第28話 軍部についての説明会☆
タイトル通りです。
話の進みが遅くてごめんね!
まぁ、今後とも気長〜にお付き合いくださいませ!
それでは、寒い日が続きますが皆様も体調に気をつけて!
今後とも〜よろしくどうぞっ☆
軍部の廊下を歩き進み(とか言いながら、私はルイ君に抱っこされてるんですが)ながら、ルイン様が軽く軍部の説明をしてくれた。
軍部は総帥さんをトップに将軍さんが二人、その下に五つの大部隊(+特殊部隊)…更に小部隊に分かれているらしい。
第一、第二が実働隊。
第三が参謀。
第四が諜報、情報系。
第五が後方支援(という名の事務科)。
そして……ルイン様の特殊部隊(遊撃部隊のようなもの?)。
基本的な仕事内容は、国家防衛がメインらしいけど……それぞれの部隊ごとに専門の仕事があったり、王都の巡回とか一般市民に寄り添った仕事内容も多めなんだって。
(※近衛騎士団は王族の護衛、精霊術師団は精霊関連の仕事。後は近衛騎士団と軍部のサポートなどなど)。
…………うん。乙女ゲーム特有のご都合主義感満載だね。
「ちなみに、ボクは第一部隊所属だよ」
「えぅ? ルイン様といっしょじゃないの?」
「アリエス。ルイが俺の家に居候してるのは、常識を身につけるため……人の生活を学ぶためだよ。俺の特殊部隊は本当に特殊だし、とても特殊だし、少数精鋭だからね。俺のところじゃ常識を学べないんだ」
あぁ……なるほど。
ルイン様の下に所属するよりも、他の人達が所属する部隊に所属した方が色々と学べるもんね。
というか……ルイン様、自分じゃ常識を教えられないって分かってるんですか……。
二度、特殊を繰り返すってことは……ルイン様の部隊は常識外れなんですね……はい……。
「でも、アリエスのことがあるなら……俺の部隊に移った方がいいかな……また昨日みたいに抜け出すことがあったら、第一部隊に迷惑をかけるし……」
「ボクはこのままでもいいけど?」
「邪神の力を持つルイを第一部隊に置いとくのが心配なんだよ。アリエス関連で暴走したら、巻き込んでしまう可能性があるだろう?」
「………まぁ、それはそうかも」
「それに、俺の部隊ならアリエスを連れて来ても問題ないよ」
「なら、兄様の部隊に移動する」
「分かった。後で話つけとくね」
即答ですやん、ルイ君。ルイン様も即受け入れてますやん。
というか……ある意味、私が原因で部隊移動になっちゃってませんか?
許されるの? それ?
「許されるよ。だってエクリュ侯爵家だからね」
サラッと心の声を読んだルイ君はにっこりと笑い、ルイン様も「そうだね」と同意する。
魔法の言葉(そのに)。エクリュ侯爵家というだけで許されるという現実よ。
…………エクリュ侯爵家って、一体なんなんだ……。
……とか言いつつ、知ったら知ったで後戻りできなくなりそうで怖い……。
私はなんとも言えない気分になる。
なんかこのままこの話を続けてたら、精神がガリガリ削られてきそうだから……急だろうけど、話を変えることにした。
「…………ところで。今、どこにむかってるの?」
「どこって……訓練場かな。今週はボクが所属してる小部隊は、戦闘訓練だから」
「う?」
「第一、第二は実働隊だって兄様に教えてもらったでしょう? 国防、国同士の小競り合いが起きた時とか魔物が出た時とか現場に行くのがボクらなんだけど……普段は何もないからね。所属人数が多いのもあって、勤務内容をローテーションしてるんだよ」
「ろーてーしょん?」
「そう。王都の巡回をやる小部隊、戦闘訓練を行う小部隊、実地調査を行う小部隊……とかね。まぁ、あくまでもボクのところはそうだってだけだから、他の大部隊がどうなのかは知らないけど」
ほうほう……。
乙女ゲーム特有のふわっとした感じかと思ってたら、ちゃんとしてるんだ。
いや、それもそうか。乙女ゲームの世界っぽいとはいえ……ここは現実だもんね。
「って……話してたら着いたね」
訓練場っていうのは、裏庭(?)みたいな場所にあるからか……建物を上下移動することなく到着した。
ガンガンッと鈍い音をたてながら、片手剣を持って模擬戦をする人達。
大部分が男の人ばかりだけど、女の人もチラホラいるんだね。
…………。
……………うん。
取り敢えず、ルイ君が一番軍服似合ってる気がする。
「……ん? 全員、訓練一時中止! エクリュ特務に敬礼!」
『ハッ!』
「うにゃっ!?」
訓練場の入り口に立った私達に気づいた、見た目普通系の茶髪の男性が、いきなり号令を出す。
すると、その場にいた軍人さん達が一斉に揃って敬礼をした。
あまりの声の大きさに驚いて、思わずルイ君に勢いよく抱きついちゃったよ……。
「挨拶なんていらないんだけどね……訓練を続けてくれていいよ」
「はい。各自、訓練に戻れ!」
『ハッ!』
男の人の指示で、軍人さん達は訓練に戻る。
おぉう……凄い体育会系……。
感心した気持ちで見ていたら……さっきの号令した男の人が、こっちに歩み寄って来た。
「エクリュ二等兵」
「はい」
「………お前が遅れてやって来るのは事前に部隊長に聞いていたが……その少女はなんだ?」
「アリエスですね」
「…………」
ヒョォォォォ……。
なんか冷たい風が吹いた気がしたよ。
うん。この人、そういうのを聞きたかったんじゃないと思うよ。
「……今日一日、軍部を見学するんだって。勿論、陛下の許可を得ているよ。はい、これ許可証」
固まった男の人に、ルイン様が苦笑を零しながら説明をする。
ついでに。いつの間にかもらっていたらしい許可証も渡してくれる。
それを確認した男の人は驚いたように目を見開くが……「王命ならば仕方ないな」と許可証を懐にしまう。
そして、私を真っ直ぐに見てきた。
「わたしは第一部隊の副部隊長を務めているキーン・ケルという。よろしく頼む」
「あっ……ごていねーな挨拶、ありがとうございます。アリエスです。よろしくおねがいします」
「…………」
「……あの……?」
「あ……す、すまない。わたしにも君と同い年くらいの息子がいるんだが……こんなにも大人びた挨拶はできないからな。驚いてしまったんだ。アリエス嬢は優秀なのだな」
キーンさんは純粋に褒めてくれているらしい。
……あはは……まぁ、中身は大人だからね……これぐらいは……。
「とにかく……見学ということだったが、それは軍部全体の業務なのか、《黒水晶宮》の見学ということだろうか? それとも戦闘訓練だけか? 訓練とはいえ、時には怪我をして血を流すことがあるからな……あまり、子供に見せるモノではないと思うのだが……だからと言って、軍事機密などがあるから軍部業務の見学なども楽しいかと聞かれたら微妙としか答えられないし、建物も特段何かがある訳ではないんだがな……」
心配そうな顔をしながら、キーンさんは聞いてくる。
………えっ。めっちゃ配慮ができる人ですね……。
うーん……どうしようかな……?
「ちなみに。ルイは現時点から業務開始になるから、他のところを見学するなら、俺が案内することになるよ」
「えっ!? やです!」
ガシリッ!
ルイン様の言葉に、条件反射で抱きついた。
だって……軍部の見学ってルイ君も一緒だと思ってたもん。
一緒にいられないなら、行きたくない。
というか、昨日の今日で離れるとか……無理!
離れるもんかという気持ちでぎゅうっと抱き締めていたら……ルイ君が悶絶するように唸りながら、私を抱き締め返してくれた。
「…………アリエスが可愛い……!」
『っ……!?』
ーーざわりっ!?
ルイ君の蕩けるような笑顔に、何故か(ルイン様除く)周りが騒然とした。
………な、何!?
全員、動きが止まって……顎が外れんばかりに口が開いてるよ!?
「………ふふっ。まぁ、とにかく。アリエスのことは俺に任せて、ルイは頑張っておいでよ。格好いいところ見せる、良い機会だよ」
「うん。兄様、アリエスを抱っこしないでね? 触らないでね?」
「分かってるよ」
ルイ君は訓練場の隅にあるベンチ(多分、休憩用かな?)の上に私を座らせると、額にチュッとキスを落とす。
そして、にっこりと笑って宣言した。
「アリエス。ボク、頑張るから……見ててね」
「うん。がんばってね、ルイ君」
「勿論」
ルイ君はご機嫌そうな様子を隠さずに、訓練場に躍り出る。
…………それを見たキーンさんは、何故か顔色が悪くなっていた。
(…………何故だろう……今日のエクリュ二等兵を見てると……とても、嫌な予感がする……)
キーンさんの嫌な予感は当たるのか……!?
次回に続く☆




