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私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!?  作者: さいとう みさき
第十章絶対合格しなきゃいけないよ!!
73/75

10-4「希望」と書いてお兄ちゃんと読むんだよ!

長澤由紀恵15歳(中学三年生)。

根っからのお兄ちゃん大好きっ子。

そんなお兄ちゃん大好きっ子が学校見学で兄の高校に行くと‥‥‥


「私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!」


ここから始まるラブコメディー。

さいとう みさき が送る初のラブコメ小説!


えっ!?(由紀恵談)


 「お世話になりました」



 病院を本日退院する。

 お母さんと迎えに来たお父さんと一緒に看護婦さんたちに挨拶をする。 


 「お大事にね、由紀恵ちゃん」


 「頑張ってね由紀恵ちゃん」


 なんだかんだ言ってお世話になった先生にも挨拶してお父さんの車に乗る。



 もう自分で歩く事くらいには回復をした。


 そして私はその間に私立高校の補欠募集の案内を渡されお母さんといろいろ話をして、明日学校に行って願書提出をする段取りだ。



 「ねえ、お母さんお兄ちゃんは?」


 「友也は学校よ?」


 「あ、うん、そうだよね‥‥‥」



 平日の午前中にお兄ちゃんだって学校が有るのは当たり前だ。

 お父さんだって今日の為に有給休暇を取ってくれていた。



 病気で倒れた私だけがいつもの日常の歯車からまだ外れている。



 私は車の窓の外を見る。

 同じ中学生だろうか? 

 母親らしき人と歩いているのが見えた。


 受験もそろそろ終わり合格発表が始まっている。

 その後定員割れの高校は補欠の募集を始める。


 例年そうだが公立高校の補欠はまず無い。

 なので何かの理由で受験に失敗した者は大体が私立高校の補欠募集でその学校へ行く事となる。



 私が私立の補欠を受けるのは女子高校。


 制服の可愛さで有名な女子高。

 でもお兄ちゃんの桜川東高校から家をはさんで反対側のかなり遠い所。


 学校が終わって桜川東に来る頃にはお兄ちゃんの部活だって終わって帰宅するくらいに離れている場所。



 もう私がお兄ちゃんの高校生活に関わる事は出来ない。


 そう思うとまた視界がゆがんでくる。

 今まで私はその為だけに頑張って来たのに。


 お兄ちゃんと一緒に学校へ通う為

 お兄ちゃんと一緒にお弁当を食べる為

 お兄ちゃんと一緒に学校で笑う為

 お兄ちゃんと一緒に学校行事をする為

 お兄ちゃんと一緒に下校する為

 お兄ちゃんと一緒に‥‥‥


 お兄ちゃんと‥‥‥



 「由紀恵‥‥‥」


 お母さんがそっとハンカチを差し出してくれる。

 私はそのハンカチを受け取り涙をぬぐうのだった。




 * * * * *



 「由紀恵いるか!?」


 私がリビングであれやこれやと願書の作成をしていた時だった。

 息を切らせてお兄ちゃんがリビングへ入って来た。


 「聞け由紀恵、お前が桜川東高校を受ける事が出来るかもしれないんだ!」

 

 「え?」




 お兄ちゃんのその知らせに驚き思わず記入用のボールペンを落とす私だったのだ。 


 

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