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【完結】双剣のルード ~剣聖と大賢者の孫は俊傑な優男だが世間知らずのいなかもの~  作者: 普門院 ひかる
第14章 恋に落ちて

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第120話 庭の自然(1)

 コンスタンツェの興奮冷めやらぬうちに、ルードヴィヒは彼女を庭に案内した。


 コンスタンツェは、第一声を、こう漏らした。


「わあっ……あの木は凄いわ。こんなに大きな木は初めて見ます」

「そうだのぅ。たぶんアウクトブルグの町じゃあ一番でっこい木だろぅて」


「この木は、屋敷が建つ前からここに?」

「こん大きさからして、おそらく、そうだろうのぅ。そんで、この屋敷の庭に面した部屋からは、どの部屋からもこの木が見えるようになっとるがんに」


「あの木の種類は何なの?」

「トネリコの木んがぁよ」


「なるほど、それであんなに大きく……」


 コンスタンツェは、世界樹(ユグドラシル)がトネリコの木だという伝承を知っているようだ。


「そらぁともかく、奥の方まで行ってみるけぇ」

「それは、ぜひ」


 そこへ、背の低いお婆さんがやってきた。土精霊ノーミドのフェルセンである。


「これはこれは大公女様。手入れの行き届いていない庭ですが、どうぞゆるりと見ていってください」


「この方は?」

庭師長(オーバーギャートナー)のフェルセン婆ちゃんだっちゃ」


「まあ。女性の方が庭師長(オーバーギャートナー)とは、たいへんじゃあありませんか?」

「いや。優秀な庭師や助っ人もたくさんいるのでね。私は、そいつらをこき使っているだけさ」


「それは、ちゃんと言うことを聞かせられるというのも、たいしたものですわ」

「いや。単に年寄りの我がままを聞いてくれるいい連中っていうだけさ」


 フェルセンと別れ、小川に沿って、少し歩く。


「庭に小川が流れているなんて素敵ね。それに川の水がとっても綺麗だわ」

「この庭にはちょっとした泉が()いとって、そっから小川が流れているがぁよ」


 コンスタンツェは、熱心に小川を観察している。

 ルードヴィヒが説明した。


「よく見ると、キラキラ魚の形で光っとるがぁが見えるろぅ」

「……あっ。それは確かに……あれは魚なの?」


「おぅ。ここは水がきれいだすけ。ヤマメやアブラハヤなんかが自然に繁殖してるがぁよ」


「正餐のスパゲッティに入っていた魚とは違うの?」

「サクラマスは池にしかおらんすけ」


「メイドさんは、どうやって()ったのかしら?」

「さあのぅ。釣ったか、網で獲ったかしたがぁろぅ」


「そんないい加減なぁ」

「そらぁ聞いてみんばわからんすけ。そんだども、ちっこい魚なら簡単に釣れるがぁだすけ、大公女様も釣ってみるけぇ?」


「ええっ! 私みたいな素人(しろうと)が本当に釣れるの?」

「おぅ。ちっこい奴なら簡単に釣れるすけ、なじらね(どうですか)?」


「それなら、やってみようかしら」

「そんだば、そうするけぇ。だども、まちっと夕方んならんと釣れねぇすけ、それまでどっかで時間をつぶさんばのぅ」


「魚にも釣れる時間というのがあるの?」

「魚も食いのええ時間っちぅんがあるがぁに。夕暮れ時の薄闇の時間を”夕まずめ”っちぅて良く釣れる時間ながぁだすけ」

お読みいただきありがとうございます。


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