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壁際の彼女
我が家のトイレに座ると、目の前には美しい彼女がいる。
大きな目にすっきりとした鼻筋、微笑む口元。
壁のシミに、僕はいつしか理想の女性を重ねるようになっていた。
「君に会いたい」
トイレに座る度、愛を囁く…… ウ○コしながらではあるが。
場所柄、仕方ないよな。
ある日、同じように囁いていると、甘やかな声が言った。
「じゃあ、来て」
「丁度スッキリしたところか。良い顔の仏様だ」
検視官の背後の壁には、人の顔のシミ、2つ。
家紋武範さま 『夢幻企画』 でなぜか思いついたネタです(爆)




