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35.もしも、であなたは考える(カール視点)


やっぱり、と思った

アンちゃんは納得していなかった


そして、条件を変えればすぐさま考え始める

その真剣な表情の横顔にキスをしたくるけど

抜け目のない使役獣が俺を監視する


ぱちりと、瞬きをする

珍しいほど黒いまつげが、ふわりと落ち

そして上がる

目の前で組んだ指先は細く美しい

毎日きれいにしているからと若さだろうなと思う



「持って行けない居場所を作る」

とアンちゃんが呟く

ああ、彼女の中でピースがはまったと思う


頭が悪いことは絶対ない

だけど、認識が甘い

そして、情報が偏りすぎている


そりゃぁ、ギルドのこびと族なんかに引っかかるさ、と思ったが


何もかもがまだ、とのことで、ほっとした

もし、ひっかかった後なら彼女を抱こうとは思わないだろう

それぐらいこびと族の性は強いし、多種多様だ

そんなプレイにつきあうほど酔狂じゃないし、困ってもない


噂では、あのこびと族が、夜の顔を潜めたといった

それは、彼らの本気

その対象は間違いなく、アンちゃんだろう


彼もまた、アンちゃんの魅力を理解してるのだろう

そして、彼にとっては偏見のない相手とでもいうのか

そりゃぁ、いいだろうよな、と思う


自分の過去の悪事は、すべてなし

まっさらな気持ちで向き合える相手か・・・と思えば

人のこと言えないな、と思った


「警告・・・でも、フィルルンは話せない」

「話がしたいのかい?」

「会話じゃなくていいんです、ただ、警告を発したいんです」


「なら、響石はどうかな?」

「響石ですか?」

あれ、知らないかな、魔法道具屋に行ってるはずだから見てるはずだけど


「残念だけど、ちょっと離れようか

 持ってくるよ」

「あ・・・はい」

かぁ、とアンちゃんは目に見えて赤くなった

今まで、当たり前だったけど、抱きついてたということを理解したら

恥ずかしくなったらしい

可愛すぎる、それを少しずつ大人にするのは楽しいだろうと思う


「じゃぁ取ってくるね」

隣の部屋から響石を取る

とん、と再生するが、声はない

使えないわけではない、無音が入っているのだ


別れの無言の言葉が


「ご臨終です」

そう響石が呟き、そしてわぁぁぁと泣く声

それは、小さい俺の声

父が亡くなった際に使ったものだ

最後の言葉が欲しかった


しかし、父は何も言わずに死んだ


そして、俺は戦った

「『消去』」

とつぶやき、記録を消す


「はい、これね、名前を呼んでくれる?」

「えっ、カールさん?」

「何で疑問なの?大好きとかつけてもいいよ」

真っ赤になってぷるぷると横に首を小刻みに振る

ふよふよとラムムンが揺れている


そして、決心したように俺を見る

「いつも、ありがとうございます、カールさん」

彼女は笑う、いつものように

初カール視点&過去編

カールファンの方お待たせしましたーっ

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