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どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
開拓期編

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62 神事

 計、十四匹の子猪を捕まえた。


 捕まえたはいいが、こいつらのエサをどうしようか? 


「残飯でも与えておけばよいのでは?」


「残飯、出るのか?」


 返事はなかった。


 まだ残飯が出るほど作物は育ってないし、これまでひもじい思いをしてきたベイガー族が残飯を出すとも思えない。余分なものはないだろうよ。


「……魚粉が欲しいところなんだがな……」


 漁は始めているようだが、まだ食料以外に回せるほどにはなっていない。湾の外は波が高くなって小舟だとキツいそうだ。


「でしたら、ロボノスを食わせればよろしいかと」


 ロボノス? なんじゃそりゃ?


 よくよく聞き、形を地面に描いてもらったらドングリのようだった。


 そう言えば、豚にドングリを食わせるって話、聞いたことがある。なんの豚だっけ?


「そのロボノスはどこで採れるんだ?」


「村の周りで採れます」


 意外と近くにありました!


 ベイガー族の男に案内してもらう必要もなく、村と森との境にロボノスがたくさん生っていた。


 ……意識しないと見えるものも見えないんだな……。


 農業村に余分な人手はないので、巫女たちにロボノスを集めさせた。


「結構あるものだな」


 一日で樽二つ分も集まってしまった。


 そのロボノスを子猪に与えると、凄い勢いで食ったそうだ。ちなみにオレやチェルシーがいると怯えるので、ギギやレブから聞きました。


「でも、あれだけでは明日にはなくなりますね」


 飼うとはそう言うこと。とはわかっているが、二日で樽二つなくなるなら成長したら一匹樽一つになるかもしれないな~。


 他にもロボノスがないかを農業村の周りを探してみた。


「いっぱい生ってるね」


 そう、いっぱい生ってた。だが、集めるとなると大変な作業となる。農業村の数で集めるのは無理だろうよ。


「さて。どうしたらよいのやら」


 しばらくは農業村に生っているので乗り切れるだろうが、これからもっと村を広げていかなくちゃならない。必ず伐採する。そうなる前にエサ確保をしておかなくちゃならない。あー考えれば考えるほど負のスパイラルに落ちていきそうだぜ……。


「まずは数を制限して飼うしかないか~」


 メスを四匹、オス一匹にして飼育する技術を学ばせることにしよう。


「レオ様。猪がいるよ」


 またか。ロボノスの群生地なんだろうが、それでも多い。今年はロボノスの豊作の年なんだろうか?


「レブ。デカければコルモアに運ぶぞ」


 コルモアでも家畜はいるが、人が千人以上いる。とても賄える数ではない。だから肉は貴重なのだ。


「はい。チェルシーやるよ」


 感じた方向に向かうと、手頃なサイズの猪が三匹もいた。


 二匹は雷で麻痺させ、一匹はチェルシーと分けあって美味しくいただいた。


「レオ様。また猪が」


 これはロボノスが豊作だからじゃないな。


「猪以外になにか感じるか?」


「ううん。猪以外は感じない」


 レブの感知範囲は一キロから二キロ。サイズは軽トラ以上でないとわからない。ってことは、かなり遠い場所から流れてきたってことだろう。


「どこかでSS級のモンスターが住み着いたのかもしれんな」


 バルバのときもそうだったし、以前倒したS級のモンスターを思い出すと、今のような状況に酷似している。猪たちはSS級のモンスターに追い出されたんだろう。


「逃げ出さないよう狩ってコルモアに持っていくとするか」


 オレもチェルシーも収穫の手伝いもできないので、猪を狩ってコルモアに運ぶこと繰り返した。


「いや、肉が食えるっていいですか!」


 コルモアの町は肉フェスティバルかと思うくらい広場に行く集まり、あちらこちらで肉を焼いて食っている。


 だが、人とは飽きるもので、五回も運ぶと活気はなくなり、焼いて食う者もいなくなった。


「まあ、燻製にでもしますので、またお願いしますよ」


 オレが拗ねてると思ったのか、セオルに慰められた。


 まあ、別に否定することでもないので猪運びを続けた。


 そんなことやっているうちに収穫も終わり、村の広場で収穫祭を執り行うことにした。


 ベイガー族に酒を振る舞い、乙事主級の猪の丸焼きにする。


「お前たち。やるぞ」


 宴もたけなわ。このときだろうと巫女たちに声をかけた。


 農業村の職人に縁台を作らせておいた。まあ、それほど広くはないが、踊りの上手い六人を舞いさせ、歌が上手い者に歌わせ、フエが上手い者に噴かせた。


 いずれ神事とする豊穣の祭りだ。


 やってみてわかるが、こう言う祭りが生まれ、代々受け継がれていくのがよくわかる。


 人に希望を見せ、心を一つにさせるには祭りは最良の手だ。ベイガー族も人間もゼルム族も巫女たちの舞いに目を奪われている。


 これなら他の町でやっても受け入れられるだろう。


 巫女たちの舞いも歌もフエの音もまだまだだが、見ているだけで楽しくなる。


 舞いが終わると、万雷の拍手が起こる。


 う~ん。この盛り上がり、祭りではなく陽気なカーニバルにしたほうがよかっただろうか?


 これはもう少し考えたほうがいいかもしれんな。


「レオガルド様、どうでした?」


 巫女たちがオレのところに集まり、できを訊いてきた。


「ああ、とっても上手かったぞ」


 謎触手で一人一人頭を撫でてやった。


「もっと練習してコルモアの町のヤツらにも見せてやろうな」


 はい! と、巫女たちの笑顔が眩しかった。


「さあ、お前たちも料理を食べてこい」


 舞いに緊張して食べれてなかったからな。


「わたしもやりたかったな~」


 見てるだけのレブがしょんぼりしていた。


 体力がないレブに舞いは無理と外したのだ。ちなみにギギはフエ担当でした。


 コルモアでやるときはレブも参加できる祭りを考えてやるか。 

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