34話、予定
またも余談が多くなってしまい、話が進みません……
誤字脱字あるかもです。
現在遥希は獣国の王城の中に部屋を借してもらって生活している。
王城内で何をするかというと、特に何もしない。一日中部屋の中に籠っていたとしても、服は着させてもらえるわ、ご飯は届けてもらえるわで息だけすれば生きていけるほどの豪華なニート生活を送れる。
一応遥希は健全な日本男児なので、着替えを手伝うなどと言われた時には、恥ずかしさから思わず赤面してしまった。
『人様、しかも女性に裸体を晒すなど、言語道断だ』と言ってはみたものの、全く理解されなかった。この世界には四字熟語も諺もないのだ。通じなくて当然である。
ともかく、遥希は異世界に来てまだ2週間と経っていない。
せっかく日本と違う文化を持った世界に来たのに何もしないのは勿体ない。それに遥希にはニート精神など皆無なのだ。
まぁ、日本にいた頃、友達と呼べるものはいなかったため、ニートだろうとそうでなかろうと人間関係は破綻していただろうが。
余談が過ぎたが、遥希は今アウリールを探して城内を歩き回っていた。
「重要な話がある」と告げた後、「なら明日、城内にある私の部屋に来い」と言われて今まさにその部屋を探しているのだが、
「……どこだここ?」
案の定、迷子になってしまった。
創造で探そうと思ったが、頼りすぎるのはいけない、とわざわざ自分から縛りプレイを始めたのだ。
遥希は使用人に聞きながら探そうと思っていたのだが、その使用人に奇跡的に会えていない。
先ほどからかれこれ数十分が経過している。もうそろそろいいかな? と縛りプレイを諦め創造を使用する。
「アウリールの部屋の位置と、そこまでの道筋」
頭の中でレーダーをイメージする。と掌に円形の物体が現れた。無論、レーダーである。
そしてそのレーダーは遥希のイメージした通りに位置と道筋を示した。
「……はぁ」
遥希はレーダを眺めると、アウリールの部屋は自分の位置と真逆の位置に存在していた。
「まぁ、仕方ないか。それじゃ、急ぐか。一文字解放、速」
遥希は緑の光に包まれ、目にも止まらぬ速さで廊下を駆けた。
これならすぐに着くと思っていたが、道中、メイドに引きとめられた。何事かと訝しげに相手を見やる。と、そこにはメイド長のレイラが立っていた。
レイラ曰く、「廊下は歩いて通るところです」だそうだ。
仕方なく創造を解き歩いて向かうことにした。想像以上に時間が食ってしまうが仕方ないと割り切ってゆっくりと向かうことにした。
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「ハルキ」
「なんだ?」
「遅い! 遅すぎる!」
あれから結局、数十分も時間を食ってしまった。遥希としては安全を考えた配慮だったのだが、アウリールはご立腹のようだ。
「あぁ、そうだな」
「私は遥希に謝罪を求めるっ!」
「……はぁ。今日も空が青いな……」
「貴様……嘗めているのか……?」
澄ました顔で流そうと思っていたのだが、そう簡単にはいかないらしい。
このままでは話ができないため、仕方なく頭を下げる。全く、面倒なやつだ。まぁ、全面的に俺が悪いのだが。
どうやらアウリールも矛を収めてくれたらしい。少しばかり不機嫌な顔をしているが、頭でも撫でておけば許してくれるだろう。
「それで、話というのは何なんだ? ……もしかして愛の告白……!?」
「自分はこれにて失礼します」
「待った待った! ちゃんと聞くから帰らないで!」
遥希は心の中で溜息をつく。
「じゃあ話すぞ。俺はそろそろ人間国に行こうと思う」
「なぜだ?」
先ほどのアウリールと違って、かなり真剣な顔つきだ。心なしか普段よりも声もが低いような気がする。それだけ重要なことなのだ。
「理由という理由はないが、誣いて言うなら知識がほしいからだな」
「知識か? それならこの国の書物で事足りると思うが」
「それでもいいんだが、俺はこの目で実際に見てきたいんだ」
アウリールは親指を蟀谷に当てうーんと唸る。きっと彼女なりの考え方なのだろう。
そしていきなり顔をあげたかと思うと、目を輝かせ、満面の笑みで宣言する。
「なら私もいくぞ!!」
「……はぁ?」
今度は遥希が唸る番だ。目を瞑り腕を組み、意識を思考に埋めていく。そして結論を出した。
アウリールはこの国の重鎮だし、何より自分はまだ弱い。自分すら守れないやつに人を守れるわけがないのだ。だから一緒に旅をするならもう少しレベルを上げて強くなったらにしよう。
そういって断ろうと考えていた遥希。そしてゆっくりと目を開けてその理由を述べようとする。が失敗。
なぜならアウリールが祈るように手を胸の前で組み、目を潤わせながら、不安そうな顔をして下から見上げるようにしてこちらを見ている。世間でいう上目使いだ。
これはやばい。頭ではなく、直感でそう感じてしまった。
遥希が葛藤していると、そのままの体制でアウリールが
「私とじゃダメ……か?」
「………」
遥希が折れるのに、さほど時間を要さなかった。
あの綺麗な容姿であのお願いをされて断れる人間などいるのか、思わず世界中にそう問いかけたくなるようだった。
「……わかった。一緒に行こう」
「本当か? よしっ!」
遥希はアウリールにこれからの予定を伝え、自室に戻る。アウリールの部屋に行くのに余程の時間を要したのか、辺りは暗くなっていた。
「ふぅ、なんか疲れたな」
出発は明日。ガヴァロンの許可を取っていないが、あの人なら大丈夫だろう。今日は何か眠いしもう寝よう。
それから数分後、遥希の意識は闇に沈んでいった。
自分で考えてるのであれですが、アウリールがかなり可愛く感じています。
結構甘えるのが好き、みたいな最初の想像とは違う方向にいっている気が……
まぁ、かわいいので結果オーライです(笑)
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