７０．初旅行に出かけよう２

宿の近くの共同調理場でおもしろいものを発見しました

５段式竈とでもいうんでしょうか

鳥の巣箱のような土でできた四角いぽってりとした形状のものが

縦に５つならんでるんです

火もいらない地場の土と精霊さんたちの力だけで年がら年中稼働してる竈だそうです

鍋とかをそのまま入れると、煮物、汁物関係はばっちりだし

グラタンとかもできる、パンも焼けるしケーキもおっけー

こちらの方は、素材そのままを簡単に塩とハーブで味付けして

焼く料理が多いみたいで

いろいろ教わってみちゃいました

と、いうが、誰のお嫁さんかね、言われてちょっと肩身が狭かった

ほんと、私の年齢は結婚してるのが当たり前だもんね

私がここに来た理由は、料理の新地開拓もなんですが

料金からわかる通り、ご飯がついてないんですよ

なので、ご飯を買うかなぁーとみんなで歩いてたら見つけちゃって

市場で野菜や、魚を購入してここで調理中

テッラさんは肩身がせまいし、ハレアさんは危ないし

実は料理は壊滅的センスとのことで

テッラさんは、飲み物を購入

ハレアさんは、服や布などを探索にいくことになりましたー

しかし、おばさんたち面白い

共同調理場だから、近所の人が多いし

むしろ私みたいな旅行者はいないから、ほんと井戸端会議状態で

ひょこんと入ってきた私を含めてわいわいがやがや

王都に行くって言ったら

いいわねぇーと言われ、私的にはちょっとあれ？な気分

王様って実は好かれてるのだろうか

ちょっと潜入捜査的な感じで王様とか騎士さん使役獣使の噂話を聞いてみると

びっくりするぐらい人気が高かった

王様は、地方まで、足をはこんで、領地をめぐってくれ

竜退治や盗賊退治をしたりして、しっかり国民を守ってくれてるし

若いだけに気さくな所も好感度高いとのこと

うちの料理をつまんでねぇ、アツアツだったもんだから

とびあがられ、いたずらっ子みたいな表情するもんだから

あたしたちは大笑いさ

なんて聞かされると、うん、ほんといい王様で

かつ、好かれてるんだと感じた

最初からちゃんと受け入れて、市井まで降りてきて

みんなと交流してるんだもんね

昔の使役獣使だと考えられないよね

騎士さんたちは大変そうだったけど

あんな王様だったら私らも、税を払ってもいいい気分さ

っていうんだもんね

うーん、あと、個人登用が多いのは先代さんかららしい

だから、騎士の家系でも、貴族でもない人が大抜擢されて

活躍できる場ができて、新しい道がひらけたのもいい

騎士登録の仕方も変わったらしく

テッラさんもいってたけど、地方からの排出率も高くなってるらしい

何よりお給金の支払いいらしく、

ここらも、少ーーーし前までは、隣国の領域だったんだけど

その時よりずーーーっと良い国になった

国賊もいないし、監視の目はない

それに、隣国からの戦争がないのは助かるって

大物のモンスターとかが来た場合は騎士団が派遣されて護ってくれるらしい

だから、本気で、良い国なのよーって

手はせっせと動かしながらおばさんたちが教えてくれた

うーん、なんかイメージが全然違う

私も偏ってだなぁーとちょっと反省

隣国だった、街だから、征服されたし、私のこととか

リーナさんのことがあったから

王様＝ひどい人なイメージがあったけど、実は違うのかもしれない

そういえば、テッラさんからも悪い意見は聞かないよね

まぁ騎士さんだからっていうのもあるかもしれないけど

使役獣使については、やっぱり私の街の噂の方が強かった

だけど、全然情報は伝わってなくて

あれーな気分、使役獣が飛び回ってる街ぐらいな噂で

ともかくすごい、で終わってた

うーん、ここでそれだから

尾ヒレがついて、王都に行くことにはすごい街になってんだろうね

ということで、私の料理も完成

多目に作ってたので、おばさんたちと味見して、お互いの料理を少しずつ交換

なんか超絶品目多い豪華ご飯になっちゃった

「ただいまー」

「おかえりなーさい」

って、服があふれてた

たしかに、ハレアさんに、荷物持ちに誰かかしてーって言われたけど

すごい量だ

「は、ハレアさん」

「私、幸せです」

いや、まだ王都についてませんよ

「お、帰ってきてるな」

ってテッラさんもおかえりなーさいっ

なんで、もうほろ酔い気分なんですかー

みんなーまだ旅は始まったばかりですよーーーっ