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第59話 転生して十年目、また最初から飛ばしてます。(1)


某船の映画の曲を歌いながら、ふきの煮物を作ってた島田です!(冷静になると中々な絵面だなと思った……)

いつも更新が不定期でごめんなさい!

でも、やる気が出ないと書けないから仕方ない!

まぁ、そんなこんなで……気長にお付き合い頂けたら、幸いです!


【この場を借りて御礼】

誤字脱字報告、ありがとうございます! 今後もよろしくお願いします!


という訳で〜また時間が進みます!

アリエス、10歳だよ!


それでは、よろしくどうぞ〜( ・∇・)ノ


 







 転生して早くも十年目ーー。



 今日は、雲一つない晴れやかな春の一日だった。いや……正確には違う。

 今日は朝からずっと、触れては消える花々が空から降り注いでいた。

 王都の至る所で、「精霊王の祝福だ」と歓びの声があがっている。




 そんな幻想的で素敵な日にーー……。




「ふぇぇぇぇ……お綺麗ですぅぅぅ!!」

「きゃぁぁぁぁぁ、素敵ぃぃぃぃ!!」

「ふぐぅぅぅぅっ! おめでとうございますぅぅぅ!」

「でも結婚して欲しくないですぅぅぅ!!」


「「お姉様ぁぁぁぁぁ!!」」

「「姉御ぉぉぉぉぉぉ!!」」



 …………学園を卒業したばかりの紳士淑女(?)達の叫び声が、披露宴の会場(※提供:王宮のダンスホール)に響きまくっていた。







「あははははっ、ごめんなさいねっ! 子猫ちゃん達、子分ども! わたくしはもう人妻! 諦めなさいな! あははははははっ!」

「「「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!! お"め"でどうございますぅぅぅぅぅぅぅう!!」」」」


 ビシッとピースを目元に添えて、泣き叫ぶ彼女らを一刀両断するシェリー様。

 その光景を見ながら、ルイ君の隣に立った私は思わず遠い目になってしまう。いや、だってね?



 さっきまで厳かな感じで婚約者であるメルヴィン様と結婚式を挙げてたはずなんですよ……?



 淡い虹色の光を放つ純白の、デコルテを強調するマーメイドラインのウェディングドレスのシェリー様と……白いタキシード姿のメルヴィン様。それはもうお似合いの姿で。感動のあまり、涙ぐんでしまうほどだった。

 なのに……なのによ?



 ………今はどうよ……。



 披露宴用の紫色のドレス(メルヴィン様の色)を纏ったシェリー様は、既に通・常・運・転!

 いや、真面目な方が変な感じがするけどね!? もうちょっと余韻に浸らせてよ!!

 というかっ……叫んで泣いてる君ら、誰だよ!!


「彼らはシェリーの信者ーーごほんっ。下僕げぼく、ですよ」

「ふわっ!?」

「気配なく現れるの、止めない? 思わず殴りそうになっちゃっただろ」


 サラッといつの間にか隣に立っていたメルヴィン様(※こちらもシェリー様の色の小物を纏ったダークグレーの正装姿)に驚いて、反射的にルイ君に抱きつく。

 ルイ君は呆れ顔で彼を見ていて……当の本人は「あははっ、失礼しました」と反省している気配ゼロ、幸せオーラダダ漏れの笑顔を浮かべていた。

 というか……今、信者と言ってから下僕に言い直したよね? 一体、何があったの……。

 そんな心の声が漏れていたのか……メルヴィン様はクスクスと笑いながら、私の疑問に答えてくれた。


「学生時代ーーと言っても、卒業式は昨日のことでしたから、昨日までのことなのですが」


 貴族の子息令嬢は十五歳から三年間、学園に通うことになる。つまりは高校と同じってことだね。

 でも、この国での成人は十四歳だから……結婚してから学園に通うか。学園卒業後に結婚するかの二パターンが主流なんだとか。

 ちなみに……今期の卒業生達の中で一番乗りの結婚らしいよ、シェリー様達。まぁ、卒業した翌日だから当たり前か。うん。


「シェリーって破天荒でしょう? 最初はそりゃあもう……彼女の大・暴・走・☆に巻き込まれて、教師陣も生徒達も阿鼻叫喚だったんですが……」


 待って……先生も生徒も阿鼻叫喚になるって何したの……。

 気になるぅ……めっちゃ気になるぅぅ……!

 取り敢えず、この二人のお色気オーラでエロテロ起こしてるのは想像つく!


「まぁ、そんなこんなで。気づいたらシェリーは学園の女王様(笑)として降臨し……彼女をお姉様と慕う女子生徒達と、姉御と慕う男子生徒達が出来上がっていました」

「………あ、うん。そうなんだ……?」

「えぇ。流石シェリーですね」


 学生時代の思い出を振り返って微笑んでいるだけなのに……どうしてだろう?



 …………無駄にエロオーラ出てんだよなぁ……この人……。



 死んだ魚のような目をしていたからなのか……ルイ君が私を抱き上げてくれる。

 十歳にもなって抱っこ……とも思わなくもなくもないけど、ルイ君の抱っこは精神安定効果が半端ないから、ついついしてもらいたくなっちゃう。

 それに、今日は式典用軍服(モールとか付いてて、いつもよりキラキラ)を着ているから、興奮せずにはいられない。

 特に、ハーフパームグローブと軍服の袖の領域が良い!


「アリエス、アリエス。手袋フェチなのは知ってるから。後で好きなだけ脱がしていいから……取り敢えず、現実に帰っておいで?」

「ルイ君がグローブの指先を歯で噛んでえっちく脱ぐのはオッケーですか!?」

「……して欲しいんだね?」

「して!」

「………あ、うん……分かったから……ボクのことを見て?」


 にっこりと微笑んだルイ君に見つめられて、私は頬が熱くなる。

 …………うぅっ……今日は軍服効果でいつもよりイケメンだから、ドキドキするぅぅ……!


「流石、先輩。ラブラブですね」


 正式(法的)にはまだだけど、私達が既に結婚してることを知ってるメルヴィン様にそう言われて、私は更に頬が熱くなる。

 まぁ……ね。肉体的な年齢事情でそういうことは無理だけど、結婚してからのルイ君は更に甘くなった。もうね、ちょっとした仕草が甘々よ。

 このヒトの甘さに際限はないらしい。

 まぁ、それが満更でもない私も中々に毒されてると思うのですが。うん。


「こんなところにいたのかい、メルヴィン」


 そんな世間話(?)をしている最中ーー聞こえた声に私達は顔を向ける。

 そこにいたのは、THE王族と言わんばかりのキラキラした衣装を身に纏った金髪碧眼の男性と若葉色に榛色の瞳のほんわかした女性。

 メルヴィン様が慌ててその場に跪こうとしたけれど……男性が「今日の主役が跪こうとしない。ほら、今日は無礼講だよ」と止めると、ちょっと申し訳なさそうな顔をして軽く会釈した。


「グラリアス王太子殿下、レナ妃殿下。本日は披露宴の会場を提供してくださり、ありがとうございます」


 メルヴィン様の挨拶で、彼らが本当に王族ーーそれも王太子夫妻だと知る。

 というか……どうして披露宴が王宮のダンスホールなんだろ? って思ってたけど、王太子殿下が提供してたんだ……。

 とまぁ、そんな感じでお礼を言われた殿下はにっこりと笑う。

 しかし、彼の口から溢れ出たのは……うん。予想の斜め上をいく本音だった。


「いや……どうせ君らのことだから、婚姻式でも一悶着起こすだろう? 尻拭いするにも、目が届くところじゃないと対応出来ないからね。だから、気にしなくても良いよ」

「…………」


 ……………それを聞いたメルヴィン様は、それはもう困ったような顔をなさってました。

 うん、そりゃそんな顔にもなるよね! もう問題起こすの前提だもんね!

 でも、シェリー様見てると問題起こしそうだなって思います、確かに!!


「…………殿下……その……すみません……」

「大丈夫。王家は代々、エクリュ侯爵家の者に苦しませられてきたから。シェリーが一つ下の後輩として学園に入学してきた時点で、わたしの胃痛発症は決定していた未来だったから。だから、大丈夫。大丈夫ったら、大丈夫。というか、そう暗示してないとやっていけなかったよね」


 死んだ魚のような目をしながら「あはははは」と笑う殿下は、結構ホラーちっくでした。

 ………やだ……顔が死んでるぅ……。


「まぁ、わたしの胃痛は置いといて……」

「本当に申し訳ありません……殿下」

「君に大事な話があるんだ」


 ーーピリリッ!

 緊張感ある空気が流れ、メルヴィン様が真剣な表情になる。勿論、王太子殿下も。

 殿下はガシッとメルヴィン様の肩を掴んで、告げる。


「いいかい? 君はとうとうシェリーと結婚した。それは大変、目出度いことだ。しかしっ、だ! 君の妻は爆弾だ。超危険な毒物、劇薬だ! いいかい、メルヴィン!? 君は夫として妻を諌めなければならない立場になった! だからっ! どうかっ! くれぐれも……()()()()()! シェリーが変なことをしないように手綱をガッチリと握っておくんだよっ! メルヴィンっ!!」


 ぐわんぐわんっと肩を強く揺らしながら、鬼気迫る顔で言い募る殿下。

 なんだろう。なんか、なんとなく何があったか悟っちゃったわ。


 …………殿下……シェリー様にめっちゃ困らさせられてきたんですね……?

 やだ……簡単に想像ついちゃうわ〜……。



「本当、殿下は大変ですわねぇ……」


 と……同情のあまりちょっと泣きそうになっていたら、いつの間にか隣に来ていたレナ妃殿下が、頬に手を当てながらのはほんっと呟く。

 …………なんか今日、いきなり隣に立つ人が多いな……。

 そんな私の視線に気づいたのか、レナ妃殿下は〝ほわわ〜んっ〟と微笑む。

 そして、優雅なカーテシーで挨拶をした。


「初めまして、ルイ・エクリュ中尉。アリエスさん。わたくしはグラリアス王太子殿下の妃レナと申します。どうぞよろしくお願いしますわね」

「………初めまして、レナ妃。ルイ・エクリュです。どうぞよろしく」

「あっ。は、初めまして! アリエスですっ……よろしくお願いいたしますっ……!」


 王族と挨拶するなんて何気に初めてだからか、無駄に緊張感してしまう。

 いや、本当なんで今挨拶してんのかな!? というか、ルイの挨拶ちょっと太々しいな!?

 でも、レナ妃殿下は気にした様子もなく、にっこり。その笑顔は本当に〝のほほ〜んっ〟としていて、ちょっと緊張が解れた気がした。


「うふふっ。やっとご挨拶できましたわ」

「そう」

「えぇ。本当はもっと早くご挨拶したかったのだけどね? グラ様ったらシェリー達の尻拭いで手一杯で。〝これ以上、胃痛の原因を増やさないで欲しいなぁ〜……〟なんて言われていたから、今頃になってしまったの」


 おぉう……。

 殿下への同情ポイントがドンドン貯まっていーー……。


「アリエス。同情でも、他の男に気持ちを向けちゃ駄目」

「むぎゅ」


 唇を指先で摘まれて、変な声が出る。

 至近距離で向けられる真紅の瞳。ハイライトの消えた濁った瞳に、ヤンデレスイッチが入ったのが分かった。


「同情だろうがなんだろうが……アリエスの気持ちを向けられてる奴を殺したくなっちゃうだろう? だから、アリエス。ボクのことだけしか考えちゃ駄目……だよ?」


 ーーにっこり。

 笑っているのに目が笑っていないルイ君に見つめられて、私は〝こくんっ〟と頷く。

 それを見て満足そうに頷くルイ君。

 唇から指が離されると同時に、私はむぎゅっと彼の首に腕を回した。


「ごめんね、ルイ君。私にはルイ君だけだよ」

「知ってる。ボクこそ心が狭くてごめんね?」

「そんだけ愛されてる証拠だから、許す」

「ありがと」


 互いにむぎゅむぎゅと抱き締め合うと、妃殿下は「あらまぁ……お噂通りですのねぇ」と微笑ましそうな顔で呟く。

 噂がなんなのか気にならなくもない。




 だけど、そんなのどうでもいっかなって思っちゃうぐらい……今の私の頭は、ルイ君のことしか考えていなかった。











詰襟タイプの軍服にハーフパームグローブって萌えるよね。

いや、普通に制服タイプの騎士服にグローブもいいんだけど。

オープンフィンガーグローブのとか、カットアウトグローブも捨て難い。

まぁ、どのグローブも魅力的ってことだよね!(*´ω`*)

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