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バンドー  作者: シサマ
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第49話 シドニーの明日 (前編)


 「アバーダが拘束されただと!? 冗談はよせ! 奴は慎重な男だ。たかがオセアニアの警察に捕まる訳がないだろ!」


 ニュージーランドはオークランドを拠点に、スポーツ選手や芸能人相手にドラッグを捌いていたディーラー、ムナス・アバーダの拘束。

 その事実は、イスラエルからアースの勢力図を塗り替えんと企むフェリックス社の裏稼業担当、ヨーラム・フェリックスの顔色を豹変させていた。


 「……ヨーラムさん、いくら百戦錬磨のアバーダでも、レストランの店員が偶然壁に掛けたルームミラーの存在まではフォロー出来ません。あれだけ明確な証拠を出されたら、裁判官の買収も難しいですよ……」


 アバーダが重役を務めていた会員制クラブ『キングス』から、かろうじて捜査の目を逃れた従業員は、電話の向こうのボスに対し、命乞いにも似た弁明に必死である。


 「……兄上、とんだ失態ですね。オセアニアで急増する賞金稼ぎ志望者を利用して、商売仇を潰すつもりだったと聞いていましたが、真っ先に部下が御用とは、おっと……」


 家族会議の為に、イスラエルはテルアビブの本社に駆け付けた一族の末っ子メナハムは、そのリラックスした様子の中にも、自慢の剣の手入れには余念がない。

 僅かな埃もくまなく拭き取るその潔癖ぶりは、彼のファイトスタイル同様、完璧主義に裏打ちされているのだ。


 「フン、貴様は気楽なものだ。政治や経済を学ばずとも、ただ剣士をやっているだけで尊敬を集めるのだからな。早く我が社の広告塔にふさわしい、世界一の剣士になってみせろ!」


 「……ヨーラム、まあ落ち着け。誰にでも想定外のトラブルは起こるものだ。わしはいつでもお前に期待しているぞ」


 苛立つヨーラムをたしなめたのは、社長として多忙を極める、ヨーラムとメナハムの父親デュークに代わり、85歳の現在もフェリックス社のビジネス最終決定権を持つ、デビッド・フェリックス名誉会長。

 彼自身は剣術、魔法学校のアジア進出に失敗して以来、表側のビジネスからは手を引いているものの、会社の裏稼業を統率する「汚れ役」を進んで引き継いでくれた孫のヨーラムには、万全のバックアップを保証していたのである。


 「おじいさま、この度の件、誠に申し訳ありませんでした。剣術や魔法すらろくに浸透していない地域と見下し、私自身にも何処か(おご)りがあった様に思います」


 ヨーラムは会社の創業者であるデビッドに深く頭を下げ、オセアニアのドラッグビジネスの立て直しをその胸に誓う。


 「……それにしても、警察や特殊部隊とやたら相性のいい、チーム・バンドーとか言う賞金稼ぎ連中は目障りだな。もう、わしらの息のかかった人間を何人も挙げておる。更に厄介な事に、こやつらはレオンの孫娘とも交流があるらしいのだ……」


 ストレスを感じると、息子デュークの机に眠る葉巻に思わず手が伸びそうになるデビッド。

 だが、葉巻は今は亡き妻、オードリーとの誓いにより禁じられていた。


 「……お義父様、お義母様との契りを守り、長生きしていただかなければ……。確かファケッティ顧問のお孫さんは、アニマルポリスで動物の保護や捜索に関わっておられるのですよね? アニマルポリスの活動地域はあくまでヨーロッパ限定ですから、今は心配要りませんわ」


 今や新興宗教団体の教祖として、アース全土でカリスマ的な地位を確立している社長婦人、ナシャーラは、その神秘的な美しさでデビッドの不安を和らげている。


 

 フェリックス社はデビッドと、その親友であり、旧アメリカ合衆国の財閥の忘れ形見でもあるレオン・ファケッティとの二人三脚で栄華を極めた企業。

 そのレオンの孫娘こそ、アニマルポリスのシンディであり、彼女はオーストリアのワニを巡る騒動で、バンドーとともにフェリックス社の役員であるカブール拘束に貢献していた。


 「奴等が厄介だとして、あくまでも一介の賞金稼ぎに過ぎません。我々はいずれ反逆の民を煽動し、知力でも武力でも新しい秩序を創造しなければならないのです。その頃には、もはや剣術や魔法は恐るるに足りませんよ」


 まだ24歳のヨーラムには、一族の伝統と教えだけにとどまらない、無限の野望が広がっている。

 自身の計画に沿ってドラッグや武器が集まる環境に身を宿していれば、今は気になるチーム・バンドーの台頭も、やがて蚊に刺される程のダメージすら感じなくなるだろう。


 「兄上、俺が世界一の剣士になる為には、まずは同じ武闘大会でMVPを獲得した、チーム・バンドーのハインツという男は倒しておきたいものです。そして、かつての世界最強剣士であり、引退した今も実力者の挑戦を軽々と退けているダグラス・スコットも……」


 武闘大会用にこしらえたモヒカン頭を丸めたメナハムは、まるで修行僧の様な丸刈りの風貌になっていたが、ライバル剣士を語る時の瞳は無邪気な少年の様に澄み切っている。


 「……チーム・バンドー自体に興味はありませんが、あのリンという娘だけは、一介の賞金稼ぎに終わらせるには惜しい逸材です。あの娘なら、私の後継者になれる。高貴な志と抜きん出た魔法を用いる事で、新しい秩序が生まれた後も、民の心の統率を図る事が出来るでしょう」


 リンの魔法を一目見ただけで、彼女を自分の後継者にスカウトしていたナシャーラ。

 リンがフェリックス社に持つマイナス感情は根強いものの、ナシャーラは未だ説得を諦めてはいないらしい。


 「……よかろう、チーム・バンドーに関しては、もう少し様子を見る事にする。ヨーラム、お前が考えていた、オセアニアの賞金稼ぎ志望者の熱気を利用した商売仇の一掃という計画は、決して間違ってはおらん。学校に出資する我が社こそが、若き剣士と魔導士の未来を握っているのだからな。続けるがよい!」


 「はっ……! 身に余る光栄……!」


 電動車椅子を走らせ、屈強なSPとともに会議室を退出するデビッドに、再び深く頭を下げるヨーラム。


 「メナハム、目ぼしい大会もない今、貴様にトレーニングだけの無駄な時間はやれないぞ! 予定は立ててあるんだろうな?」


 威勢の良さを取り戻したヨーラムがメナハムを睨み付けた瞬間、既にメナハムはナシャーラとともに、何やら手持ちの資料を確認をしていた。


 「……前々から、母上と話はしています。現在、ヨーロッパ各地で事業のスタッフをスカウトしているダグラス・スコットが、近日中にギリシャを訪れるそうです」


 「……ギリシャだと……!?」


 メナハムの言葉に反応するヨーラム。


 「そうです。ギリシャには我々が配下に置いているテロリスト、ルベン・エスピノーザが、エディ・マルティネスと名を変えて潜伏しており、奴が警察に保釈を要求しているパパドプロスという男は、チーム・バンドーの友人、バシリス・カムイの父親だそうです」


 不敵な笑みを浮かべる、メナハムとナシャーラ。

 

 これはすなわち、ギリシャに行けばチーム・バンドーとダグラス・スコットを一網打尽に出来る可能性があり、ここでメナハムの名声を更に高められる。

 加えて、強力なテロリストの暗躍でギリシャを恐怖に陥れ、ロシアを中心としたEON(アース・ワン・ネイション)体制にも大打撃を与えられる。


 彼等はそう確信しているのだ。



 6月5日・9:00


 シドニーへと向かうチーム・バンドーは、オセアニアをよく知るバンドーとシルバの先導により、混雑を避けた裏道からオークランド空港を目指している。


 だが、観光客の少ない裏道はすなわち地元民の穴場であり、彼等が朝の散歩に連れている大型犬は、動物全般に相性の良いバンドーに何となく引き寄せられていた。


 「おー、よしよし!」


 大型犬に囲まれてご満悦のバンドーを中心に、飼い主を巻き込んで作られた巨大な輪は実に壮観。

 それ自体がひとつの観光スポットとなってしまった為、元来動物嫌いのハインツは頭を抱えるばかり。


 「……おいおい、勘弁してくれよ……。しかもこれから飛行機に乗るんだろ……」


 嫌いなものにサンドイッチされる恐怖により、顔面蒼白のハインツ。

 一方、クレアとリンは、アスリート向けホテルの朝食に不満があった様子だ。


 「ヘルシーっちゃヘルシーなんだろうけど、高タンパク低脂肪メニューなんて、ダイエット中だけでいいわ……」


 確固たる信念の(もと)、女性観光客相手にも一切の妥協を許さないモリソン支配人の姿勢は、トレーニングに何らかのロマンを抱く男性には好評である。

 しかしながら、アスリート以外の多くの女性にとっては、今後オークランドを訪れる事はあっても、敢えてこのホテルを訪れる事はないのだろう……。



 (……皆さん……)


 「……ん? 今何か聞こえた!?」


 バンドーの耳に、突如として流れる聞き覚えのある声。

 その声は、時を同じくしてチーム・バンドー全員の耳に入っており、彼等を囲んでいた大型犬の意識にも届いたのか、バンドーを中心にして出来ていた巨大な輪は、犬達の動揺により少しずつその形を変えていた。


 「……フクちゃんの声ですね!」


 犬の飼い主達の不思議な表情とは対照的に、強い確信を持ってバンドーに応えるリン。


 (……聞こえている様ですね。私の野暮用は終わりましたので、シドニー空港で合流したいと思います。私はチーム・バンドーにはカウントされていないでしょうから、普段人間の姿で行動するか、フクロウの姿で行動するかを、現地で決める事にしましょう。ではまた……)


 フクちゃんからのテレパシーによって、犬達は一時的に混乱したものの、やがて落ち着いた彼等を引き連れた飼い主達は、ゆっくりとその場を立ち去って行く。

 

 チーム・バンドーにとってはこの瞬間が、久しぶりに訪れた賞金稼ぎとしての出番への切り替えスイッチとなっていた。


 

 9月5日・13:30


 3時間程のフライトを終え、飛行機嫌いのハインツを除いて万全のコンディションでシドニー空港に到着したチーム・バンドー。

 この時期のオセアニアは初冬だが、空は快晴、時刻も最高気温時とあれば、活力がみなぎってくるというものである。


 「シドニー空港の側に、美味しいピザ屋さんがあるんだ。今なら余り混んでないから、仕事前に食べておこうよ」


 「賛成! 何か栄養たっぷりなの食べた〜い!」


 バンドーの提案に真っ先に賛同したのは、ホテルのアスリート向け朝食に不満を持っていたクレア。

 

 シドニー庁舎、タウンホールにて行われる賞金稼ぎセミナーの開始時刻は16:00。

 ゆっくり食事を取っていても、十分に間に合う時間だ。


 

 「……ところでバンドーさん、気付いてます?」


 何やら悪戯っぽい笑みを浮かべているリンに声を掛けられ、慌てて五感を研ぎ澄ますバンドーとシルバ。


 鳥の羽音、しかもかなり近い。


 「ひゃあー」


 少し間の抜けた、それでいて懐かしい鳴き声に頭上を見上げるチーム・バンドー。

 そこには、見慣れた1羽のフクロウが羽ばたいていた。


 「フクちゃん、お帰り!」


 バンドーはフクロウを両手で捕まえ、パーティー5人で囲んだ輪の中に隠すと、その中から顔馴染みの小柄な女神様が現れる。


 「……皆さん、お久しぶりです……って、まだ人間の世界で4日しか経っていませんけどね」


 僅か4日間だから当然とは言え、フクちゃんの外見は以前と何ら変わってはいない。

 改めて1級神に任命された訳だから、衣装がゴージャスになっていたり、頭にティアラみたいな物が乗っかると勝手に想像していたクレアやリンは、やや拍子抜けした表情を見せていた。


 「人間の姿の私は、あくまで普通の人間に見えていなければいけませんからね……。目立ってはいけないんですよ」


 パーティーの胸の内を素早く見抜き、先回りのコメントを発するフクちゃん。

 東洋人に見える黒髪のおかっぱ頭も、そのままである。



 シドニー空港側のピザ屋で昼食を取りながら、互いの情報をシェアするパーティー一同。

 

 オセアニアのスポーツ選手や芸能人のドラッグ汚染や、ラグビークラブの買収にまで手を拡げるビジネス手法。

 更に加えて、アースの活断層を刺激し、再び大規模な震災すら招きかねない建設工事の目的等、フェリックス社の動きは、もはや一般人でも無視出来ないレベルに到達していた。


 「……いくらフェリックス社が影響力を持っても、EONP(アース・ワン・ネイション・プロジェクト)の下では、いち地域であるイスラエルが軍隊を持つ事は出来ません。政府と経済的な権力交渉は可能だとして、災害を誘発させてまで混乱を作る意味は理解しかねますが……」


 「ハドソンが言っていたが、奴等は剣術と魔法学校に出資している。政府を転覆させるタイミングで賞金稼ぎを大金で釣って組合から引き剥がし、会社の兵隊にするプランはありそうだな」


 「……それを言うなら、新興宗教の信者も利用すると思う。信者はお金で釣る必要もないもん」


 シルバ、ハインツ、クレアは、それぞれの意見をぶつけながらフェリックス社の目的を探り合い、フクちゃんはその意見全てに深く頷いている。


 「……でも、フェリックス社がそれだけデカい野望を持っているなら、もう奴等を何回か邪魔している俺達を組合から追い出したり、脅迫したりしていてもおかしくないと思うんだよな。俺達がシドニーで仕事する事だって、奴等は知っているはずなんだし……」


 バンドーの素朴な疑問に、一瞬の沈黙が訪れるパーティー。


 「……あの教祖、ナシャーラさんと言いましたか……。あの人は私に、仲間にならないかと誘っていました。剣士のメナハムさんも、武闘大会では戦えなかった、ランキングの近いハインツさんやカムイさんを倒したいでしょう……。彼等が私達を排除したいと思った時は、恐らく力ずくで来るのでは……?」


 リンの冷静な、それでいて緊張感に満ちた未来予測。

 事の重大さを懸念したシルバは、慌ててこの淀んだ空気の払拭を試みる。


 「……これだけの事態に確証が得られれば、政府や警察、軍も黙ってはいないでしょう。自分達には特殊部隊の仲間もいます。ジェシーさんを始め、自分達が必ず矢面に立たなければならない戦いではないと思いますよ!」


 「……まあそうだな。メナハムとは勝負したいが、俺達が本気で奴等に挑まなきゃならないのは、政治に不安を感じた時じゃねえ。仲間や日々の暮らしが脅かされた時だよな!」


 ハインツの言葉を最後に、チーム・バンドーは目前の仕事に意識を切り替えた。

 だが、自然の番人である女神のフクちゃんの意識に変化はない。


 活断層を刺激した後に発生する震災は、起きてしまってからではもう遅いのだから。



 6月5日・15:30


 地下鉄に乗り替え、タウンホール駅に到着したチーム・バンドー。

 この駅の真上にあるのが、まさにシドニー庁舎である。


 「ここから上れば直接タウンホールに行けるけど、時計台を目印にした庁舎は確か……1869年? だったかな? 凄く昔に原型が完成した、歴史的建造物なんだよ!」


 「え〜!? オセアニアにもそんな歴史があるのね! まだ少し時間があるし、1回外に出て見てみたい!」


 バンドーの故郷、ニュージーランドのカンタベリー地方には、教会くらいしか歴史自慢のネタがない。

 ここぞとばかりに繰り出したシドニーの雑学は、早速クレアの興味を惹く事に成功した様だ。



 「……おうおう! たかが時計台に興味津々とは、俺達の先生様は随分と庶民派なんだな!」


 突然、背後から轟く威勢の良い呼び声。

 

 普段なら小物のチンピラかと、パーティー一同が辟易(へきえき)する場面なのだが、バンドーとシルバはその声に聞き覚えがあった。


 「……えっ……!? ファーナム! グラハム!」


 バンドーは呼び声に振り返り、その目に映った懐かしい顔に思わず歓喜の声を上げる。


 「久しぶりだな、バンドー、シルバ! たった2ヶ月で、お前らがここまで有名人になるとは思わなかったぜ!」



 ファーナムとグラハムは、バンドーがヨーロッパに初めて来た飛行機に同乗していた、サッカークラブのサポーター。

 ポルトガルのリスボンFCに移籍したオーストラリア代表のサッカー選手、マクナリーを応援する為にスタジアムに向かったバスの中で、突然現れたバスジャック犯をバンドーとともに撃退した間柄。

 

 ある意味、バンドーの人生を変えた男達と言ってもいいだろう。


 「スタジアムでは偉そうに見える俺達も、現実は零細スポーツ用品店の経営者さ。シドニーも治安が悪くなってきたが、警備員なんて雇う金はねえ。護身術を学ぶ必要もあって、賞金稼ぎに志願したのさ」


 「ファーナムキャプテン、本音を言えよ! リスボンFCがヨーロッパの大会に出るから、旅費が沢山必要になっただけだろ?」

 

 30歳のファーナムはバンドーに近いがっしりとした中背の体格で、太い眉毛に短い銀髪。

 28歳のグラハムは2ヶ月分伸びた金髪がミュージシャンの様な印象を与えていたが、アマチュアのゴールキーパー経験がある長身が彼の判別を助けていた。


 「……だいぶ役者が揃ってきた様ですね。私は暫く単独行動します。セミナーが終わったら、また合流しましょう」


 外見が東洋系の女子中高生レベルなフクちゃんは、チーム・バンドー関係者を主張して強引にセミナーに参加するより、何か意味のある行動を見付けたに違いない。

 クレアとリンに合図して、静かに人混みの中へと消えて行く。

 

 「バンドーとシルバの友達か、それならそこそこやれるだろう。俺はハインツ、そっちはクレアとリン、宜しくな!」


 互いをネタに容赦のないジョークを飛ばせる関係。

 そんなファーナムとグラハムに、何かと人の好みにうるさいハインツも気を許し、女性陣を紹介しつつ、自らも握手を求めた。


 「バンドー、凄い事になってるぜ。お前ら、まだ剣術や魔法が浸透していないオセアニアだから、賞金稼ぎ志望なんて少ないと思っているだろう? ざっと見ただけでも、2〜300人は来てるぜ!」


 「……ええっ!? マジ!? さっき大ホール予約済みって看板見たけど、俺達のセミナーなの!?」


 ファーナムの言葉に驚きを隠せないバンドー。

 

 会場がシドニーである事から、オセアニア全土の猛者が集まる可能性は予測出来たものの、一般の住民というものは、自ら率先して街の治安を守ろう……などとは考えないはず。


 「……賞金稼ぎ志望のフリをした悪党予備軍が、何人か来ているとみていいだろうな……」


 眉間にしわを寄せ、苦々しく言葉を絞り出すハインツに、シルバとクレアも深く頷いた。



 6月5日・15:50


 「一般チケット参加者が372名……予想以上の人出に、私どもも少々驚いております」


 シドニーを管轄する、ニューサウスウェールズ州警察刑事局長、ギャビン・フライヤーは、頭髪は寂しく分厚いレンズの眼鏡までかけた、一見冴えない風貌の中年。

 しかしながら、スーツの上からでも鍛え上げられた肉体が認識出来、現場ではかなりのやり手であろう事は想像に難くない。


 「初めまして。アシスタントのベリンダです。一般の参加者様にはまず、16:00から約1時間、現在のオセアニアの状況と賞金稼ぎ、剣術、魔法に関するビデオを観て貰います。チーム・バンドーの皆様には、その後ステージに上がっていただき、自身の経験や賞金稼ぎとしての心構えを、自由に話していただけるとありがたいですね」


 フライヤー刑事局長の隣に立つ女性アシスタント、ベリンダは、この手の役職には珍しく、浅黒い肌に天然パーマ気味の頭髪をしており、オセアニアの先住民族の血を引いている可能性を窺わせていた。


 「EONPの下、チーム・バンドーの様な多民族パーティーが増えてくれるといいですな」


 白人であるフライヤー刑事局長の言葉は、どこまでが本音なのか分かりかねるものの、ここまでの待遇を含めて、特に悪い印象は持たれていない様子に映る。


 「俺、そんなに話す事ないんですけど、早く終わっちゃってもいいですか?」


 バンドーの正直な物言いに、シルバとクレアが慌てて彼を取り押さえたが、フライヤー刑事局長とベリンダは穏やかな笑みを浮かべて頷いていた。


 「皆様のお話が終われば、本日のセミナーは終了です。その後、希望者は近場のホテルに無料で1泊して貰い、明日、皆様と一緒に実習をしていただく事になります」


 「……実習、ですか……?」


 自分達の仕事は、剣術や格闘技、そして魔法に関するアドバイス程度のものだと考えていたリンは、「実習」という言葉に何やら違和感を覚えている。


 「はい、明日の午前中は、皆様に一般参加者の適性を見定め、得意分野での指導を行っていただきます。そして午後からは、当警察がマークしている窃盗団の逮捕、拘束に、一般参加者ともどもご協力願いたいと思います」


 淀みなく話を進めるベリンダだが、世の捕物帖は、必ずしも台本通りに行くものではない。

 

 「……自分達は特に問題はないと思うのですが、一般参加者の安全は保証されるのですか?」


 「ちょっと待てよ。そもそも一般参加者の素性は確認出来ているのか? 役所と警察の動きを探りに来た、悪党予備軍が紛れ込んでいるかも知れねえんだぜ!」


 シルバに続き、ハインツが目前の2人に質問の雨を浴びせる。

 その圧力に、少しばかりたじろいだベリンダを(かば)う様に、フライヤー刑事局長が詳細なデータを記した資料を持ち出した。


 「……今回の一般参加者は、オセアニアに過去5年以上の居住歴を持ち、オセアニアで犯罪を犯した事のない者に限定しています。そこは警察によるチェックで万全ですよ。そして、逮捕、拘束の現場を見る事で、非常事態での覚悟や自身が賞金稼ぎになるという決意を、改めて問うていただきたいのです」


 フライヤー刑事局長の言葉には、流石は現場の責任者らしい説得力がある。

 

 だがしかし、バンドーとシルバは互いに顔を見合せながら、かつてリスボンFC優勝の喜びの余りポルトガルの屋台で暴れ、罰金を喰らったファーナムがセミナーに参加出来ている現実に対して、ジワジワとこみ上げる笑いを堪えていた。



 6月5日・17:00


 「……ご静聴ありがとうございます。このビデオがアースにおける賞金稼ぎの歴史、そして現在のオセアニアの状況を理解する手助けになれば幸いです。それではここで、本日のゲストをご紹介致します!」


 ビデオ上映が終了し、一般参加者の意識が高まった瞬間を逃さず、ステージの袖でスタンバイしていたチーム・バンドーに(まばゆ)いばかりのスポットライトが当てられる。


 「……オセアニアの農家から、僅か2ヶ月でヨーロッパの武闘大会を制覇するパーティーのリーダーにまで上り詰めた、レイジ・バンドー氏と、その友人達による賞金稼ぎグループ、チーム・バンドーの皆様にお話を伺いたいと思います!」


 招待客を合わせて400人程度の歓声ではあるものの、そもそもひとりひとりの声量と熱気が違う。

 治安維持や護身、はたまた一攫千金など、目的はそれぞれに違うとは言え、ハングリーな向上心を持つ集団からのリアクションは、数千人規模のイベントに対応出来る大ホールを揺さぶらんばかりの迫力だ。


 「え〜!? この紹介って、まるでバンドーとその他みたいじゃない?」


 どちらかと言えば、バンドーが他のメンバー4人にくっついている様な立場だっただけに、クレアは若干不満顔。

 隣に立ち尽くすハインツの、筆舌に尽くし難い表情も一緒に代弁するかの様な愚痴が、思わず漏れてしまっている。


 「行ってくる! この順番で喋ればいいよ!」


 ステージの袖にはバンドー、シルバ、クレア、ハインツ、リンの順番で並んでおり、これは偶然にもパーティーが揃う順番と一致していた。


 「……み、皆さん初めまして! レ、レイジ・バンドーです!」


 これだけの人前で話した経験のないバンドーは見るからに緊張していたが、彼の登場に合わせて客席中央に下りてきたファーナムとグラハムの姿が目に入り、バンドーは親しい彼等に視線を合わせる事で、どうにか緊張感を払拭する。



 6月5日・18:00


 「チーム・バンドーの皆様、ありがとうございました! これを持ちまして、本日のセミナーは終了致します。この後は受付にて、賞金稼ぎ志望者の事前登録を。また、21歳未満の方にはこの10月に開校する剣術学校、魔法学校の入学願書を配布致します。尚、明日はチーム・バンドーの皆様と一緒に賞金稼ぎ実習を予定しており、賞金稼ぎ志望者を優先してホテルの宿泊費、実習報酬を提供致しますので、奮ってご参加下さい!」


 ベリンダのアナウンスと同時にホールの照明が点灯し、興味本位も含めた一般参加者の大半は、セミナー終了とともにそそくさと帰路につき始めていた。

 事前登録や入学願書、更には実習にまで興味を示している参加者は、旧知のファーナムとグラハムを含めても、せいぜい50名前後と言った所か。


 「あらら、結構減っちゃったね……。俺達、正直に喋り過ぎたかな?」


 やや不安気な表情で周囲を見渡すバンドー。

 

 「バンドーさん、心配は要りませんよ。今日のセミナーは、オセアニアで剣術や魔法、そして賞金稼ぎについて深く掘り下げた初めてのイベントなのですからね。ひとりでもふたりでも、先に進んでくれる人の存在があればいいのです」


 フライヤー刑事局長は、一般参加者の中から有望株でも見つけたのだろうか?

 実に落ち着き払った態度で、チーム・バンドーを励ましていた。


 「お前らの覚悟みたいなもんが、しっかり伝わって来たぜ! バンドー、シルバ、いい仲間に恵まれたな!」


 パーティーの緊張感を和らげる重要な役割を担っていたファーナムとグラハムは、年齢制限を理由に、今から剣術学校や魔法学校に通う事は出来ない。

 

 だが、自身の店を守る為、そしてサッカー観戦費用を稼ぐ為、賞金稼ぎ実習に参加するのは規定路線であり、その決意はバンドー達のスピーチを聞く事によって一層強固なものに変わっていた。




 バンドーは他のメンバーとは事なり、学校や軍隊で賞金稼ぎとしての道を意識させられた訳ではない。

 

 彼のスピーチは主に、浅黒い肌でいじめられた事をきっかけに始めた格闘技を活かせる道が、たまたま賞金稼ぎだった事について。

 そして、家族と仲間に恵まれ、その事に感謝しながら自分は成長しなければいけないという自覚についてフォーカスを当てていた。


 シルバはテロで両親を失い、復讐の為に自分の将来を決めてしまった事への迷いについて話した後、軍隊やチーム・バンドーに身を置いていた事が自分を助けていたと告白。

 賞金稼ぎを目指す為の仲間の重要性を、改めて強く説いている。


 クレアは自身がブルガリアの名家出身である事を明かした後、やがて栄華が失われて行く家系にも誇りを失わず、自分の夢や目標に性別や出身が無関係である事を強調し、特に女性や、比較的恵まれた環境にいる中流層以上の参加者に希望を与えていた。


 ハインツのスピーチは、熱い気持ちが少々空回りした「俺節」になりがちではあったものの、父親の死や差別、貧困に苦しむ中で剣術を極める為、賞金稼ぎとして成功する為には、何かを犠牲にしてでもやらなければならない事があると、参加者に強い覚悟を求めている。


 リンはまず最初に、つい先日まで、自分は賞金稼ぎを仕事にするつもりはなかったと告白。

 だが、図書館司書の正規雇用を理不尽な理由で奪われ、世の中の問題は身近な悪党を懲らしめるだけでは解決しない事を知る。

 故に賞金稼ぎには、社会や政治の問題にも関心を向けて欲しいとアドバイスを送っていた。



 

 「……ねえハインツ、今受付しているあの人、何処かで見た事ない……?」


 クレアは実習参加希望者の受付に並ぶ、金髪を逆立てた小柄な青年を指差しながら、ハインツに確認を取ろうとしている。

 

 我先とばかりに受付を済ませたファーナムとグラハムは、既にバンドーとの共闘経験を持つある意味特殊な存在。

 殆どの一般参加者は、怪我や危険の伴う可能性がある実習に対して、支払われる報酬額が具体的に提示されなければ及び腰になるものだ。


 しかしながらこの青年は、見た目が華奢にも関わらず全く恐れを抱かず、むしろ余裕の笑みすら浮かべている。

 その笑みを見たクレアとハインツの脳裏に浮かび上がる、剣術学校時代の懐かしい記憶。


 「……あいつ、確か剣術学校の同じクラスだった奴だよな。結構強い奴だったのに、たった3ヶ月で学校を辞めちまった、スタフィー……スタフィリディスだよ!」


 当時の記憶を取り戻したハインツは、無意識のうちにその名前を声に出していた。

 その声に反応した小柄な青年は受付を終えると、やがてゆっくりとチーム・バンドーに歩み寄る。


 「ハインツ、クレア、久しぶりだな! 3ヶ月しか学校にいなかった俺を覚えていてくれたなんて、嬉しいよ!」


 

 ハイスクール卒業後、ハインツは浪人して学費を稼いでいた事もあり、彼が入学した、彼のひとつ下の年代……つまりクレアの年代には彼女をはじめ、カレリンやハインツの親友マイヤー等々、個性的な人材が揃っていた。


 スタフィリディスはそのメンツの中でも期待されていた剣士候補であり、実際入学3ヶ月目までは、ハインツやクレアも存在を意識せざるを得ない実力を持っていた……だが……。


 「俺はギリシャからドイツに来ていた。お前達もそうだろうけど、当時剣術学校ならドイツという評判だったしね。でも入学早々、親父が治安の悪いギリシャを離れて、昔の恋人のいるオーストラリアに移住したんだよ」


 自らは知る由もなかった、スタフィリディスの過去を初めて耳にして、何とも形容し難い表情を見せるクレアとハインツ。


 「……まあ、ここまでは特に問題はない。俺は剣士になる為に単身ドイツで暮らそうと思っていたしね。ただ、親父と再婚した恋人が危険な仕事を認めない堅物でさぁ……。お袋が死んだ後、男手ひとつで俺を育ててくれた親父を家族関係で悩ませたくないし、その恋人のコネでいい会社にも入れたから、堅気になる決断をしたのさ。何も言わずに学校辞めて悪かったな、ハハッ!」


 大切な肉親の為とは言え、自分の夢を諦めた裏側には様々な葛藤があったはず。

 その人生の重さを殆ど感じさせる事のない、スタフィリディスの軽やかな笑顔に、クレアとハインツ、そして初対面のバンドー、シルバ、リンも感銘を受けていた。


 「……でもまあ、このご時世だからね。会社も治安を守れる強い奴をイメージ戦略に取り込みたくなったんだろうよ。剣術学校のテキストに沿って、トレーニングだけは続けていた俺を見て、週末に副業する事を許可されたんだ」


 瞳を輝かせながら、事の顛末(てんまつ)を語るスタフィリディス。

 

 だが、トレーニングを続けていたとは言うものの、長いブランクを経ている彼が、若い頃の実戦感覚を取り戻す事は容易ではない。

 バンドー達は彼の実習参加を歓迎しながらも、より慎重な行動を望んでいる。


 「……今のお前があの頃に近い実力なら頼もしいんだが、昔の感覚がそのまま通用する程甘い仕事じゃねえぜ。厳しい言い方かも知れないが、大怪我して後悔する可能性もある。暫くは安全第一にな」

 

 「はいはい、お前ならそう言うと思っていたよ。明日は宜しく頼むぜ!」


 学生時代からひと言多かったハインツからの忠告を、少々ありがた迷惑気味に聞き流すスタフィリディス。

 

 やがて昔話に花を咲かせ、旧交を温める剣術学校組を横目に、バンドーとシルバ、リンはスタフィリディスの後に続く、2名の実習参加希望者に注目していた。


 

 ひとりはカラフルなヘアスタイルをした黒人青年で、長身だが上半身よりも下半身の筋肉に厚みがあり、恐らくサッカーやキック系の格闘技をルーツに持っていると思われる。


 ヘッドフォンで音楽を聴きながら、説明もろくに受け入れずに素早くサインを済ませる青年。

 その姿は、如何にもこだわりを感じさせない今時の若者という印象だが、時折覗かせる彼の鋭い眼光は、バンドー達に期待感と警戒感の両方を抱かせていた。


 

 もうひとりの実習参加希望者は、オセアニアの賞金稼ぎ志望者としては極めて珍しい女性。


 外見はクレアやリンよりも若干歳上に見え、長くウェーブのかかった金髪に白い肌の横顔が隠れる事により、何処か近寄り難いミステリアスな雰囲気が醸し出されている。


 (……特に腕力がある様にも見えないし、あの人魔導士志望なのかな? でも、仲間を連れて参加している訳でもない女性がここまで来るの、珍しいよね)


 女性の気分を損ねる事のない様、極めて小さな音量でシルバに耳打ちするバンドー。


 一方リンは、恐らく魔導士志望であろうその女性に親近感を抱きながら行動を見守っていた。

 だが、受付から外に出る為に一般参加者が勢いよく開けたドアから突風が入り込み、その風が実習参加希望者の女性の髪をなびかせた瞬間、衝撃の光景を目の当たりにする。


 「……あっ……!?」


 自身の髪を乱された女性の左頬には、紫色の大きな(あざ)が存在しており、女性は慌てて受付のペンを置き、両手でその痣を覆い隠した。


 彼女の白い肌から考えると、どう見ても不自然な色の痣は決して生まれつきのものではない。

 恐らく事故や災害に巻き込まれたか、或いは、考えたくはないが家族や恋人から受けた暴力なのか……。


 (…………)


 リンはその女性の人生に想いを馳せ、一瞬言葉を失いながらも、賞金稼ぎの指導役として、自らがその女性の人生の為に出来る事を懸命に探そうとしていた。



 6月5日・19:30


 「ひゃあー」

 

 バンドー達がセミナーを終え、宿泊先のホテルで遅い夕食を取っている頃、フクロウの姿に戻ったフクちゃんは、時折間抜けな鳴き声をあげながらシドニーの夜空を飛び回り、フェリックス社の野望に探りを入れている。


 (……シドニーの剣術、魔法学校の建設現場の土壌には、特に異常はありませんね……)


 フェリックス社にとって、オセアニアでのビジネスの大看板である剣術、魔法学校には、アースの法律上、流石に一点の曇りもない。

 企業の総力結集により、校舎は早々に完成する予定ではあるが、ビジネス開始を急がず、きちんとヨーロッパ基準に則した10月からの開校だ。


 (……あれは……警察の張り込み捜査?)


 フクちゃんが偶然通過した夜空の真下には、犯罪の拠点と思われるチェックポイントと、そのポイントを取り囲む様に配置された、人員と車両。

 しかしながら、制服警官は意識的に排除され、あくまでも地域の人と物資によって、経済活動が循環している様に見せている。


 (……この車両の停め方は、感心しませんね……)


 駐車場の構造に配慮して、一番奥に整然と駐車された車両は、容疑者のものと思わせる演出が施された、派手な高級車。

 一方で、逃走や威嚇にいつでも利用出来る様にマナーを無視して入口付近に駐車した車両は、乱雑に扱う事前提のオンボロ支給車。


 この馬鹿正直な効率性重視の配置では、この駐車場に警察関係者が定期的に出入りしている事が、いずれ気付かれてしまうだろう。


 (……仕方ありませんね……)


 フクちゃんはフクロウの姿のまま、ヘリコプターのホバリングの様に空中に停止し、背中に埋まっている白い光沢部分から放たれた光線が、辺りを刺激しない程度の鈍い光で2台の車両を包み込む。


 (この姿では少し重いですが……えいっ!)


 フクちゃんは気合いを入れて魔力を車両に注入し、ほんの僅かの時間で互いの位置を入れ替えた車両は、まるで初めからそこにあったかの如く、物音ひとつ立てずに真逆の位置に収まった。


 (さあ、これから色々と面白い事が起きますよ……)


 人間には真似の出来ない反則級の魔力を行使する事により、様子見の捜査のギアを一気に入れたフクちゃん。


 この現場こそが、警察とチーム・バンドー、そして賞金稼ぎ志望者による実習現場である事など、当時の彼女は知る由もなかった。



  (続く)


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