見、質素に見える装いも国一番のお針子が精魂込めて作り上げた至高の一品。
もちろん、生地も最高品質。
武器:剣
まだルイーズに専用武器を貰っていない為、宝物庫から拝借した付与無しの剣を使っている。
得意属性:土、水、風
ちなみに、殿下を取り巻くキラキラは精霊だった模様。
この精霊がこれからどういった活躍をするかは追々。
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「ルイーズ。どうして、憂鬱そうな顔で殿下を見つめているの? 」
「フェオドール……実はね、さっき近衛騎士さんがこれを持ってきたの」
「これは、書状? 」
「そう。まぁ、中を読んでみればわかるわ」
「う、うん。なになに……
『ルイーズ・ハウンド侯爵令嬢は、我に週10本のペロペロキャンディを献上する事。
ヨークシャー王国王太子、レイナルド・ヨークシャー』
…………なにこれ?! 」
「殿下はペロペロキャンディの味を占めたのよ」
「でも、週に10本は多すぎない?! 」
「1日1本食べたとしても、週7本で済むのに。なぜ10本と指定したかわかる? 」
「ううん、全くわからないよ」
「残りの3本は、頑張った下々の者達への褒美として配るのですって……」
「なにそれ!? 意味が分からないよ」
「しかも、頑張った下々の者達がいない場合は、殿下が仕方なしに召し上がるのだそうよ」
「…………褒美で配るとか格好いい事言ってるけど、最初から1日1本じゃ足りないから予備として置いておくつもりだよね」
「フェオドールっ! シッよ! 余計な事を言って聞かれでもしたら不敬罪になっちゃうわ」
「うっ! (コクコク)」
「ふぅ…………殿下の真意はともかく。週に10本のペロペロキャンディは流石に多すぎると思うのよ。健康にも良くないし……」
「ルイーズがよく言ってる、栄養が偏るだっけ? 」
「ええ。食事はバランスよく摂取するのが好ましいのよ。だから、糖分の塊でもあるペロペロキャンディを殿下仕様に改良する事に決めたわ! 」
「殿下仕様?! 」
「ええ。糖分を消費するには運動が一番なのだけれど、食べた先から運動して頂くのは無理よね」
「まぁ、無理だよね。いつ食べたかなんてわからないし」
「そこで、糖の吸収を抑える食物繊維の出番よ」
「食物繊維って消化されずにそのまま出ちゃうってアレだよね? 」
「ええ、そのまま出ちゃうアレよ」
「という事は、野菜や果物の食物繊維を使うの? 」
「半分正解よ。食物繊維には水溶性と非水溶性があるの。そのまま非水溶性食物繊維を練り込んだら、ペロペロキャンディの見た目も食感も悪い物になる事請け合いね。なので、水溶性の食物繊維を練り込むのよ」
「水溶性の食物繊維って何から作れるの? 」
「それが……果物からも取れるらしいのだけれど、いまいち過程わからないのよね……」
「じゃあ、どうするの? 」
「海藻類からよ。海藻が手に入り、うまくすれば寒天が作れるわ。その寒天を使ってペロペロキャンディを仕上げるのよ。まぁ、グミみたいになっちゃうかもしれないけどね……」
「ふ~ん……ぐみって言うのはよく分からないけど、海藻って海に漂ってる草みたいなやつだよね? 」
「そうよ。海に漂っている草ね」
「で、その食物繊維入りペロペロキャンディが完成するまではどうするの? 大人しく殿下が待っているとは思えないし、今のやつを献上するしかないよね? 」
「…………運動していただきましょう! 」
「だよね……それしかないよね……」
「…………」
結果、ナタリー経由でナディアを買収し、殿下のお目付け役とした。
ペロペロキャンディ1本に付き、広大な敷地面積を誇るコモンドール学園内3周。
まさに飴と鞭。




