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63.学校とアン

「また出た、アン先生の悪い人じゃないんだよ」

生徒さんたちに囲まれて

昨日からのことを話し終わるとそう言われた


いやいや、ほんとにテッラさんはいい人ですから

だから、どこの階級のものだとか

だから田舎貴族はとか言わないでください


君たち子供の顔してーっ

アン先生の前では子供でいられますーな

子供の顔しましょうよーっ


「いやいや、ほんとにね

 彼だって好き好んでしてるわけじゃないんだし」

ぷよりとラムムンが頷くように揺れる


「監視済み」

は?なんですか、それはラムムン


「前々から思ってたことなんですが

 先生よりラムムンの方がしっかりしてませんか?」

とか真面目な顔で言わないで

へこむよ、先生泣くよ

そしてラムムンどやぁしないでっ


「まぁ先生の常識は、俺たち貴族の常識と同じで

 一般とは遙か遠いところにあるみたいな感じですから

 ラムムンが常識と警戒を担当してる、ということじゃないですか?」

って理論的に言われるともっとへこむ


「あ、アン先生?」

「うう・・・」

「まぁまぁ」

まぁまぁじゃありませんよ、私に傷つくって塩塗り込んだ本人たちが

慰めないでください


まぁ、7割がた真実なんだろうけど・・・

うーん、日本の常識を持ってくるのがまず問題なんだろうねー

だけど、さすがに、ここまで言われると落ち込みたくなりますよ


「で、その田舎もん何処にいるんですか?」

「学校には入れないからクエスト完了お願いして

 終わるころに待ち合わせしてるけど?」

私がそう答えるとはぁぁぁぁぁぁぁぁぁと

深いため息をついた


「ギルドは基本的に中立なんですよ?」

うん?それがどうしたんだろう

そしていきなりなんでそんな話なんだろう


「先生はまったく疑ってないですが

 あの田舎もんは本当に騎士なんですか?」

「え?みんなで一緒に来たよ?」

「途中で拾うことや依頼者にすることも可能ですよ

 見せかけなんてどうとでもなる」

「そういや、大した金も持ってない様子だったしな」

ってみんな何その陰謀の一派見つけました

みたいな顔は・・・


「いやいや、ないから、大丈夫だから」

「アン先生」

「はい」

ぴりっとした声で呼ばれちゃいました

なんか、お婆ちゃんに呼び出されて

杏子さん、こっちにお座りなさい

みたいな感じだよね・・・


「調べる前から、結果を決めつけないでください

 先生の教えに反しています」

理論くんがそういうと、皆がうんと深く頷く


「人となりを少しの時間ですがつきあって理解したつもりでしょうが 

 人も、魔物も精霊も嘘をつきます

 特に人は契約すら反故します

 そういう生き物です

 その生き物を理解し、完全に大丈夫であるとは絶対に言えないんです

 だから、『ちゃんと見てください』」

そう彼は締めくくった

私が使役獣をちゃんと見てね

どういう状態?何を伝えたがってる?

どんな性格?

みんな、ちゃんとわかってあげて、見てあげて

使役獣にはあなたしかいないんだよ

っていつも言ってた


人も同じだよ、と理論くんは言う

ううん、もっと大変だと言う


「うん、ごめんね

 ありがとう」

私は応える


「ま、ラムムンが監視つけてるから大丈夫でしょうし

 うちの密偵から連絡ありませんから

 問題は起こってませんけどね」

「え?」

なんか、今、密偵とか言いませんでしたか・・・


「実地訓練ですよ、アン先生」

にやりと、笑った生徒さんたち

うわぁぁぁん、怖いよー


「チャンスを生かす努力に先生びっくりしました」

うん、それしか言えない


「ピンチはチャンスでしょ?アン先生」

くすくすと女の子たちも笑う

うう、みんないろいろ水面下でやってますってことだよね

私一人がのほほんとしてたってことだよね


お見逸れ致しましたっ

アンちゃん、筋肉馬鹿と同じように、つっこみ入れられまくってます

どちらも愛があるんですけどね

うん、同じぐらい非常識でもあるということですね・・・


みんないろいろがんばってます


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