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【完結】双剣のルード ~剣聖と大賢者の孫は俊傑な優男だが世間知らずのいなかもの~  作者: 普門院 ひかる
第11章 リーゼロッテの長い一日

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第72話 新宅の庭(2)

「そんだば、行くけぇ」

「はいっ」

 と元気に返事をすると、リーゼロッテは、ルードヴィヒの左手にすがりついた。


(あっ! またやっちゃった。なんだか、だんだん習慣づけられてきたような……なんて、相・思・相・愛……みたいな?(*˘︶˘*).:*♡)


 ルードヴィヒは、それを気にするでもなく、なすがままにして歩き出した。


 挿絵(By みてみん)


 少し歩いたところに、ちょっとした小川が流れている。

 二人の影を見つけて、小動物がカサコソという音をたてて逃げていった。


「あれっ! いま何か小さい動物がいましたよ」

「おぅ。あらぁシマリスだのぅ。おおかた小川の水を飲みにきとったがぁろぅ」


「へえー。ここに()んでいるんですか?」

「おぅ。ずっと放置されてたすけ、他にも鳥だの、ウサギだの棲んどるのぅ。さすがに(たぬき)は逃げていっちまったども」


「シマリス君、近くで見たかったなあ」

「奴は普段は木の(たけ)ぇとこにいるし、警戒心が(つえ)ぇすけ、ちっとばかし難しいのぅ」


「ええーっ。それは残念」

「ウサギなら、まちっと(そば)で見られると思うども」


「えっ! 本当ですか?」

「おぅ。見に行ってみるけぇ」


「はいっ。ぜひお願いします」


 小川に沿って、少し歩く。小川には、清流にしか繁殖しない水草が生えており、それが水質の良さを示している。


「庭に小川が流れているなんて素敵ですね。それに川の水がとっても綺麗です」

「この庭にはちょっとした泉が()いとって、そこから小川が流れているがぁよ。さっきの紅茶も泉の水で入れたがぁだすけ」


「なるほど。それも美味しさの秘密だったんですね」

「まあのぅ」


 リーゼロッテは、熱心に小川を観察している。


「いいなあ……あっ。今、小さなお魚さんがいましたよ」

「ああ。ここは水がきれいだすけ。ヤマメやアブラハヤなんかが自然に繁殖してるがぁよ。石の下には沢蟹(さわがに)もいるしのぅ」


「なんだか、どこかの山奥みたいですね」

「確かにそうだのぅ。おらもここがアウクトブルグと思えねぇときがあるっちゃ」


「カワニナも棲んどるみてぇだすけ、夏になったら(ほたる)が見れるかもしれんのう」

「きゃぁ、素敵です。もし見れたら、ぜひ私も呼んでくださいね」


「そらぁ、もちろんだとも」


 そして、少し開けている草地に来た。

 ルードヴィヒは、木の陰に隠れると、ある場所を指差して小声で言った。


「あの(あた)りにウサギの巣があるがぁよ。静かにしとれば、そんうち出てくるすけ」

「はい。わかりました」とリーゼロッテもその気になって小声で返事をした。


 程なくして、巣穴から、真っ白なウサギが姿を現わした、続いて白黒ブチのウサギがもう一体……。

 周辺を警戒して、キョロキョロしている。


(きゃぁぁぁっ。可愛いぃ!)


 リーゼロッテは、感動の声が上げたいが、我慢しているため、その場でジタバタしていた。

 その様子が妙に可愛くて、ルードヴィヒ思わず微笑(ほほえ)んだ。


 だが、二人の気配を察したのか、二匹は直ぐに巣穴に逃げ込んでしまった。


「ああ。残念……」とリーゼロッテは、実感のこもった声で言った。

「奴らは野生化しとるからのぅ。ペットのウサギみてぇにぁいかねぇすけ」


「抱っこしてみたいんですけど、無理でしょうか?」

「なかなか人には慣れねぇろぅのぅ」


「巣穴を掘っちゃったりしてますけど、追い出したりはしないんですよね?」

「まあ、奴らがいると適度に雑草を食ってくれるすけ、当分の間は、放置すっかのぅ」


「そうですよ。追い出したら可哀そうです」

「そんだば、そうするけぇ」

お読みいただきありがとうございます。


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