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月は無慈悲な紅き女王  作者: 蒼蟲夕也
第三章 ヒャッキヤコウ
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第22話 メールの返事

「きたきたきたきたっ! メール! 返事来たっ! これすごいっ!」


 ぴょんぴょんとはしゃぎながらシズが食堂に戻ってきたのは、それから五分もしないうち、である。


「……なんて送ったの?」

「えっと、とりあえず『元気?』って」

「返事は?」

「『連絡OSEEEEE』だって」


 一応、元気はあるみたいだ。

 島田が、


「状況と今いる場所を聞いてくれ」


 というと、シズは食堂から出て行く。

 数分すると、ぴろりろりん、と、音がする。


「また返事きたっ」


 すぐに食堂を出て、今度は絶縁体でできた袋にしまうのもそこそこに、戻ってきた。キミタカを含めた、その場の人間全員を冷や冷やさせる。


「『ちょっと撃たれちゃったから、回復中。再生するのに、しばらく時間がかかる。今隠れてるとこ』、だって! えーっ、大丈夫なん! えーっ」

「シズちゃん。報告は簡潔に」


 島田がやんわり注意する。


「ええと、……なんやこれ。『辞表を捨てたところの近くにいる』……辞表?」

「一種の暗号です」


 キミタカは言い切る。内心、アカネへ恨み言を言いながら。


「新昭和湖のあたりですね。あの廃棄された基地の周辺です」


 キミタカは地図を取り出し、だいたいの場所に丸をつけた。今、改めて地図を見ると、以前入った場所は、見事に『立ち入り禁止区域』の奥の方だった。そういった場所は人間には危険すぎて、麓のわんぱく小僧でも近づかない。今更ながら、背筋が凍る思いだ。


「ここか……」


 島田は少し舌を打つ。他の先輩方も、同じ思いのようだった。


「急いでも一時間半はかかる。今は百鬼夜行の最中な上、視界も狭い。くそっ。もう少し近けりゃ援護も出来たんだが……手詰まりだな……」

「そんな!」


 悲鳴を上げたのは、シズだ。


「まだ、わからん。とにかく打開策があるかも知れん。もう一度作戦を練る。シズちゃんは引き続き、詳しい状況を聞いてくれ……」


 そこで、シズの袋から発信音が鳴った。さっきのと同じ音だ。

 慌てて食堂から出るシズ。少しして、「アカ姉ぇのあほーっ」という声が聞こえた。


「どうした?」

「『暇。しりとりしよう。』だって!」


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