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バンドー  作者: シサマ
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第47話 もて余された若さ


 6月2日・13:00


 ニュージーランドに到着したチーム・バンドーは時差ボケ改善を兼ねて、快適な「お昼寝」という誘惑に後ろ髪を引かれつつも、昼食後にコミュニティとの交流を深める。


 ハインツはお世辞にも社交が得意とは言えない男だが、農家の男達に比べて細身で軽量な体格を活かし、自ら率先して高所での作業に協力。

 その結果、気難しい年長者からの信用をいち早く得る事に成功した。


 クレアは持ち前の愛嬌と、庶民では経験出来ないエピソードの数々を披露してあっという間に周囲に溶け込み、タイプの近いサヤとはバンドーへの突っ込み所等で早速意気投合している。


 外見がお嬢様的である為に周囲から気を遣われがちなリンは、暫く緊張してシルバの陰に隠れていたが、シュンのパートナーであるニッキーのミュージシャン時代を知っており、彼女との交流を深める中で、女性陣に自らのポジションを見付けた様子だ。



 日中は至って平穏なカンタベリーは、殊更(ことさら)剣術や格闘技を披露する環境には無い。

 

 農村の民を一際驚かせたのは、やはり魔法。

 中でもリンの魔法は、当人が長旅で体調が今ひとつな状態にも関わらず、オセアニアの豊かな自然に後押しされたかの様な絶大な視覚効果を伴っていた。


 そして、彼女程では無いものの、バンドーの魔法も農作業のプラスアルファには十分な威力を持ち、現代の若者が持つ無限の可能性を、小さな農村に改めて知らしめる事となったのである。



 6月3日・9:00


 オセアニアでの好感触を掴み、時差ボケの改善に成功したチーム・バンドー。

 初めはやや塩辛く感じた食事も、一夜明けて目覚めればハードな農作業に必要なものであると、その身体で皆が理解出来ていた。


 今日はカンタベリー地方の観光を兼ねて、クライストチャーチのショッピングモールへと買い出し。

 シュンの運転するキャンピングカーには、チーム・バンドーとシュンのパートナーであるニッキー、タナカ農園のサヤとクラーク、そしてシルバセラーのジェフェルソンという、若手職員が集結する。


 「奥さんがクライストチャーチに来たんでしょ? 良かったねクラークさん」


 旅に出たバンドーと入れ替わる様にタナカ農園にやって来た、新米職員スティーブ・クラークは28歳の白人青年で、れっきとした妻帯者。

 大柄で太めの体型ながら気が小さく、サラリーマンをクビになった事で妻グレースとの仲が悪化しかけていた彼だったが、アットホームなタナカ農園でキャリアの回復に成功した。


 「ありがとうございます。僕にとってサヤさん達は命の恩人ですよ……」


 歳下のサヤにも敬語で受け答えするクラークは、妻がクライストチャーチのブティックに配属された事で2ヶ月間の単身赴任(別居?)をようやく卒業。

 クライストチャーチの外れにアパートを借り、毎日往復2時間をかけて農園に通っている。


 「……全く、ここの奴等は皆世話好きだよな。だがよ、ここで一生終えるのは退屈だぜ」


 ひとりキャンピングカーの最後尾にふんぞり返り、煙草をふかしているラテン系の青年。

 シルバセラーの社長、ガブリエウの甥に当たるジェフェルソンは短髪を金色に染めており、どちらかと言えば品行方正な雰囲気のバンドーやシルバ、クラークとは対照的な出で立ちだった。


 「……へっ、なるほどな。ガブリエウの言う、昔ワルだった若い奴ってのはお前か」


 ジェフェルソンの存在自体に興味を惹かれたハインツは格好を崩し、相手の前方座席に肘をかける。


 「……確かに、昔の俺はワルだったかもな。ストリートギャングに憧れて、ヤクの売買に関わる寸前だったから、サツにパクられる前に仕事をくれたおじきには感謝してるぜ。でも、サントスに比べると、ここには何もねえ」


 例え大人からは荒れた暮らしと思われていても、若者にとって都市型の刺激はやはり魅力的。

 ジェフェルソンはどこまでも同じ景色の続く車窓を眺めながら、言葉に出来ない苛立ちを抱えて貧乏ゆすりを繰り返していた。


 「お前が別の仕事で自立出来る力を見せれば、ガブリエウもお前の人生に干渉しなくなるんじゃないのか?」


 ハインツの言葉を待ち構えていたかの様に、瞳に生気が宿るジェフェルソン。


 「それだよ! まさにあんたらがお手本さ。俺はオークランドかシドニーに出て、賞金稼ぎとやらになりてえんだ。こう見えても喧嘩には自信があるしな」


 血気盛んな若者が田舎街に閉じ込められるストレスは理解出来るものの、余りに短絡的なジェフェルソンの動機に、少々呆れた表情を見せるハインツとクレア。


 「……ジェフェルソン、でいいわよね。あたし達はバンドーを除いて、皆剣術学校や魔法学校、軍隊でそれなりの実績を残しているの。バンドーだって、おばあさんから格闘技の基礎を何年も学んで、それでも剣を持った最初の1ヶ月はてんで弱かったのよ。鍛えてから挑戦するならまだしも、いきなり賞金稼ぎに登録した所で、大怪我するのがオチだわ」


 剣術の基礎を学んだクレアから正直な評価を頂戴したバンドーの瞳は一瞬死んだが、彼女の言葉に嘘は無い。

 ジェフェルソンの様な若者が、一夜にしてシンデレラストーリーの主役になれるのであれば、チーム・バンドーをわざわざオセアニアに招く必要性がないのだ。


 「試してみなけりゃ分からねえだろ? お前らだって、ブラジルよりは治安のいい街で育ったんだからな」


 ジェフェルソンは、その風貌や口調に似合わぬ繊細な味覚を持っており、ガブリエウからはテイスティング能力を高く評価されていた。

 しかしながらこのやり取りを聞く限り、どうやら彼は田舎のワイン農家にすんなり収まるつもりは無いらしい。

 

 バンドーとシルバはこの瞬間、いずれガブリエウを立たせた説得が必要になると認識し、或いはそれ以上の行動が必要になる可能性にも備えていた。


 

 「ニッキーさん、クライストチャーチの買い出しでは、普段何を買われるんですか?」

 

 何やら不穏な空気を感じたリンは、親交を深めたニッキーに話を振り、周囲の話題を強引にショッピングへと引き戻そうと試みる。


 「う〜ん、普通の人なら服とか日用品、本とかだけど……私はクライストチャーチで必ず買う物がありますよ! ギターの弦!」


 「いよっ! 流石元プロ! そう言えば、まだヨーロッパ組の皆にはニッキーの歌を聴かせていなかったな」


 シュンとニッキーの夫婦漫才を耳にして、ニッキーがかつてはプロのミュージシャンであった事を初めて知ったクレアとハインツ。

 リンがニッキーのミュージシャン時代を知っていたのは、彼女が世界のトレンド情報局でもあるパリで暮らしていたからであり、ニッキーもまた、パリと情報交流が盛んなロンドンで作品を制作していたからなのだろう。


 「ニッキーの才能は確かだ。他人の人生に口出しは出来ねえが、オセアニアに帰っちまったのは勿体無いぜ……」


 ジェフェルソンがそう考えるのは、野心に燃える若者の意見としては至極まっとうである。

 ニッキーは音楽業界とロンドンの空気が合わなかっただけで、音楽まで捨ててはいない。

 

 シュンのパートナーになるという事は、すなわち商社マンの妻になるという事であり、農家の手伝いはシュンがこの地で独り立ちするまでの期間限定。

 ニッキーはただ、シュンの隣で夢を叶える道を選んだだけなのだ。


 「ん? あれがショッピングモールですね! あんなきらびやかな店、自分がいた11年前には無かったですよ!」


 壮大な自然は、シルバがカンタベリーを離れていた時の流れを全く感じさせないが、人の営みである街並みは、確実に11年の歳月を刻む。

 近代的な施設が新築される一方で、古びた老舗、或いはその役目を終えた廃墟も存在している。


 「このショッピングモールは、剣術学校や魔法学校の業績、そして悪い噂も聞く例のフェリックス社が買収して改築したんだよ。今はまだ昔ながらの店に配慮しているが、学校が完成すればフェリックスの名前が前に出てくるだろうな」


 今やイスラエルと旧アメリカ合衆国の財閥というルーツを忘れさせる程、アース各地に手を拡げる巨大企業、フェリックス。

 彼等が少しずつ大手の買収を進めている流通業に於いて、オセアニアの看板を守り続ける地元の商社に勤めるシュンも、エリアマネージャーとして当然フェリックス社の動向には眼を光らせていた。


 「兄貴、ちょうど開店だよ! 流石はエリアマネージャーだね!」


 正直肩書きは関係ないとは思うが、ビジネスマンとして時間を一切無駄にしない要領の良さは、シュンの頼れる魅力のひとつ。

 今更弟からおだてられた所で眉毛1本動かさない彼は、帰りの時刻まで日光が割り込む事のない位置へとキャンピングカーを押し入れる。


 「よし、到着だ。悪いが昼飯には戻らないといけない。最初にブティックでクラークの嫁さんに挨拶して、その後自由行動にする。11:30に駐車場に集合、いいか?」


 「オッケー!」


 ジェフェルソンを含めて全員の呼吸が奇跡的に揃い、不気味なまでの一体感を発揮するカンタベリーの若者達。

 バンドー、クレア、ハインツの3名は当然剣を置いた軽装で、初冬とは思えぬ爽やかな気候の南半球の風を、足取りも軽やかに駆け抜けていた。


 

 「いらっしゃ……スティーブ!?」


 ショッピングモール内のブティックに配属されたばかりで、接客の急先鋒を任されていたクラークの妻、グレースは、メール連絡も無しに突然姿を現した夫の姿に驚いている。

 彼女は夫のクラークとは対照的に、小柄で細身の体型である為、周囲の店員仲間は男性陣の中で誰が彼女の旦那なのか全く見当が付かず、あれやこれやと噂話に余念が無い。


 (仕事仲間だよ。皆いい人だから、僕、今度こそ成功してみせるよ! じゃあまた夜ね)


 近付きがてら、小声でさりげなくグレースと話を交わすクラーク。

 グレースはその瞬間、店員仲間が他の接客でこちらを見ていない事にほっと胸を撫で下ろしていた。


 普段は仲の良い夫婦なのだが、グレースはクラークの太めの体型だけはもう少し絞る様に強めの注文を付けている。

 故に彼の肉体労働就任には多大なる期待を寄せており、加えて夫の表情が明るかった事は何よりの朗報と言えるだろう。



 ゴオオッ……


 朝から賑わいを見せるショッピングモールにあっても、一際大きな激突音がこだまする。

 

 ゲームセンター内のパンチングマシーンを、日頃の鬱憤(うっぷん)を溜めたジェフェルソンが全力で打ちのめしたのだ。


 「……ちっ、今日は調子が悪いぜ。100㎏に行かねえや」


 苦々しい表情で睨み付ける彼の視線の先には、パンチ力98㎏の表示。


 自動車衝突実験装置をベースに開発された最新式のパンチングマシーンは、正確なパンチ力が測定出来ると評判であった。

 また、その評判に加えて、オセアニアではこのショッピングモールにしか設置されていない為、シドニーやオークランドでの大会を終えたプロの格闘家達も話のネタに立ち寄る、ちょっとした観光名所になっていたのである。


 ジェフェルソンと行動をともにするハインツは、パンチングマシーンに記録されたプロボクサーの最高記録が160㎏台だった点と、参加者の平均記録が50㎏前後であるという数字を確認し、ジェフェルソンの自信を少しは認めた。


 「……なるほど。自己流の喧嘩殺法にしちゃあ、そこそこやるじゃねえか」


 ジェフェルソンがバンドーの様に格闘の基礎を学び、正しい体重の乗せ方を身に付ければ、また、シルバの様に徹底して身体を鍛えれば、賞金稼ぎとして成功する可能性も無いとは言えない。

 

 ハインツはジェフェルソンとの心の距離を少し縮めると同時に、カンタベリーで一緒にふざけ合う仲間を見付けさえすれば、彼の鬱憤は意外とあっさり解消するのではないかと考え始めていた。

 

 まさにサンチェスやタワンの様な、自分と似た過去を持つ仲間がいれば……。



 「このお菓子、めっちゃ美味しい〜! サヤ、教えてくれてありがとう!」


 キャラクターの近さからすっかり仲良しコンビとなったクレアとサヤは、ショッピングモールのお菓子コーナーに入り浸り、サヤの大好物であるオーストラリアのチョコレート菓子「タムタム」のコンプリート試食に挑んでいる。

 

 この後昼食が待っているはずだが、乙女のスイーツは当然別腹なのだ。


 「この仕事って、結局色気より食い気なのよね。たまにはお洒落したい時もあるけど、同世代の男は余りいないし、そもそも動きやすくて汚れてもいい服じゃないとやってけないし」


 「そうよね。あたしは小さい頃は目一杯お洒落させられたけど、性に合わなかったのかな。遊び相手も妹と、屋敷の警備をしていた剣士くらいしかいなかったし、周りからどう見られてるとか気にしても、しょうがないもんね」


 普段から無駄遣いはしない2人だけに、試食コーナーをざわつかせる程に活用した後は、各々の好みのテイストのお菓子を買い込み、互いに無言で生鮮食料品用のクーラーボックスの隅に詰め込んでいく。

 

 南半球の季節が初冬とは言え、昼間はチョコレートの品質を保つには厳しい熱さになる事もあると、スイーツ好きの勘が無意識の内に行動を促していたのだ。


 

 「……ねえクレア、バンちゃんはヨーロッパの女性にモテてるの?」


 食料品の買い出しを終え、駐車場へと移動する道の途中、会話のネタに困ったサヤは思わずバンドーの嫁さん探しの話題をクレアに漏らしてしまう。


 「……え? バンドーはシルバ君を探しに来ただけじゃなかったんだ。でも、サヤは普通にバンドーとは仲良しなんでしょ?」


 親しくなればこそのサヤからのディープな質問は、クレアも当然悪い気はしない。

 だが、それぞれの抱える事情は、一筋縄では行かない複雑なものがある様子だ。


 「……バンちゃんとはずっと一緒だったから、近過ぎて将来とか意識していなかったし、お互いにいい人が見付からなければ……くらいに考えていたんだけど、お兄さんのシュンさんはバンドーファームを継ぐ訳じゃないから、バンちゃんはバンドー家じゃないといけないのよ」


 「あっ……」


 「……分かる? ウチもタナカ農園の名前があるから、私の彼氏は名字をタナカにしてくれないと困るのよね……」


 東欧屈指の財閥に生まれ育ったクレアには、家系の歴史によって簡単に名字を変える事の出来ない、サヤとバンドーの現状が理解出来る。

 それぞれの歴史を支えているスタッフの心情もあり、仮にサヤとバンドーが結婚した場合であっても、どちらかを吸収合併するという安易な選択は難しいだろう。


 「……バンドーは見た目通りの正直でいい奴だから、ヨーロッパでも憎まれる様な事はまったくないわ。でも、同世代の娘の恋愛対象になっているかどうかは……微妙ね」


 「……ぷっ! あ、ごめんなさい。やっぱりそうか……」


 クレアからの予想通りの答えに、思わず吹き出してしまうサヤ。

 

 バンドーも20代の男性、当然異性にモテたいという気持ちは持っているはずなのだが、農家の末っ子的な立場に生まれ育った彼は、殊更自己アピールの必要性など感じていなかったのだろう。

 彼が祖母のエリサから格闘技を習った理由も、日系人学校でシルバともども浅黒い肌を理由にいじめられたからであり、クラスで一番強くなりたかったからではない。


 「バンドーはよく、サヤやお母さん、おばあちゃんの尻に敷かれる自虐ネタで笑いを取っていたわ。それはつまり、バンドーは女性の上に立ちたいとは思ってないんだと思う。むしろお見合いとかで、少し歳上の女性と結婚した方が上手く行くんじゃないかな……?」


 「そうか……そうよね……」


 ショッピングモールを抜け出し、眩しい陽射しを浴びるサヤはクレアの話に深く頷きながら、どことなくクレアとの深い関係性を漂わせるハインツについての話題には触れなかった。

 

 そしてクレアも、既に家族を全て失っているサンチェスとタワンがこのコミュニティに来る事が、サヤにとっても何かを動かすきっかけになるだろうとは考えていたが、そこを敢えて口にする事は無かった。

 


 「お待たせ〜!」


 長話で更に親交を深めたサヤとクレアを最後に、シュンのキャンピングカーにはカンタベリー出張隊の面子が勢揃いする。

 

 車に残っていたシュンを除けば、ハインツはジェフェルソンと組んで煙草やビールを。

 シルバ、リン、ニッキーの3名は、ギターの弦や書籍など趣味の品を。

 バンドーとクラークは日曜雑貨、サヤとクレアはクーラーボックスに詰め込んだ食料品と、それぞれコミュニティの分まで一気に買いだめしていた。

 

 「お刺身に出来るくらい、新鮮なタラキヒが手に入ったわ! ヨーロッパの皆にも食べて欲しいな!」


 得意気な笑顔でクーラーボックスを開けて見せたサヤの下には、何やら鯛の様な地味な姿の魚。

 ニュージーランドでは一般的で、フィッシュアンドチップス等にも使われる人気の魚、タラキヒは、ニュージーランドに南国のイメージを勝手に抱いていたヨーロッパ組の目には、いささか拍子抜けに映っていた。


 「刺身? 俺、生魚はちょっと……。オセアニアって言ったら、ドーンと肉があるイメージなんだが……」


 生魚に馴染みの少ない東欧で生まれ、贅沢とは無縁の環境で育ったハインツは生まれてこの方、生の魚介類を食した事はない。


 「あら、ハインツはスシを食べた事は無いの? アレルギーがあるなら仕方ないけど、食わず嫌いなら治した方がいいわよ〜」


 「ハインツさん、ニュージーランドでは、お肉よりお魚の方が高価なんですよ! 私の農園では牛を育てているから、心情的に牛肉は余り食べたくないんですよ……ごめんなさいね」


 クレアとサヤのパワーに押され、心なしか奥の座席に引っ込んだ様に見えるハインツを眺めて、ジェフェルソンはご機嫌な表情で煙草に火を着けた。

 


 6月3日・11:30

 

 「皆、さっきシドニーの役所と、スペイン警察から連絡が来たそうだ。シドニーの役所はチーム・バンドーへのアドバイザー就任要請、スペイン警察はサンチェスとタワンの保釈の決定らしい」


 「もう来たの? 早いな!」


 キャンピングカーを走らせながら、ふと思い出した様に発せられるシュンの言葉にバンドーが驚いたのは、役所からの要請スピードの早さが理由ではない。

 傷害罪と公務執行妨害の容疑者であるはずのサンチェスとタワンの保釈決定が、特殊部隊の協力があったとは言え、予想以上に早かったからである。


 「……ああ、レイジが言っていた通り、サンチェスとタワンはウチでの就労以外にも、ニュージーランドの治安維持活動に協力する条件で保釈されたそうだ。タワンは半年、サンチェスは1年の奉仕期間だな」


 「……それって、奉仕期間中に事件で大怪我する可能性もありますよね? サンチェスさんやタワンさんはそれでいいの?」


 知り合いのバンドー達を頼っているとは言え、未知の土地での新しい仕事。

 更に加えて、危険も伴う奉仕活動。

 

 バンドーの話に嘘が無ければ、大人しく刑期をまっとうした方がサンチェスとタワンに同情が集まり、再チャレンジの道も開けやすいはず。

 敢えて苦しい道を選んでまで、目前の自由を追い求める様な彼等の決断は、既にサヤの理解の範疇を超えていた。


 「……サヤ、サンチェスとタワンは家族を全て失っているから、もう天涯孤独の身なんだよ。ウチに来てもキツい事は沢山あるだろうけど、怒りと悲しみ、そして差別や貧困の想い出ばかりのヨーロッパから逃げたかったんだと思うよ」


 この一件の発案者でもあるバンドーは、確信を持って彼等をスカウトしている。

 

 アース最後の楽園と呼ばれるオセアニアにあっても、差別や貧困は当然存在しているが、少なくとも多彩な人種と信仰を認めているこのコミュニティに差別は少ない。

 また、エリサやガブリエウの様な、はみ出し者を更正させようという心意気のある年長者もいる。


 そして何よりも、単なる荒くれ者として片付けられてしまいそうな自身の過去が、新しい土地で平和の為に求められているのだ。


 「サンチェスとタワンは、特殊部隊のキムって人がここまで届けてくれる事になったらしい。レイジ、お前達は準備が出来たら近い内にシドニーへ飛んで、帰って来たらサンチェスとタワンと合流、その後に彼等ともどもオークランド行きという仕事の流れみたいだぜ」


 「いきなりハードスケジュールだな。また飛行機に乗るのかよ……」


 時差ボケが改善された以上、自分達の都合だけで自治体からの仕事を先送りする事は、庶民の税金が注ぎ込まれている点からも許されないだろう。

 ハインツはため息を漏らしながらも、自身の頬を軽く叩いて気合いを注入する。


 「キムは自分の軍隊時代の部下です。記憶力と地理に長けた男ですから、この土地で迷ってコミュニティから怪しまれる様な事は無いでしょう。ちょっと無愛想に見えるかも知れませんが、いい奴ですよ」


 「シルバ君のお墨付きなら安心だな。クォンさんも朝鮮系の話し相手がいれば楽しいだろう」


 シルバとのやり取りの中、シュンは自身のキャリアのお手本として度々この地を訪れている貿易商、スンフン・クォンの名前を挙げた。

 バンドーファームの商品を始めとして、このコミュニティに於けるアジア向けビジネスを仕切る頼もしい男だが、最近は苦労が絶えないらしい。


 「クォンさんですか……懐かしいですね! 今は昔と違って、アジアやオセアニアのビジネスもグローバル化が顕著ですから、大変だと思いますよ」


 フェリックス社の様な大企業とは異なり、実績と個人の信用だけで生き延びているクォンらフリーランスのビジネスマンの不安は、軍隊の要職だった義父の庇護から飛び出していち賞金稼ぎに転身した、シルバ本人が身をもって痛感していた。


 「……グローバルと言えば、クォンさんの話じゃ最近アジアの山脈側や海沿いの僻地に、フェリックス社の倉庫が複数建設中らしい。僻地なら確かに土地代は安いが人手の確保に困るし、流通にも金と時間がかかる。そもそも効率化で利益を得る大企業がそんな無駄な投資をするなんて、おかしいと思わないか?」


 農業以外の就労経験に乏しいコミュニティの人間にとって、シュンのこの問い掛けはかなりの難問であり、話題を振った彼自身もフェリックス社の目的には気付いていない。

 

 だが、チーム・バンドーのメンバーの脳裏にはすぐにとある光景が浮かんでいた。

 人目に付かない土地の倉庫に、ドラッグや武器を搬入するフェリックス社繋がりの悪党の姿が……。

 

 「軍隊時代に、テロの危険地帯としてアジアの山脈側や海沿いに張り巡らされた活断層をチェックした事があります。工事で活断層を刺激し続ければ、地震を呼ぶ可能性もないとは言えません。まさか、それが目的ではないと思いますけど……」


 (う〜ん、自然の問題なら、今頃フクちゃん達が調べているんじゃないかな? 後で訊いてみようよ)


 ロシア主導型の統一世界の転覆を謀る、フェリックス社の野望に不安を隠せないシルバ。

 バンドーはそんな彼に小声で耳打ちし、その会話の内容を把握出来ていないコミュニティと対照的なチーム・バンドーの表情には、自分達は今や神族とも繋がっているという、ある種の安堵感が窺える様になっていた。



 6月3日・14:00


 クレアとハインツの協力により、刺身とマリネに分けて調理されたタラキヒを含めた昼食を終え、チーム・バンドーはコミュニティでの最優先事項である、シルバセラーの剪定作業に取り掛かる。


 ガブリエウとジェフェルソン、そして幼い頃の勘を取り戻して行くシルバやバンドーに先導され、剣とは勝手の違う剪定ばさみをどうにか使いこなすクレアとハインツ。

 リンは魔法で高所や突風をケアし、その威力の噂を耳にして集まって来た近隣の子ども達に、魔法の話を聞かせていた。

 

 バンドーが短期間で魔法を身に付けた様に、豊かな自然に囲まれたオセアニアで育った子ども達には、生まれながらにして魔導士の資質が備わっているとも考えられる。

 オセアニアにとっては治安維持の為に、いよいよ剣と魔法が必要とされる事態となってしまったものの、農業や漁業が盛んな地域に於ける魔法の可能性は、それこそ無限大と言えるだろう。


 魔法に絶対的なコツはない。

 各々が持つ才能に加えて、それぞれに感じる「あの感覚」を掴み取るまで、諦めずに努力した者にのみその先が存在するのである。


 優しいリンの言葉から、ひとりでも多くの子ども達がその努力の大切さを学び、目先の誘惑に負けて悪の道に逸れる事なく毎日を生きて欲しい。

 休憩の合間にリンと子ども達に視線を移すチーム・バンドーのメンバー達は、そう祈らずにはいられなかった。



 6月3日・17:30


 「流石に若い奴が多いと、仕事がはかどるな! 皆、ありがとう!」


 明日の朝にはシドニーへ向けて出発しなければならないチーム・バンドーの力を、ギリギリで借りる事に成功したガブリエウは、メンバーひとりひとりと握手を交わしながら農作業の労をねぎらう。


 しかしながら、その握手を交わす過程でガブリエウの隣に陣取るジェフェルソンの神妙な表情には、ハインツを始めとする面々も気が付いていた。


 「……おじき、話があるんだが……」


 タイミングは今しかない。

 ジェフェルソンはそう判断し、作業の好調ぶりに上機嫌なガブリエウを敢えて引き留める。


 「……何だ? 晩飯までには終わらせろよ」


 話の内容を知る由もないガブリエウは、いつもと変わらぬ仕事の後の充実した表情を見せていた。


 「……おじき、ストリートギャングになりそうだった俺を拾ってくれて、感謝してるよ。だが、農業は俺の性に合わねえ。俺はやっぱり、自分の力ひとつで生きてみたいんだ。俺もシドニーかオークランドに行って、賞金稼ぎになりたい」


 いつかはこの日が来る、ガブリエウもそう考えていたのだろう。

 若干の沈黙を挟みながらも、特に感情を表に出す事もなく、彼はゆっくりとジェフェルソンに向き合う。


 「……お前を長く農業に留める事は難しいと思ってはいたよ。だが、今は駄目だ。これからの製造の過程で、お前は俺の代わりが出来る唯一のテイスティング要員だからな。お前の代わりはいつか見付けてやる。その時まで待て」


 「俺レベルの味覚なんざ、いくらでも代わりはいるさ! 今度来るサンチェスとか、タワンって奴はヨーロッパ育ちなんだろ? そっちの方がワインの本場じゃねえか!」


 カンタベリーの夕焼け空の下、両者のやり取りは平行線を辿り、このまま話し合いを続けた所で互いに納得する事はないだろう。

 最終的には、ジェフェルソンの実力がまだ賞金稼ぎとして通用するレベルにはないという、その現実を本人に認めさせる事が唯一の解決策であると思われた。


 「……仕方がないな。誰かこいつを試してやってくれないか? 賞金稼ぎなんて危険な仕事に挑む覚悟があるのかをな!」


 お手上げムードのガブリエウは困った様に左右を見渡し、チーム・バンドーに救援を求めている。

 

 バンドー、シルバ、ハインツは、オセアニアに来てからの平和過ぎる日常に正直物足りなさも感じていただけに、ジェフェルソンと一戦交える事にやぶさかではない。

 

 しかしながら、相手は少しパンチに自信がある程度のストリートファイター。

 しかも実戦からはかなり遠ざかっており、どう決着をつければジェフェルソンが諦めてくれるのか、その基準に迷っていた。


 「何か試合始まるの? 俺、エリサばあちゃん呼んでくるよ!」


 さっきまでリンの魔法話を大人しく聞いていたひとりの男の子は、好奇心に突き動かされる様に席を立ち、エリサを呼びにバンドーファームへと走り去る。

 今やオセアニアの格闘技師範と称しても過言ではない、エリサに即席レフェリーを頼もうという魂胆なのだろう。


 「おばあちゃんの立ち会いか……よし、ジェフェルソン、俺が相手するよ! ハインツは剣の専門家だし、軍隊で鍛えたケンちゃんはプロみたいなもんだ。2ヶ月前まで素人の俺に惨敗する様なら諦めろよ!」


 仕事の疲れから地面に座り込んでいたバンドーは自身に気合いを入れ、ゆっくりと重い腰を上げる。


 「へっ、おもしれえ!」


 一方のジェフェルソンは、ガブリエウがシルバセラーの社長に就任後、3年前にカンタベリーにやって来たばかり。

 元来群れる事を嫌うタイプの男である為、バンドーとは軽く挨拶を交わす程度の仲であり、エリサの格闘技訓練にも参加した事はなかった。


 

 「何だい、試合ってのはお前達のスパーリングかい?」


 男の子に手を引かれ、年甲斐もなく走らされていたエリサではあったが、流石はオセアニアのレジェンド、息ひとつ切らしてはいない。


 「おばあちゃん、ジェフェルソンが賞金稼ぎになりたいって言うんだ。でも、シルバセラーの都合で今はちょっと無理なんだよ。俺と勝負して負けたら諦めるって話になりそうなんだけど、どう判定すればいいと思う?」


 孫からのかなり細かい状況説明に、一瞬面喰らうエリサ。

 だが、彼女はバンドーの実力を知るだけではなく、ジェフェルソンが趣味で人知れず行っていたシャドーボクシングまでを盗み見していたのだ。


 「……レイジ、今のお前は素人が倒すには難しいレベルだよ。隣に立てばあたしにゃ分かる。だから、5分1ラウンドの勝負の中で、ジェフェルソンから2回のダウン、或いはギブアップを奪えなければ、お前の負けだよ」


 考える間もなく、バンドーとジェフェルソンの顔を一瞥(いちべつ)しただけで、あっさりとルールを決定するエリサ。

 

 「ええっ!? おばあちゃん孫に厳しくない!?」


 「こりゃあいい! 勝てなくても5分負けなきゃいいんだな?」


 格闘技責任者のエリサから正式なルールを聞かされた両者の反応は、実に対照的。

 だが、このルールをバンドーに不利と考えているのは本人と、事の成り行きを不安げに見守っているガブリエウだけだった。


 「ばあさん、それでいいぜ。今のバンドーが最初から全力なら、この勝負30秒でケリが着く」


 ハインツは自らの言葉に絶大な自信を持ち、隣で見守るシルバとクレア、リンさえも涼し気な表情を崩さない。


 「……ちっ、舐めやがって。さっさと始めようぜ!」


 自身の過小評価に苛立つジェフェルソンはシャドーボクシングで試合開始を焦り、対するバンドーは瞳を閉じながらこれまでの経験を回想する。


 「……よし、準備はいいね! ファイト!」


 暮れていく夕陽の残る空の下、ただでさえ低い重心を更に低くしてガード体勢を選択するバンドーに、下半身へのタックルは恐らく通用しない。

 咄嗟にそう判断したジェフェルソンは、自身はさほど得意でもない右のローキックで、相手の注意を下半身に引き付け、その隙にパンチを繰り出そうと試みた。


 「……おおりゃあぁ!」


 ドイツでの剣術師匠、シュティンドル直伝のスタートダッシュで瞬く間に間合いを詰めたバンドーは、腰が入らず宙をぶらついていたジェフェルソンの右足に強烈な膝蹴りをお見舞いする。


 「……どわっ!?」


 その体型からは想像出来ないスピードに、思わず反り返るジェフェルソン。

 あわや最初のダウンかと思われたが、そこはストリート仕込みのど根性ファイター、どうにかバランスを取って着地した。


 だが……


 「遅い! 遊んでるのか!?」


 「……ぐっ!」


 ジェフェルソンの体勢のもつれを逃さないバンドーは、冷静に相手の軸足にローキックを撃ち込んでいく。


 「ぐおっ……!」


 ストリートファイトでは味わった事のない激痛に耐えられず、草むらにダウンするジェフェルソン。


 「ダウンだよ!」


 「休ませるかっ……!」


 エリサのダウンコールに重なるバンドーの気合いに、ハインツらギャラリーは早くもバンドーの勝利を確信して観戦にも力がみなぎる。


 「さっさとギブアップしな!」


 下半身の痛みで上半身へのガードが疎かになっていたジェフェルソンの左腕を取ったバンドー。

 腕固めで一本勝ち狙いだ。


 「痛ててっ……畜生……!」


 左腕の自由を奪われたジェフェルソンだったが、その腕に痛みが回る前に草むらを右手でむしり取る事に成功。

 

 「あががっ……喰らえ!」


 ジェフェルソンが半ばヤケクソ気味にバンドーの顔面に投げつけた草むらには、土や小さな虫が混じっており、その異物感に思わず顔を歪めて腕固めを解いてしまうバンドー。


 「ペッペッ……この野郎!」


 逃した相手を追いかけようと、慌てて立ち上がったバンドーのボディーを目がけて、ジェフェルソン渾身のパンチが襲いかかる。

 

 「貰ったあぁ!」


 ドスッ……

 

 だが、バンドーは左腕一本で、ジェフェルソンの全力パンチを受け止めていた。

 

 ストリートファイターとしては強力な100㎏前後のパンチ力は、確かにバンドーの二の腕を赤く変色させるパワーはあったものの、バンドーが武闘大会で受けたヤンカーやゲリエの打撃攻撃に比べれば、この程度のパンチなど恐れるに足りない。


 「……フッ、まあまあ、やるようだな……」


 ジェフェルソンに返したバンドーの余裕の笑みは、いつもの彼が振りまいている温厚な太字スマイルではない。

 その不敵な笑みは、暫く本気の喧嘩から離れていたジェフェルソンを怯えさせるのに十分な威力を持っていた。


 「……少し休んでな!」


 驚愕の余りノーガード状態だったジェフェルソンのボディーにパンチを喰らわせたバンドー。

 彼としては仕事に比べて若干手加減したつもりではあったが、ガードを取れなかったジェフェルソンはそのままボディーを押さえてうずくまる。


 「ツーダウン! 1ラウンド48秒、レイジの勝ちだよ!」


 「馬鹿野郎! もたつきやがって!」


 孫の勝利に正直な安堵感が漏れているエリサとは対照的に、自分の予想タイムを18秒もオーバーしたバンドーに怒り心頭のハインツ。

 

 シルバ、クレア、そしてリンに至るまで、バンドーの勝利を祝うムードとは程遠く、その厳しさから周囲のコミュニティは、賞金稼ぎという職業が決して甘くないという現実を痛感するのであった。


 「お前の気持ちは伝わったよ。だが、約束は約束だ。今年はシルバセラーで働け」


 バンドーの順当な勝利に胸を撫で下ろし、甥っ子を説得するガブリエウの隣には、普段の温厚な太字スマイルに戻り、ジェフェルソンに肩を貸すバンドーの姿。


 「……おじき、迷惑かけたな。バンドー、ありがとよ! 久しぶりに本気で暴れられて、最高に気持ち良かったぜ! つまらん意地を張らないで、ばあさんの格闘技訓練にも顔を出していれば良かったな」


 その表情から、まだ賞金稼ぎへの夢は諦めてはいない様に見えるジェフェルソンだが、これからはサンチェスやタワン、そしてエリサとともに力を蓄える事になるのであろう。


 「あたしの年齢的に、あんたやサンチェス達は最後の弟子になるかもね。あんたが本当に強くなれば、あたしゃいつでもガブリエウを説得するよ!」


 「……少し心配していましたけど、こう考えるとサンチェスさんとタワンさんがここに来るタイミング、本当に良かったと思います」


 エリサのまさに温かな老婆心に、彼女の年齢を思い浮かべたバンドーの脳裏には一瞬の寂しさが去来する。

 しかし一方で、リンの言葉を耳にして自分の判断は間違っていなかったと確信した彼の胸には、形容し難い程の万感の想いが込み上げていた。


 「皆、本当にありがとう! 俺達、明日からシドニーに行ってくる! この仕事も色々あるけど、俺達に出来る限りの事はちゃんとしてくるから!」


 バンドーの決意表明を最後に、日が暮れた農地を後にして、夕食に向かうコミュニティ。

 

 ここから夜が深まれば、この2日間は拝む事の出来なかった壮大なオセアニアの星空が、彼等の幸運を見守っているのである。

 

 

  (続く)

 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 喧嘩あり笑いあり故郷特有の、 優しさ、ほのぼの感。 バンドーの人柄を形成した、 確かなものが伝わりますね。 [一言] サヤさん・・・・跡継ぎ問題で、 最初から芽がないという。
2021/08/11 18:22 退会済み
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