紫(むらさき)ろまんす
雪間の君のろまんすは、果たして成就するか否か
投稿日:[2021年01月02日 21時 22分]
神坂紫、二十二歳。
日本文学を専攻する文系女子である主人公が送る院生生活は、平穏なようで波乱万丈。
文系と理系の蔓延る評価の違い。
男っけのない枯れた青春を送る主人公と、対照的に男遊びの激しい妹。
そんな中、彼女が望んでいる訳でもないのになにかとアプローチをかけてくる男子「鳥足くん」
個性強い周辺の人物に振り回されながらも、日々逞しく成長していく主人公の姿を描いた恋愛作品です。
本作の一番の見所は、なんといっても豊かに描かれた心情でしょうか?
主人公の少々独特な思考を、巧みな比喩を交えて面白く表現しています。
心地良いリズムに、あれよあれよと、作品の世界観に引きこまれてしまうことでしょう。
──春日野の 雪間をわけて 生ひ出てくる 草のはつかに 見えし君はよ
紫のろまんすは果たして成就するのでしょうか?
*
さて、散々作品紹介をしてきて今更っていう感じもあるのですが、私、基本的に完結作品を好んで読む人です。
物語というものは、完結したその瞬間、もっとも強く光り輝くものだと思っていますし、可能であれば、最後まで読了した上で評価・レビューをしたいと考えています。
そんななかこの作品、あまりにも自分にツボ過ぎて、まだ未完でありながら早々にレビューをしようと決めてしまいました。
特筆すべき点は、なんといっても作者様の文章力でしょうか? 会話文の狭間を埋める、何気ない地の文にセンスが滲みでています。リズムがいいっていうんですかね?
さて、リズムの良い文章ってどういうの? と聞かれたとき、私はこう答えることにしています。
・余計な描写は書かない
・とは言え、必要なものはしっかり伝えるように、時としてしっかり描写を交えた長文で書ける
・文末が単調にならない
・文章の繋ぎで極力「接続詞」に頼らない。
本作で、特に好きだった表現がここ。
「作業服姿の父が目じりの皺を深くする。こういう時、父ももう五十代なのだなあ、と実感する。決してもう若くはない。」
ああ、これだ、と。作者様天才だな、と確信に至る一文でした。
所々で入ってくる、情緒豊かな「和歌」の表現。
主人公の前に現れた「鳥足くん」。後輩のスイーツ男子。思わせぶりな元同級生等々。構成的な登場人物によって彩られた日常の描写に、あっさりと引きこまれてしまいました。
丁寧な筆致で綴られる、女性視点で展開するラブ・ロマンスの世界を覗いてみませんか?
※こんな人にオススメ
・女性主人公のヒューマンドラマを探している方
・恋愛作品が好きな方
・筆致が丁寧な作品を探している方
作品名:「紫 (むらさき)ろまんす」
作者名:yuma様
ジャンル: 現実世界〔恋愛〕
作品URL:https://book1.adouzi.eu.org/n8389ec/




