60話 負けるが勝ちなド変態
「と、飛んでる…!」
「フッハッハッハッ!! どうだ!すごいだろう!」
くっ…正直羨ましい!私もあんな派手にわかりやすい魔法が欲しい!ナイトの黒くなるやつとか【テールインペリアル】の鎧武者召喚とかみたいなやつ!
「ここからなら・・・よく見えるぞ!『フレイムボール!』『アイスボール!』『サンダーボール!』」
「嘘ぉ!?」
火・氷・雷の基本属性のボール魔法を全部使ってきた!普通は手から発動するものを拳銃から発動してるから狙いやすい上に上空からの狙い撃ち、さらに3つ一気にだから避けれるはずもない。
「うぅ…!」
「フッハッハッハッ! こんなものではないぞ!」
ヤバイ…こんなひらけた公園じゃどうやっても格好の獲物だ。一旦住宅街に逃げないと!
急いで公園外へ向かう。
「逃すかぁ!」
うっ!・・・太ももあたりに何かが当たった感触…通常攻撃か…!
「ふふ…お主の供物を魔術に変えてやろう。『サンダーボール!』」
回復したMPでどんどん魔法を撃ってくる。なんとか家の陰に隠れられたけど…。
ズドーーン!っと家の二階部分がまるっと落ちてきた。隠れても構わず魔法を撃ってくるなんて!
「ちょっと…これ…」
いくらなんでもおかしい! いくら消費MPの少ないボール系の魔法とはいえもう20発は撃ってきてる!
「おかしいでしょ!何発撃つ気!?」
「教えてやろう!我が愛銃[魔王の銃]で発動した魔術で破壊した建物からMPを吸収できるのだ!これこそ我が武器スキル!」
何その武器性能は!ズルすぎる!
「・・・まぁその代わりに我が命(HP)を削られるのだがな」
・・・前言撤回。リスキーすぎる…。つまり今【ペインバタフライ】はかなりHPが減ってきているってことか!ならワンチャンあるかも…。
「ぐぬぬ…!いつまでもコソコソと逃げ隠れするな!」
焦ってる? ということはそろそろMPもしくは削るためのHPが尽きかけてるのかな…。それなら!
「『街灯索敵』」
登録しておいた街灯から【ペインバタフライ】の正確な位置を確認する。公園の入り口からは少し離れてるから…行ける!
「こっちだよーだ!!」
「観念したか! 今度こそ、我の贄となれ!『フレイムボール!』」
火の球が空から降り注ぐ。この隙に・・・
「『ショットガンランプ!』発動!」
手持ちランプを上に向かって投げつける。【ペインバタフライ】が飛んでいる高度までは届かなかったものの、かなりのダメージは期待できる!
「くそっ! 『パワーシールド!』」
「どんだけMP持ってんの!? でもギリギリのはず!」
防いでいる間に再び公園へ。私が向かったのは、さっきまで潜んでいたドーム型の遊具の中。
きっともうボール系の魔法は撃てないはず。MPに余裕があるなら私が出てきた時に『フレイムボール』だけじゃなく雷や氷の球も撃つはずだしね。
「くそっ!そこか!小賢しいぞ!」
だんだんと声が近づいてくる。やっぱりこれを壊すほどのMPはないんだ! だったら…
「『ハニートラップ!!!』」
ドーム型の遊具の中でハチミツを撒き散らす!ここに!
「フッハッハッ!覚悟!・・・ん?」
かかった! 名付けて・・・ゴキブリホイホイ作戦!成功!
「な、なんだ!動けな…闇の組織の仕業か!」
【ペインバタフライ】が飛んだまま遊具の中に突っ込んで来るのは予想通り!ちゃんとかかってくれたね!
ただ欠点は・・・私も動けないってこと。そりゃ遊具の中でハチミツを撒き散らしたら自分にもかかるよね…そこまで頭回ってなかった。
MPも残ってないし・・・あの中二病ちゃんも何もできずに涙目になってるし・・・これどうすればいいんだろ…。
そこから約1時間膠着…暇すぎる! ちょっとこの子と仲良くなっちゃったよ。口調は変だけど中身はちゃんと普通の女の子だし。
すると目の前に5・4・3・と表示され出した。何これ?
≪2・1・・・finish! you win!≫
「珍しいお☆」
「うおっ!? ディスポン!」
(いつも通りだけど)突然ディスポンがでてきた。
「時間切れフィニッシュは珍しいお☆。時間切れだと残りHPが多い方が勝ちになるお☆」
なるほど・・・確かに魔法少女の戦闘って短期決戦が多いしね。
「そんじゃボーナスタイム頑張ってくれだお☆〜」
シュンッ!って一瞬で消えた。解説のためだけに出てきたんだ…ご苦労様。
ディスポンを見送ったらすぐに【ペインバタフライ】がハチミツのポールに縛られて出てきた。
「ふん。刻の神に見放された我を弄ぶか・・・良い。好きにせい」
・・・なんだこの子。ちょっと仲良くなったからってその中二病を認めたわけじゃないんだけど…。まぁいっか。
「はい、始めるよー」
「ぐぬぬ…我を無視するか…!」
「はい、口あけてー」
基本的にスルー。一々拾ってたらボーナスタイムの時間減っちゃうしね。
「んがっ!?」
ポールのハチミツを指に取ってくちゅくちゅとほぐす。
「挿れるよ」
「んんっ!」
う〜〜ん。こんな子でもやっぱり顔はすごく可愛い。だからこそ眼帯がもったいないなぁ〜って私は思うんだけど…この子はこれが最高にオシャレだと思ってるんだろうな…。
「ふぁ!…んん…ん〜?」
「・・・何その反応」
なんか疑問符つけられたから指を抜いた。
「はぁ…はぁ…いや、足りないと思ってな」
「何が?」
「乱暴さだ」
「・・・へ?」
何を言ってるんだろうこの子は…。
「足りぬのだ! こう・・・目の前の者を辱めようとする気持ちが!あれだけイキッてた我をぐちゃぐちゃにしてやろうという気持ちが!」
【ペインバタフライ】が必死になって訴えてくる。もしかしてこの子・・・。
「あれだけ強気に、上から目線で物を語った我を痛めつけるほどに弄べ!」
間違いない…この子…自分のドM属性を存分に発揮するためワザと中二病的なことを言ってたんだ!
「痛めつけるって・・・こう?」
「んんっ♡」
ヒェッ!? 舌を指でギュッとつねったらいい声が出てきた…。
「こう・・・とか?」
「ああっ♡ イイッ!いいゾォ〜!」
このまま主導権を完全に【ペインバタフライ】に握られたまま、ボーナスタイムが終了した。
≪【ハニーランプ】ポイント更新≫
戦闘開始前:40pt
↓
戦闘終了後:90pt
≪内訳:戦闘勝利+20pt。ボーナスタイム+30pt≫
≪weapos≫ 『メルヘンロッド』 sub 『スチールソード』
≪skills≫ 『ジャンプ能力向上』『HP+50』『街灯索敵』
≪magics≫ 『インフェルノ』『サンダーウィップ』『ハニートラップ』『サンダーボール』『ショットガンランプ』『未登録×2』
あっ満点だぁ〜。やったぁ〜。あはは〜…はぁ。
・・・何なのあれ。まさか自分の性格をボーナスタイムのためにねじ曲げる人間がいるなんて・・・。
世の中にはとんでもなく性癖にこだわる人がいるんだ…。色々勉強になったかも。
一生知らずに生きてても良かったこと、だと思うけどね。




