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月見山りりはヒトデナシ  作者: ふる里みやこ
ゼーヴィル編
80/208

80話 魔人さんファンクラブ

 


 りりが二つ名のことでアーシユルをどやしていた頃の食堂。

 そこには、前回飯抜きをくらった男達が居るグループが居た。


 下まで届いてきたりりの咆哮を聞き、グループのリーダーの女性が微笑ましい顔をして口を開く。


「魔人さん元気になったみたいだね」

「早かったな。また口づけでもしたのかね?」


 前回飯抜きをくらった男性がそんな事を言う。


「お前下世話だよな」

「アレ見たら考えるだろう男なら」

「まあわからないでもないな」


 この男2人は何かと仲が良いのだが、その2人を見て、冷静そうな男性が呆れながら冷水を浴びせる。


「お前ら懲りないよな」

「「何がだ?」」


 言い渡されるのは死刑宣告。


「飯抜きって事だよ。店員さーん。こいつら2人の注文取り消しで! もし、もう作っちゃってたら、それは魔人さん達のところにやってあげて!」

「「え、マジで!?」」


 かくして、彼らは再び飯抜きになってしまったのだった。




 数分後。

 泣き止んでとりあえずの元気を取り戻したりり達の部屋に、食事のトレイを持った店員がやってきた。


「……これは? あたしら頼んでないんだが」

「あちらのテーブルのお客様からです」

「あちら?」


 アーシユルが扉から出て食堂の方を覗き込むと、いつか見た小グループの連中が居て、アーシユル達に向かって笑顔で手を振っていた。男2名を除いて。

 訳もわからずに、ぽかんとした顔のまま、手を振り返し、そのまま店員に疑問を投げかける。


「何でだ?」

「さあ? そこまでは」

「……毒とか?」

「まさか。作ったのは我々ですよ?」

「だよなぁ? 大体、敵意もなさそうな顔してるし……ありがたく頂いておこうか。丁度あたしも腹減ってたんだ」


 今宵、2人は温かいスープと焼きエビにありついた。




 食べながら、りりは素直な疑問をぶつける。


「ところで、こっちの人はエビも生で食べたりしないの?」

「日本人て、何かと生で食べすぎじゃないか? あれもこれも生で食ってる印象なんだが」

「……確かに」


 ゼーヴィルに来てからというもの、自分達日本人の悪食具合を幾度となく痛感するりりだったのであった。




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