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療養病床削減問題

 なんで療養病棟?そんなことよりコロナの話をしようよ。


 お気持ちはわかりますが、withコロナの時代を生きなければならない我々にとって、療養病棟の削減問題は以前より注視しなければならない問題になったのではないかと筆者は考えます。


 もとより日本は超高齢社会、しかも改善の兆しはなく、2025年より高齢化に超が年々増えていく倍々ゲームです。



 さて、突然ですがあなたの親、又は愛する人が認知症を患いました。



 夜中に徘徊し、無銭飲食や不法侵入で警察に呼び出されます。


 車にはねられそうになりケアマネや保険会社、事故当事者から連絡が頻繁にきます。


 周辺症状がひどく易怒性から暴力沙汰となり、被害届を提出されてしまいました。


 自分には仕事があります。


 親の国民年金は月6万円ほど。若年性認知症だとすれば傷病手当金・障碍者年金合わせても10万円ほど。


 民営の有料高齢者施設ならば一時金1400万円前後、月額16万ほどですぐに入れますが、安い公的施設なら5年~10年待ちと言われます。


 さぁ、あなたはどうしますか?


 厚生労働省は、2016年12月に、2017年度末で介護療養病床を廃止する全面方針を発表しました。


 政府は2006年2月、「入院している人の半分は治療の必要がない」として、当時38万床あった病床のうち介護型療養病床(13万床)を全廃し、医療型療養病床を4割減らして15万床にする方針を決定した過去があります。


 しかし一連の病床削減策は、入院先を求めて住み慣れた地域をやむなく離れたり、自宅にお年寄りを引き取った家族が介護に悲鳴を上げるケースなどを生みました。「患者追い出しを誘導し、行き場のない医療難民を大量に生む」との強い批判も招き、結果として頓挫とんざしました。


 病床減らすのはいいですが、その為の体制が整って無い癖に、減らすことばかり先行するから失敗すると全く学ばないのが政府であり厚生労働省です。


 そして危急存亡時に困るのは国民であると、今回のコロナ騒動で皆様実感されたのではないでしょうか?


 さて、日本は諸外国に比べ病棟数が多いという話は連日コロナのニュースで皆様の耳に届いていると思われます。しかしながら、日本に多い病棟はあくまで〝慢性期を診る・看る〟【慢性期病棟】〝地域までの回復までをサポートする〟【回復期・リハビリ病棟】〝最期を看取る〟【療養・終末期病棟】が他国より豊富なだけであり、急性期に対応する病棟の数は諸外国に比べて突出して多いわけではないのですよ。



 なによりも日本医療において異常ともいえるのが【在院日数】です。簡単に言えば〝その人が入院してから退院するまでの期間〟です。日本の平均在院日数は36,4日、2019年度調査を参照させていただき病床でわけると一般病床16日、療養病棟141,5日、精神科病棟では300日超。


 他国の同年ですが、ドイツ 10.9 日、フランス 13.4 日、イギリス 7.6 日、アメリカ 6.5 日――と、G7において筆者が調査できた約50年間、【一度入院したら中々退院出来ない国】ナンバー1の地位を不動のものとしております。


 日本は国民皆保険の国です、医療費の7割は〝自分ではない誰か〟が負担してくれています。『赤の他人の治療費に自分の金が使われるなどふざけるな!』と叫んでもいいですが、米国のような国になる事がお望みの方は少数派であると願いたいものです。

 

 【何故日本はこんなに在院日数が長いの?】


 という疑問には所説あります。


・そもそも高齢社会であり、【一般病棟】に入院する患者様の重篤度が桁違いで、回復まで時間を要する場合が多い


・退院後の福祉サービスが他国に比べ遅れをとっている


・【社会的入院】が多い ※【社会的入院】とは、既に治療の必要はないが、社会に患者の受け皿が無いため入院を継続させなければならない事


 などが問題として挙げられています。

 

 良く言えば〝長く手厚い医療ケアが受けられる〟、悪く言えば〝【姥捨て山】【私宅監置】という負の面が現代も解決出来ていない〟のが日本医療です。


 また《「介護療養型老人保健施設(転換型老健施設)》と呼ばれる福祉と医療の両立設備、看取りまでのケアが行える施設が、諸外国に比べ少なく、入所までの敷居が高いことも問題視されています。


 療養病棟が削られるお題目は【無駄な医療費が削られ,本当に必要な所に医療費が使われる】というなんとも耳障りの良い美辞麗句です。


 さぁ、【無駄な医療費】ってなんでしょう?


 【無駄な医療費】として『指定感染症病棟』を削った大阪は、現在どのような惨状を呈しておりますか?【無駄な医療費】として病院が過剰な検査をしなければならない背景には、行政や司法が医療にどのような仕打ちをしてきたかお忘れですか?


 削ることありきで改革を進め、困るのは我々です。行き場の無い患者様が増え、急性期病院が患者様で溢れ、退院後の行き場が無く、地域医療が荒廃してしまう可能性があるのです。


 今後、コロナウイルスがどのように日本療を変貌させていくかは解りません。そんな中で新たな受け入れ先の代案も出さず【無駄】と削られる。


 これは恐ろしいことと、わたくしは考えます。

 

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 20代でこれから医療に携わる人間としてはどっちにしても将来今のレベルの医療を受けられないのは明白なので、正直親世代が死んだ後ならどれだけ問題が顕在化しても大した変わりはないな、というの…
[良い点] 更新お疲れ様です。 [一言] 官僚や政治家は家族を含めて自分たちの入院先は一声掛ければどうにでもなるとか? 何か都合の悪い時には皆さん急病に罹って、直ぐ入院出来るようですし。
[一言] 丁度私が勤務していた頃ですね、この頃院長は患者の行き場がなくなるのはしのびない、と、頑張ってくれていましたが、上には逆らえず止む無く患者を次の施設へ送る事になってしまいました。個人の病院で受…
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