67.旅行のお誘い
お昼にお話しようと思ったら、見事なる忙しさ
お互い話したいことは分かってるから、ああもうっな表情で午後の授業を終えて
アン先生ーっという生徒さんに
ばばばばっと質問に答えてカールさんの所にやってきましたー
はー、いろいろ忙しい日だった
「お、来たな
カール休憩はいれー」
入口にしたシェフさんが私を見つけ中に声かけしてくれた
「あ、はい」
カールさんが、奥から答える
「はい、ついでに評価お願いね」
と、パフェを出してくれた
おー、完成しましたかーっ
ぱちぱちーと手を叩くと皆さんに注目されちゃった
「まだ試作品だから、あんたらはもう少し先だな」
「アンさん、頼むよー」
「一口くれ」
とか先生やお金持ちの生徒さんから言われちゃったけど
試作品はあげれない約束なので
もう少しまってね、と言って奥の部屋に入っちゃいます
従業員用なんだけど、コムムンの件もあるので
私は入室可にしてもらってます
あと私にも給金でてるし
アイスクリーム、シャーベットの利権は私にあるので
完全な部外者とはいえないからおっけーなのです
「こんな感じかなって作ってみたんだけどどうかな」
「見た目はそっくりです」
うん、すごい
パフェっていうのがあるんですよーという話をして
アイスクリームオンリーよりゴージャスで
儲けられますっというと
全員に笑われたけど、ここポイントだよね
見た目もいいし
なので、お昼のデザートにつけるミニパフェと通常パフェの案内をしてみた
「んー、おいしー」
フルーツクリームもアイスクリームもおいしいし
果物もおいしい、スポンジケーキをいれてるんだけど
それもふわっふわで、融けたアイスを吸ってまたおいしい
「ぐっじょぶです、カールさん」
「うん、アンちゃんは表情で分かりやすいから、オッケーなのは確定だね
ほんとアンちゃんの世界の甘味はすごいね」
うん、私もこっちにきてそう思いましたよ
「他にも種類があるんですが、材料がなくて作れないのが多いですね」
「そっか・・・アンちゃんからすればかなり残念?」
「実は・・・」
と頷いちゃいますよ
ね、ラムムン
と目をやると、青くなって、カールさんの方にするするーと逃げちゃいました
ああっゼリーがっ
ああっ寒天がにげるっ
とか言わないとだけど、嘘だからもどっておいでー
だけど、本当に食べたいよね
ゼリー系と、チョコ系
うう、カカオとかありませんか・・・
「それでね、アンちゃん」
「あ、はい」
私がラムムンをもにゅもにゅしてるとカールさんが声をかけてきた
カールさんもご飯中なので終わってから話しようと思ったら
早かった
ちなみにカールさんのごはんはピラフとスープでした
それもおしいそうと思ってたので目をそらしてたんですよ
あーんなんてされると死ねますから、過去に有りまして・・・はい
「王都行きの件だけどね」
「あ、はい
お休み取れそうですか?」
そう言うと残念そうに笑われたから
ああ、無理だなとわかった
「お役に立てず、ごめんね」
「ううん、いいんです、なんとなくそんな気はしてましたから」
「だよね・・・」
「はい」
うん、みんな忙しい人なんです
実は、こちらの喫茶の人、2人ほど独立されて、他の地域に行くとのことで
一ヶ月間ぐらいみんなで新しいお店の構想とか練って
異世界料理は一つ二つ作ろうで権利を売ってギルドも通しましたもんね
それで旅立っていかれて、先日、手紙で
コムムンたちの偉大さを痛感し
新しい仲間やお客さんたちと楽しくやってるって連絡頂きましたもんね
だから、忙しいだろうとは思ってたから
ティエリさんとも無理だろうねーと目配せしたけど
やっぱり現実は現実でした・・・
「エスコート役、騎士とか言わないよね?」
にこりとカールさんが笑う
私はぷるぷると首を振り
「テッラさんからも断られ済みですよ
自分がエスコート役をかって出たら王側の思うつぼになるって」
「身の程をわきまえてるねぇー」
ってそんな黒い笑みを浮かべないでください
テッラさんは使者側ですが、いい人ですよ?
ちゃんと王都出仕しないでいいようにいろいろ考えてみんなと相談してくれてるみたいだし
むしろ、ちょっとだけ酷いこといわれたけど
「貴方が来ると、国が大混乱に陥ります」
とかどんな人よ、私はっ
だけど、宿の皆がちがいねぇーなんて笑ってて
それもへこんだんだからねー
そういうと、カールさんまで笑った
「アンちゃんの常識は非常識だからねぇー」
とかいいつつ、抱き締めないでください
もう、離れたくなくなるじゃないですかっ
騎士さんもだんだんアンちゃんの非常識加減に気付いてきました
うふふ、がんばれアンちゃん
少しずつ恋愛度数は上がってるようですよ




