第62話 陰陽の法則(2)
(そういやぁ、前にサマエルにも似たようなことを言われたのぅ……まあ、そらぁいずれ……Es kommt wie Es kommt……(なるようになるさ……))
「とりあえず、欲しいものはわかったども、おめぇ意味がわかって言っとるんけぇ」
「肯定……我は失敗しない女……凝結体の摂取方法は……ルークスと娼婦たちから学習した……後は……じ、じ、実践により検証するのみ……」
あのダルクが緊張している。やはり初体験で怖いのだろうか?
「摂取だの言うども、本当に自分のやることがわかっとるんけぇ」
「凝結体は……我の肉体を通じて摂取しないと……意味がない……」
ルードヴィヒは、具体的な場面を想像すると、恥ずかしくなってきた。
「しっかし、おめぇ、摂取ってどっから?」
「我は……主様の分身体を望むが……今は……その時ではない……故に……本来の摂取器官は使わない……」
それを聞いて、ルードヴィヒは、少しだけ安心した。
「そらぁ、その方がええと思うども……そんだば、具体的にどうするがぁ」
「とりあえず……初心者は××からと……ルークスに勧められた……そのための練習もしてきた……」
(練習って、そらぁ……ルークスの奴、なにダルクに吹きこんどるんでぇ! が、それを真に受けて練習したダルクも健気っちぁ健気だのぅ……)
「そんだば、見せてもらおうか、練習の成果とやらを……」
「Zu Befehl mein Gebieter」(おおせのままに。我が主様)」
「おめぇ、それをどこで覚えた」
「ルディが教えてくれた……カッコいいので……気に入っている……」
(ルディの奴まで、何やってくれとるんでぇ……)
そして……。
最初はたどたどしかったものの、コツを掴むとだんだん慣れてきて、無事に摂取処理は完了した。
ダルクは、摂取の際に零れ出たゾル状物質を指にとると、飽きもせず、興味深そうに眺めている。
「これで満足したけぇ?」
「ヌシサマンチュウム……充填完了……充填率……1,200%……」
(また、訳のわからねぇことを……)
「1,200%って、そらぁ多すぎでねぇけぇ?」
「否定……これでは……この惑星の衛星すら破壊できない……」
ルードヴィヒは、この惑星の衛星を思い浮かべた。実は、この惑星には月が大小二つあり、それぞれが歪んだ形をしているのだが、よく見ると歪みの部分が相似形をしている。
おそらくは、古の過去において、何者かが惑星を真っ二つに割ったのだ。その力たるや想像を絶する。
「っつうて、破壊する必要もねぇろぅ!」
「否定……異界の威嚇的な力の化身との戦闘を想定すると……これでは圧倒的に不充分……」
「すっけなことが現実に起きるんがぁけぇ?」
「それも……主様自身の小宇宙に問うべき問題……我が答えるべきではない……」
(また、それけぇ……鬱陶しいのぅ……)
「そもそも、神気ちぅもんを溜めておめぇらは使えるがぁ?」
「我ら程度の存在では……神気の使用は不可……魔力に変換して使う……だが、我らの変換率は80%程度……闇の精霊王は90%以上変換できる……いずれにしても変換ロスの発生も考慮して充填すべき……」
「そりだとしても、おらはすっけ多く補充する必要はねぇと思うがのぅ」
「最初に言ったように……光と闇は……均衡を保つべき……ルークスの充填率は、我よりも10桁多い……」
「はあっ! すっけにけぇ!」
(そんだけ年季が入っているちぅことけぇ。我ながらいっぺぇ出したもんだのぅ)
「故に……均衡が回復するまで……当分は……我が優先的に処理する……」
「はあっ……わかったっちゃ」
そして……
「では明日……Ich komme wieder(I'll be back:また来る)……」
……と言うなり、ダルクの姿はかき消えた。
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