表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スライムしか倒せないのに、勇者パーティーに入れられた件  作者: だからとむー?


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/16

第6章 『王都帰還 ― 英雄と誤解と少しの静けさ ―』

 三日間の行軍を経て、勇者マダマ一行は王都へと戻った。

 門の前では、兵士たちが整列して待ち構えていた。

 「勇者様だ!」「魔王軍の拠点を落とされた!」

 歓声が波のように広がる。


 疲労の色が濃いマダマは、それでも笑みを浮かべて手を上げた。

 その姿に、人々は一層の歓声を上げた。

 イノリは静かに祈りを捧げ、オレガは無言のまま敬礼する。

 オモイは小さくため息をついた。

 「……帰ってきたわね。地味に死にかけた気分よ。」

 「地味に、じゃねぇな。」マダマが苦笑した。


 > ナレーション:

 > 「彼らは凱旋した。

 >  称賛を受けながら、誤解も受けながら。」



 王の間。

 玉座に座る王は、厳粛な面持ちで一行を迎えた。


 「よくぞ帰還した、勇者マダマ・エル。そしてその仲間たちよ。」

 マダマ:「拠点“カノン遺跡”は制圧しました。犠牲は……ありません。」

 「……そうか。見事である。」


 王は満足げに頷いたが、次の瞬間――眉をひそめた。

 「……なぜ、報告書の余白に“岩が硬かった”とある?」

 沈黙。

 全員がキルスを見た。

 「……いや、ただの感想です。」

 「報告書に感想を書くな」



 謁見が終わると、王は小さく微笑んだ。

 「勇者よ。

  そなたたちの働きは王国の誇りだ。

  だが、次が本番だ。――魔王を倒せ。」


 マダマ:「……承知しました。」

 オレガ:「我ら、必ず果たします。」

 イノリ:「神の加護がありますように……。」

 オモイ:「フラグっぽい言葉は禁止よ。」

 マダマ:「ほんとそれな。」



 謁見の後、王都の空は茜に染まっていた。

 街の賑わいが戻り、子どもたちが走り回る。

 その中心に立ち、マダマは静かに息を吐いた。


 「……勝ったのにな。」

 「実感、ねぇよな。」オレガが答える。

 「まだ、終わってないから。」イノリが微笑む。

 オモイ:「休む時間、ちゃんと取らないとね。」

 キルス:「俺、次こそ役に立つから!」

 「今までも立ってたよ。ネタ的に。」マダマが笑う。


 焚き火のように、短くあたたかい笑いが広がった。


 > ナレーション:

 > 「勝利の喜びよりも、ただ“生きて帰った”安堵。

 >  それが、彼らにとって本当の報酬だった。」



 夜。

 酒場の窓から、笑い声が漏れていた。

 五人は静かにグラスを掲げた。


 マダマ:「次は魔王城だ。」

 オレガ:「最後の戦い、か。」

 イノリ:「必ず、帰りましょう。」

オモイ:「死亡フラグ立てるなってば。」

 キルス:「いや、今回はマジで立ったな。」

 マダマ:「やめろ!」


 笑いながら、全員が同時に飲み干した。


 > ナレーション:

 > 「こうして勇者マダマ・エル一行は、

 >  再び旅立つ準備を整える。

 >  そして夜が明ける――

 >  新しい戦いの幕が、静かに上がろうとしていた。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ