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GSC Game World 「S.T.A.L.K.E.R. SHADOW OF CHERNOBYL」

 今回はあるゲームとその原作に関して、印象に残った体験とエピソードを。


 「S.T.A.L.K.E.R.」はウクライナの会社が製作したゲームで、「SHADOW OF CHERNOBYL」はシリーズ一作目。これの前日譚「Clear Sky」と後日譚「Call of Pripyat」の三本がある。


 チェルノブイリ原発周辺に発生した危険地帯「ゾーン」には、放射能により変異したミュータントや「アノーマリー」と呼ばれる異常現象、アノーマリーから生まれて人に利益をもたらす謎の物質「アーティファクト」が存在する。

 ゾーンの危険を掻い潜り、持ち帰ったアーティファクトを売るなどして生計を立てる「ストーカー」、違法適法を問わずゾーンに入り込んだ多くの人々が「ストーカー」としてゾーンで暮らしている。


 主人公マークドワンは、ゾーン中心部から走ってきた「死のトラック」が落雷で事故を起こした際に投げ出され、そこをストーカーに拾われる。

 彼に過去の記憶は無く、所持していたPDAには「Strelokを殺せ」という謎のメッセージのみが残されていた。唯一の手がかり「Strelok」の名前を辿り、ストーカーとしてゾーンの中で生き延びながら、マークドワンは自分が何者なのかを追い求めていく。


 あらすじは大体こんな感じでいいはず。

 このゲーム、ゾーンの厳しい環境を現すためなのか結構厳しいシステムが多い。

 武器防具には耐久度があり、使い続けると性能が低下する上に、修理は不可能。銃器には集弾率が設定されているため、狙ったとおりには飛んでいかない。プレイヤーキャラの耐久は低く、防具無しでは普通の人間同様に銃弾を数発受ければ死ぬ。


 筆者はゲームがあまりうまくないので、慣れるまでには何度も死亡した。

 攻略サイトを見て、「アーティファクトをゲットして一攫千金」なんて事を考えたが、うっかりアノーマリーに引っかかって死亡する、なんてこともあった。


 そんな事を繰り返す内に、ゾーンの寂しい景色やろくでもない奴も多い同業者達、危険極まりないミュータントやアノーマリーにすら愛着が湧いてくる。

 自分が何者か、そしてゾーンの謎を追うマークドワンの旅路は、辛く苦しい事だけではなかった。



 そんな彼の旅の中起こったある出来事、これがとても印象に残っている。

 ストーカーの中には派閥がいくつかある。Lone Stalkers、Bandits、Duty、Freedom。その中でもBanditsという派閥は、名前の通り盗賊なのでこちらを殺して荷物を奪おうとしてくる。


 その時もいつものように彼らに襲われ、返り討ちにした。当たり所が悪かったのか一人のBanditsが死亡していなかったので(ゲームシステム上ありうる出来事)、苦しむ位ならとライフルから拳銃に持ち替え、とどめを刺そうと彼の頭に狙いをつける。

 そうして後は引金を引くだけとなった時、少しだけ考えた。こいつは何故ここに来たのか、外に家族はいるんだろうか、と。

 原作?になった映画や小説が影響したのかもしれない。ゲームのキャラにこんな事を考えていてもきりがない、すぐにそう思い直しとどめは刺した。


 このゲームをプレイしたのは大分前だが、この出来事は今でも思い出せるほど印象に残った。そして、これは物語を作る上で、作家として大切な物だとも思っている。

 「悪役を主役に」といった筋書きも、敵である彼らの背景を想像した人間がいたからこそ生まれたのだろう。



 そしてもうひとつ、原作である小説(映画)のひとつ「願望機」の中のエピソード。


 「S.T.A.L.K.E.R.」の世界でも、「願望機」の世界でも、「ゾーン」の中心部には「願いを叶えてくれる場所」があると言われている。

 「願望機」はその願いを叶えてくれる場所へ二人の男を連れて行くストーカーの話で、これはその道中に彼が語った事。


 ヤマアラシと呼ばれる腕の良いストーカーがいた。ゾーンの中へ何度も行き来した彼だが、ある日弟を失う。そんな彼がしばらくして、願いのかなう場所を目指すと言いゾーンに向かった。

 無事帰ってきた彼は何故か大金持ちになり、そのしばらく後に首を吊った。


 彼に起こった事を人は推測する。

 ヤマアラシは弟を生き返らせるために「その場所」へと向かい、辿りついた。そして弟の蘇生を願うが、叶ったのは彼の夢「大金持ちになる事」だった。

 「その場所」にある願望機は、願う者の最も強い望みを叶える。長年の夢だった「大金持ちになる事」と「弟を生き返らせる事」、願望機は前者がより強いと判断した。

 そう考えてしまい、そんな自分に絶望したからこそヤマアラシは自殺したのではないかと。


 強い、心からの願いが映し出す自分の姿。それを確認するのは怖いことだろうか?それがどれほど醜いものであっても、自分自身だけはそれを肯定するべきなのでは、と筆者は思う。

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