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異世界召喚が多すぎて女神様がぶちギレました【連載版】  作者: 湯立向日/ガタガタ震えて立ち向かう


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車が空を走り始めたら事故る自信がある

「免許をとろうと思うのだが」


 とある休日の安達家。唐突にそんなことを言い出したのは、元皇帝なグライオスさんです。


「ほう。免許ですか」


 対するは総理大臣な安達くん。手元には緑茶とカステラ。言うまでもなくナタンさんのお手製です。


 カステラに日本茶はおかしいのではないかと思う人も居るでしょうが、カステラは和菓子なので問題ありません。

 何せカステラを教えてくれたはずのポルトガルが「俺こんなもん教えてねーよ!?」というくらいだから和菓子に違いありません。

 つまりはいつもの日本です。


「うむ。最近はまっているMMORPGで知り合った女子が女だてらに釣りにはまっているらしくてな。わしも始めてみようと思ったのだが、それなら車があった方が便利だと言われたのだ」

「なるほど」


 安達くんは女だてら以前に中の人が男なんじゃないかと思いましたが、そこはあまり関係ないのでつっこまずに流すことにしました。

 ネカマ以外にも単に女の子のキャラを見ていたいから女キャラを使う人やその逆もあるので、ネットでの性別なんてあてになりません。

 作者もアバターは男を使っていたのに、何故かギルメン全員に女認定されて後に引けなくなり、ネナベ扱いなネカマという意味の分からない状況に陥りました。

 解せぬ。


「しかしわしのような高齢では免許はとりづらいと聞いてな。そこでアダチに相談したわけだが」

「確かに高齢になると視力や判断能力の低下から安全運転が難しくなりますが、グライオスさんはあと五十年は老けそうにありませんからね」

「わっはっは! そういうアダチもあと五十年は現役でいけそうではないか」


 そう言って笑いあう爺二人ですが、この二人だと割と洒落になっていないのが人体の神秘です。

 二人とも見た目は爺なのに何故こんなに元気なのでしょうか。


「能力的に問題ないならば、高齢での免許取得にも問題はありませんよ。七十歳以上なら免許更新のたびに高齢者講習というものを受けなければなりませんが、グライオスさんはまだ少し余裕がありますね」

「ほう。つまりはそんなものを開かねばならない程度には免許をもっているものがいるということか。これはわしも負けてはおれんな」


 安達くんの説明を聞いて何故か対抗心を燃やすグライオスさん。

 このままでは数十年後に日本最高齢ドライバーの座が異世界人に乗っ取られてしまいます。


 それ以前に日本最高齢者が異世界人に乗っ取られていますが、そこは気にするだけ無駄なので仕方ありません。

 なおそのことをリィンベルさん(日本最高年齢)に言うと奥歯の近くにでっかい口内炎ができる呪いをかけられるので注意しましょう。

 自分で高齢をネタにするのはよくても、他人に言われるのは嫌な乙女心です。


「まあグライオスさんの場合は筆記試験の方が問題ではないでしょうか。今から日本の交通法を覚えるのは大変でしょうね」

「むう……確かにわしは机に向かうのは苦手だ。苦手だが逃げるわけにもいくまい。わしも子供たちを見習って勉強をするか」


 苦い顔をしながらも免許取得のために勉強することを決意するグライオスさん。

 今日も日本は平和です。



 一方高天原。


「ねえツクヨミ。高天原で車走らせられないかな」


 まーた思い付きで面倒くさいこと言い始めたよこの子は。

 そんなことを思ったツクヨミ様でしたが、かろうじて口には出しませんでした。


「また思い付きで面倒くさいことを言い始めましたね姉上は」


 でも結局我慢できずに言っちゃいました。

 でも思った通りにこの子扱いせずに姉を敬っているのでセーフです。

 親しき仲にも礼儀があるのです。


「……だって便利そうじゃん! 短時間で遠くに移動できるし!」

「短時間で回れるほど狭いでしょう高天原は」


 実際高天原がどの程度広いかは不明ですが、そもそも神様が移動に時間がかかるものなのかとかつっこみを入れてはいけません。

 要は気分の問題なのです。


「それにスサノオやタケミカヅチを筆頭に色々とやんちゃな神が多いですからね。事故が起きたらどうするのですか」

「事故が起きても死ぬような神いないから大丈夫!」

「事故が起きるのを前提にしないでください」


 大丈夫というアマテラス様ですが、神様も死ぬときはあっさり死ぬので全然大丈夫ではありません。

 オオクニヌシ様などは兄にいじめられて二回ほど死んでます。

 そして生き返った後にさらにスサノオ様(舅)にいじめられたりと、オオクニヌシ様の苦労がしのばれます。


「それにそもそもの問題としてですね……」

「なに?」

「……姉上の身長では座席に座ると前が見えないのでは?」

「……」


 ツクヨミ様の指摘に固まるアマテラス様。

 別に身長が足りなくても座布団などを敷けばいいのですが、問題はそこではありません。


「……私そこまでちっさくないもん! ツクヨミの馬鹿! 変態! 百合好き! シスコン! ロリコン!」

「誰がロリコンですか失礼な!?」


 他は否定しないんですか。

 そんなトヨウケヒメ様のつっこみは、姉弟喧嘩の喧騒にかき消されました。


 今日も高天原は平和です。


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