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異世界召喚が多すぎて女神様がぶちギレました【連載版】  作者: 湯立向日/ガタガタ震えて立ち向かう


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だから魔王にザ○キは効かないって言ってるだろ!?

 魔王。

 何か色んなお話でラスボスの代名詞となっちゃっている魔王ですが、本来は仏教用語であり第六天魔王を指す言葉でもあります。

 第六天魔王と言えば織田信長の異名としても有名ですが、これは寺の焼き討ちなどで僧から「あいつやべーよ! マジ魔王だよ!」と言われちゃったのと、武田さんちの信玄さんからの手紙に天台座主沙門信玄と書かれていたのを見て「ふーんだ! じゃあ俺は魔王だもんね!」とノリで名乗っちゃったのが原因です。

 上杉謙信の毘沙門天といい、戦国時代は中二たちの戦いだった……?


「魔王さんこんにちはー!」


 さて、そんな中二の代名詞を襲名しちゃった元日本人な魔王様のもとに、召喚勇者なマサトくんがやってきました。

 状況が状況ならカチコミ同然な所業ですが、マサトくんを確認したミラーカさんは「あらあら」と言いながら紅茶を入れています。

 この人は自分に害がなければ、魔王様が溺れてても指さして笑うような悪魔なので仕方ありません。


「……いらっしゃいマサトくん。一応聞くけど、トラップとかどうやって突破してきたん?」


 一方口では歓迎しつつも、呼んだ覚えもない客があっさり最深部の玉座の前に現れたので警戒する魔王様。

 先日マサトくんの師匠であるトール様にもあっさり侵入され、幾つかトラップを吹っ飛ばされたので仕方ありません。


「うん。面倒くさいからワープしてきた」

「ル○ラ!? ル○ラなんか!? やっぱり勇者はル○ラ使えるんか!?」


 あっけらかんと前人未到の偉業をやってのけるマサトくんにつっこむ魔王様。

 ちなみにル○ラは記憶にある町などへ移動する呪文であり、決してダンジョンをショートカットする呪文ではありません。


「ええなあ。私魔王やのに魔法とか使えんし。私も凍てついてる波動とか凍えそうな吹雪とか出したい」


 そう言って羨ましがる魔王様ですが、魔王様は素手と気合だけで他の魔族を叩きのめせるのでむしろ魔法とか必要ありません。

 言わば女版のオネエです。

 女版のオネエとか意味分かりませんね。


「それで、今日は何しに来たん?」

「皇帝さんからお手紙預かってきた」

「……いや。ありがたいけど何でアンタが持ってくんねん。普通こう儀礼に乗っ取った正式な使者とか」


 手紙は受け取りつつも皇帝のある意味無礼な対応に顔をしかめる魔王様。

 魔王様自身はぶっちゃけ儀礼的なこととかどうでもいいのですが、他の魔族の手前侮られるわけにはいかないのです。


「なんか『今の所は同盟も公にしていないし、もう全部君に任せればいいんじゃないかな。アハハハハハハ』って笑いながら言ってたよ」

「それ絶対壊れた笑いやろ」


 どうやら皇帝陛下は、言うことを聞かずに暗躍する配下と、常識何それ美味しいの状態な勇者のせいで心労がたまっているようです。

 前皇帝であるグライオスさんなら、壊れた笑いではなく本気で笑っていたであろう辺り、年季の違いを感じます。


「まあ確かに受け取ったわ。ご苦労さ……」

「ここかぁ!?」


 魔王様の労いの言葉を遮り、突如開け放たれる扉。


「はあ……はあ……居た!」


 そして現れたのは、マサトくんの仲間でシーフなリーゼさんでした。

 余程疲れているのか小柄な体を上下させ、息を荒げています。


「アンタ念のために誰か護衛に連れてけって言ったでしょうが! 何で入口開けた瞬間居なくなってんのよ!?」

「あ、リーゼだ。どうしたの?」

「たった今説明しただろうがコラアアアア!?」


 天然なマサトくんにつっこむリーゼさん。

 顔が年頃の女子としてありえないことになっています。


「……え? あの子正面からトラップ突破してきたん? 久しぶりやない?」

「そうですねえ。今のトラップになってからは初じゃないですかね」


 一方リーゼさんが正面から来たことに驚く魔王様とトラップ監視担当のスケルトンさん。

 風雲魔王城バージョン8.02になってからは初の突破者なので、別室で見学していた魔族や人間たちから拍手が巻き起こっています。

 ちなみに律儀に正面から追いかけようとして途中で小麦粉の海に墜落したデュラハンさんには、記念品としてたわしが進呈されます。


「えー? 心配しなくても魔王さんはいい人だよ?」

「それでも万が一があるでしょう!? もう、少しはこっちの気持ちも考えてよお」

「え……あ、ごめんなさい」


 無事な様子を確認して安心したのか涙ぐむリーゼさんと、流石に悪いことをしたと気付いたのか謝るマサトくん。

 でも悪いことをしたと気付いてもその行動が改善されることはありません。

 勇者(馬鹿)だからね。仕方ないね。


「ほほう?」


 一方その様子を見て何かに気付いた魔王様。

 顔が実に魔王らしいことになっています。


「それで? そっちのリーゼちゃんとやらはいつからマサトくんのことを?」

「ななな、何を言ってるのかしら!? 私はただ仲間としてマサトを心配して……」


 喜色満面の様子でリーゼさんを弄り始める魔王様。

 そしてその背後で「手ぬるい。なっちゃいないわ魔王様」と舌なめずりするミラーカさん。

 リーゼさん逃げて! 超逃げて!


「まあまあ、そんなに嫌がらんと。お姉さんに話してみ?」

「え? 年上? その胸で?」

「胸のことは言うな!?」


 しかしそんな危惧をよそにクリティカルヒットを叩き込むリーゼさんと涙目な魔王様。

 今日も魔界は平和です。


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