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【完結】双剣のルード ~剣聖と大賢者の孫は俊傑な優男だが世間知らずのいなかもの~  作者: 普門院 ひかる
第14章 恋に落ちて

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第104話 ドロテーの来訪(1)

 そして、翌日……。

 ドロテーは、ローゼンクランツ新宅を訪れた。


 ルードヴィヒの部屋へ通されると、ドロテーは、いきなり言った


「あんた、長ズボンなんか()いちゃって、鬱陶(うっとう)しいじゃない」

「はぁっ? おらの年頃は、皆そうだすけ。夏用の部屋着なら別だがのう」


「だったら、それを履きなさいよ」

「いやぁ、夏服はまだ出してねぇすけ」


「じゃあ、今すぐズボンの(すそ)をまくりなさいよ」


(何か、意味がわからんのう……だが、まあええか……)


 ルードヴィヒは、やおらズボンの裾をまくりあげ始めた


 すると……。


「Σ(゜∀゜ノ)ノキャーッ。何それ! 毛が生えてるじゃないのよ」

「はあっ? 何言っとるんでぇ。おらの年頃ならあたりめぇでねぇけぇ」

「と、とにかく、その(おぞ)ましいものをしまいなさいよ!」


(”悍ましい”たぁ失敬な……そんだども、全く意味がわからん……)


 ルードヴィヒは、仕方なく、まくりあげ始めていたズボンの裾をもとに戻した。


「まったく、足を見せろだの、隠せだの意味がわからんがぁども?」

「あんたが悪いのよ。そんな艶々(つやつや)な顔をしていたら、足もツルツルだと思っちゃうじゃない」


「ツルツルの足がどうかしたんけぇ?」

「あなたは、知る必要はないわよ」


「はあっ? まあ、ええども……」


 トン、トン


 そこで、部屋のドアがノックされた。


「おぅ。入れや」


 扉が開き入ってきた者を見て、ドロテーの瞳孔は、見事に見開かれた。


\(◎o◎)/!


 入ってきたのは、12歳のエリアスであった。今日はユリアが非番のため、彼が代わりにお茶を持ってきたのだ。


 エリアスは、庭師見習い・ハウスボーイ・従僕(フットマン)であり、半ズボンを常用している。

 その足はストッキングを履いておらず、素足であり、全く毛の生えていないツルツルであった。


 加えて、ヴィムの弟であるので、兄と同様のハンサムだった。


(キャァァァッ! 何なのこの子は? ドストライクにも程がある……)


「失礼いたします。お茶とお茶菓子をお持ちしました」

「おぅ。ご苦労さん」


 エリアスは慣れない仕事に、ちょっと緊張気味にたどたどしく給仕をした。

 ドロテーは、それもまた少年らしくて、好感が持ててしまう。


 そして、彼女は思いついてしまった。


(ラファエル様は高嶺(たかね)の花だけれど、この子なら、ここへ来ればいつでも()えるじゃない!)


 ドロテーは、満を持して、エリアスに話しかけてみた。


「君。若いのに感心ねえ」

「いえ。慣れていないものですから、お見苦しいところをお見せしました」


「そんなことはないわ。一生懸命な姿を不快に思ったりしないわよ」

「ありがとうございます。優しいお方なのですね」


「そ、そんなことはないわ……」


 ドロテーは、思わぬ誉め言葉に動揺し、ときめいてしまう。


「えっと……旦那様(ヘル マスター)のお姉さまのドロテー様ですよね。旦那様(ヘル マスター)も、とても優しくしてくれるのですが、やっぱり姉弟というのは、似るものなのですね」

「ほっほっほっ……そうかしらね……」


「ええ。そうですよ……僕、憧れちゃうなぁ……」


\_ ドキュンヽ(´゜ω゜ヽ` )!o〇O(カワイイ・・・!)


 その瞬間、ドロテーのハートは見事に撃沈された。


「そ、そうかしら……ところで、君。名前は?」

「これは失礼いたしました。僕、エリアス・テンツラーといいます。この屋敷で、庭師見習い兼ハウスボーイ兼従僕(フットマン)をしています」


(なるほど……それで半ズボンなのね……)


「そうなのね。これから、この家にはちょくちょく寄らせてもらうと思うから、よろしくね」

「かしこまりました。お嬢様(ヘル フロイライン)


「まあ……お嬢様(ヘル フロイライン)なんて、水臭いわ。”ドロテー姉さん”って、呼んでくれないかしら」

「承知いたしました。ドロテー姉さん」


「そうよ。よくできました」

「(*´σ-`)エヘヘ。恐れ入ります。では、姉弟のお話の邪魔をしてはいけませんので、僕はこれにて失礼いたします」


「そう……お仕事頑張ってね」

「はいっ! ありがとうございます」

 というと、エリアスは、一礼して退出していった。


(ああっ……行ってしまった……)


 ドロテーは、悲嘆にくれた感情を隠しきれない。


 一連の様子を見ていたルードヴィヒは、いかに鈍いとはいえ、気づいてしまった。


「おめぇさん。そういう趣味だったんけぇ。どうりで足を見せろとか、変だと思ったがぁてぇ」

「さ、さあ……何のことでしょう……」


「まあ、ええさ。人それぞれだすけ……」

「そんなことはどうでもいいのよ。

 ところで、私、大公女様にチケットをもらって、少年合唱団のコンサートへ行ったのだけれど…………」


 話は、合唱団のコンサート、特にラファエルの話に及び、ドロテーは、恍惚(こうこつ)の表情をしている。


「ラファエルっちぁエルレンマイヤー司祭の養子だろ。もともと孤児だったども、優秀だすけ養子にしたみてぇだのぅ」

「えっ! 何であんたが、そんなことを知っているのよ」


「何でって……おらぁエルレンマイヤー先生の教え子だすけ」

「ええっ! そうだったの。だったら、先生にお願いしてラファエル様に会わせてよ」


「ええっ! そう言われてものう……最近は先生とは会っとらんし……」

「そこを曲げてお願いよ。従姉(いとこ)で形式的な姉の頼みなのよ。弟としては全身全霊をもって聞くべきよ」


「そっけな強引なぁ……んだども、エルレンマイヤー先生にも久しぶりに会ってみてえすけ、こかぁちっとばかし一肌脱ぐことにすっかのぅ」

「ああ。ありがとう……」


「そんだば、今度の日曜日。教会の奉仕活動に来てくれるけぇ。そこで先生に会えると思うすけ」

「わかった。必ず行くわ」


「そんだば、そういうこって」


 そして、話題は大公女コンスタンツェのことになり、ドロテーは、合唱団を紹介してくれた大恩人で、弱者救済や障碍者の弟を世話する聖母のような人だと、彼女のことをひとしきり()めちぎったあと、あっさりと帰っていった。


(まぁた大公女様を褒めとったが……この間のペッツといい……どういうこった……?)

お読みいただきありがとうございます。


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