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更新遅れて申し訳ありませんでした。
変態が多く出没いたします。
「あら、ごめんなさい。私、今日は少しだけ体調が悪いみたい……話し合いはまた今度。では!」
逃げる。超逃げる。
あの場において残っていてよいことなどひとつもない。
逃げるが勝ちともいうし。
「あぁ、ちょっと待ってぇ!せめて一言だけでもっ!!」
「お姉様ったら、恥ずかしがり屋さんなんですから!…スーハースーハーはぁはぁ……お姉様の残り香が……」
「おい、逃げるな!しょうがないやつだ、俺に追いかけて欲しいんだな……。よし、待ってろ!!」
3人くらいから不気味な発言が聞こえた気がするが無視である。
ダッシュ、超ダッシュ。私は風になります。
幸運なことに、私が逃げ出した直後くらいからギャラリーが増えだしたのであの3人は足止めをくらっている。
この分だと追いつかれずに済むだろう。
……まぁ、同じ家に住んでいるランは別だが。
幸い常識人であるアスターお兄さまがいる。ランも少しは控えることだろう。
私が脇目もふらず超ダッシュしていると、やっとの思いで馬車についた、これでひとまずは安心だ。
だが相手は変態。どんな手段にでるかは常人の知るところではない。
まだ気を緩めてはいけないと、私の頭の中では未だ警報がガンガンとなり続けている。
「出してください!」
「えっダリアお嬢様!?いや、でもまだランお嬢様が…」
「いいから出してくださいぃぃ!」
「はっはいぃぃ!」
ようやく馬車が出発すると後ろから聞き覚えのある声のが3人分聞こえた。
「あぁ、そんなっ!明日会えるまで我慢しろっていうの!?せめて一言ぉ………はっこれも焦らしプレイの一環なのね。ダリア・ルピナス、中々やるわ…」
「あぁん、お姉様ぁ!!!ふふっそんなに屋敷で二人っきりになりたいのでしたらゆっくーりお待ちになっていてください。私もすぐに行きますからー!………はっ今日はアス兄がいるんだった…」
「おい、馬車はズルいだろ!流石の俺でも追いつけないぞ!?………はっもしかしてこれはリアから私への直々の屋敷へのお誘いなのだろうか…」
私は全て聞かなかったことにした。
……というか御者とのさっきの流れ今朝もやった気がする。
急な私のお願いにも臨機応変に対応出来るこの御者は優秀だな…いつかお友達になりたい。
▹▸▹▸▹▸
「ただいま帰りました、アスターお兄さま。」
「んー?あぁおかえりなさい、リア。」
柔和な笑みを浮かべ、貴族だというのにわざわざ私を玄関まで迎えに来てくれたこの方はアスター・ルピナス。
私たちのお兄さまであり、現在ルピナス公爵の名を受け継いだ人だ。
濡れ羽色の髪と瑠璃色の瞳は先代ルピナス公爵であるオダマキ・ルピナスと同じではあるが、与える印象は全くの別物である。
オダマキ・ルピナスにより掻き立てる感情が嫌悪感や不快感だとしたら、アスターお兄さまが私たちに与えてくれるのは安心感や確かな信頼だろう。
「この頃は沢山のことが一気に押し寄せて、リアも疲れているだろう?今日はもうお休みなさい。夕食の時間になったら呼ぶからね。じゃあフクシア、よろしく頼むよ。」
「はい、承りました。」
「ありがとうございます…アスターお兄さまも大変なのに、すみません。」
「そんなことないよ、リアが1番大変なのは私も知ってる。あぁ、そうだ。ランにも今日は大人しくするよう言っておくから、こっちのことは気にしないように。」
お兄さまの気遣いに感動で涙ぐみそうになったがぐっとこらえ、フクシアと一緒に部屋へ向かう。
「おかえりなさいませ、お嬢様。……大分お疲れのご様子ですね。今ハーブティーをお持ちします。」
フクシア……シアは私の専属メイドで、先々代ルピナス公爵、つまり私の両親の頃から仕えてくれており事情も知っている、私にとって現状最も信用の置ける人物だ。
濃紺の髪に檸檬色の瞳をもっており、確か歳は私の10歳以上も上なのだがその美しさは衰えることを知らない。
そして怒ると怖い。とても怖い。美人なので迫力が6割増しなのだ。
私が以前シアに怒られた時のことを思い出し、身震いしている間にシアはハーブティーを持って戻ってきた。
流石だ、仕事がはやい。
ハーブティーを飲むと、自分でも気づいていなかった疲れも溜まっていたのか私はすぐに寝てしまったのだった。
▹▸▹▸▹▸
「たっだいまー!!お姉様ー?ランが帰りましたよー!お姉様ーー!?」
「こら、ラン。淑女がそんな大きな声を出したらはしたないだろう?」
「あ、アス兄だ!ただいま!」
「はい、おかえり。今日も学園でリアを追いかけ回してたのかい?」
「その言い方だと少し人聞きが悪いですが…まぁそうとも言いますね!」
「そうか……今日はリアも相当疲れているみたいだからもうダメだよ?大声も禁止。」
「えーーー。」
「リアの為なんだから、言うことききなさい。……それに、今日は私も我慢したんだよ。」
「もぉ、アス兄ったらはやくお姉様と結婚してくださいよ!そうすればお姉様は一生私たちと一緒なんですから!!」
「簡単に言ってくれるなぁ。物事にはね、タイミングってものがあるんだから。…まぁ逃がすつもりは毛頭ないよ。」
「うへへ、兄の嫁って響きなんかいいですよね。背徳感というか…うへへへへ」
「……はぁ。いつからこの子はこんな変態になってしまったのだろう。」
最後までお読みいただきありがとうございました。
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