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どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
黎明期編

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25 銃士隊

 ピンチはチャンスだ!


 と誰かが言った。


 まあ、それは状況によりけりだとは思うが、今のこの状況はそうだと言っていいだろう。


 これまで頑なだったフレンズな獣人が他種族に近づいてきた。そう。これはチャンスできっかけだ。逃す手はない。


「ゼル。銃士隊を連れていくぞ」


 ゼルム族に銃の扱いを覚えさせ、銃士隊を組織させた──のだが、まさかこんなに早く実戦投入させるとは思わなかった。この際、熟練度は問わないことにする。


「ゴゴールに見せつけるのか?」


「それもあるが、銃の有用性を知りたい」


 前世の記憶があるから銃の有用性は知っている。オレが知りたいのはゼルム族が銃を使うとどれだけの戦果があるのかを知りたいのだ。


「銃はさらに進化して主要武器となるかもしれない。それはセオルから聞いて理解しただろう?」


 銃の有用性を教えるなら人間たちの歴史を教えたほうが手っ取り早い。銃の歴史は戦争の歴史だからな。


「正直、理解し難いところはある。だが、強力なのは理解する」


「すべてを理解しろとは言わない。少しずつでもいいから理解していけ。それが経験であり学びだ」


 人間、ゼルム族を問わず見えないものを理解させるのは難しい。自分の目で見て、経験して、痛い目に合わなければ真に理解したとは言えないだろうからな。


「それと、ゴゴールをよく見て学べ。種族としての特性。文化。思考。生活。自分たちとの差をな」


 相手を理解できないから簡単に衝突するのだ。なるべく理解して諍いを少なくする。将来の治世を考えるなら今から理解させていくしかない。


「レオガルド様、人間は連れていないのか?」


「そうしたいが、物事には段階がある。まず、ゴゴール族にゼルム族を理解させる。お前だってオレや人間を理解するのに時間がかかっただろう?」


「今でも理解できているとは思わないがな」


「それでもオレや人間、ベイガー族との経験があるからゴゴールをそんなに敵視してないだろう?」


「……まあ、そうだな……」


「それが経験であり、学びであり、成長だ」


「……おれは、成長、したのだろうか……?」


「確実にしているよ。その証拠に考えられるようになっている。まあ、あまり考えすぎるとハゲるがな」


 ゼルム族でも頭がハゲるんだから可笑しなものだぜ。


「ハゲるのは困るな。妻に嫌われる」


 なんて冗談を言えるのだからゼルは急成長してるよ。


「ギギ。モドーにここの暮らしを見せてやれ。それと同じくらいゴゴールの暮らしを聞いておけ。この先のために」


 経験させ、学ばさせるのはギギも同じだ。ゼルを王として立ててはいるが、ギギは実質ナンバー2であり、すべての種族の纏め役だ。誰よりも理解してなくてはならいのだ。


「わかりました。わたしもいっぱい学びます!」


 ギギと離れるのは寂しいが、将来を考えたら他種族を学ばさせることは必至。理解しないままだと種族間戦争に巻き込まれそうだからな。


 用意に一日かけ、朝日が昇ると同時にレオノール村を出発した。


 ゼルが選び出した銃士隊は精鋭であり、他より身体能力が優れているため、時速六十キロくらいを維持したまま半日は駆けられた。


「いずれ軍隊は必要だが、種族に合った部隊を創ることも必要だな」


 昼の休憩時、ゼルに考えていたことを語った。教育の一環としてな。


 戦いは数だ。数が多いほうが勝つ、って考えではあるが、そこまでいくには百年は軽くかかるだろう。それまでは種族の特性を活かした部隊で対応するしかないだろうな。


「どうしてだ?」


「ゼルム族は機動力があって力も強いが、狭いところでは戦えないだろう。たとえば村の中とか木が密集したところとかな」


「確かに、狭いところでは戦い難いな」


「人間は狭いところでも動け、細かいことに優れている、この先、家が立ち並べば人間のほうが対処しやすい」


「そう、だな」


「逆にベイガー族は力が強いが、細かいことは不向きだ」


「それに大雑把だったな」


 ふふ。ちゃんと見ているようだ。


「ベイガー族には輸送を任せたり、穴を掘ったりする仕事をさせるのもいい」


「輸送はわかるが、穴を掘るのは何故だ?」


「穴を掘れば身を隠せたり、進撃を止めたりできる。お前が攻める側として、敵がそんなことしたらどう攻める? 土の壁を飛び越えたら穴がある。隠れたところから銃で撃たれる。そんな戦場でどう戦う?」


「……わからない。が、苦戦するのは想像ができる……」


「人間は弱いが考えて戦いをする種族だ。いろんな罠を仕掛けてくるだろう」


「レオガルド様が常に人間に学べと言っているのはそれでか?」


「そうだ。弱いからって侮ってはダメだ。弱いからこそ警戒しろ。この世には天敵がいることを肝に銘じておけ」


 オレも最強のようでレイギヌスと言う弱点がある。もしかすると他にもあるかもしれない。驕っていたらいつしか足元をすくわれるわ。


「……難しいものだな……」


「どんな世の中でも生きることは難しいものだ」


 食うか食われるの世界で安らぎを求めるのだ、難しいからと逃げていられない。この世界で生きることを選んだのだからな。


「そう悲観するな。生き物には難しいことに挑み、打ち勝つ力がある。自分を信じて仲間を頼れ。一人でできないことも皆で挑めば解決できるものだ」


 だからこそ数は力なのだ。


「よし。出発するぞ」


 生きて幸せになるために、な。

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