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どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
安定期編

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225/225

225 ハードモード

 出発の準備は二日くらいで用意できた。


 途中に築いたロザンガの町があるので荷物もそんなにいらなく、往来も多くなったので道もよくなった。


 これまで橇だったが、道がよくなったことで荷車に切り替えている。オレのサイズに合わせた荷車も作ってある。


「結構載せるな。ロザンガの町、なにかあったのか?」


 オレが曳くからと山盛りに荷物を載せてきた。


「いえ、往来が増えたのでそこに住む者も増えて塩や食料が不足しているのです。レオガルド様が向かうなら運んでもらいたいのです」


 へー。そんなことになってたのか。まあ、人口は増えているし、分散してくれるなら住宅事情も解決してくれる。マイノカも人が増えているからな。


「レオガルドさんは、そんなことまでするんですね」


「そんなこと?」


「荷物を運ぶことですよ。守護聖獣が家畜みたいなことしていいんですか?」


 まあ、確かに守護聖獣が荷物を曳くとかあり得んわな。


「今は国民と近い立場にいるほうが纏まりやすいんだよ。偉そうにふんぞり返っているのも暇だしな」


 恐れられるのも敬られるのもほどほどがいい。孤独になるのはもう嫌だからな。


「翡翠は神のように崇められるほうがいいか?」


「……嫌かも……」


「前にも言ったが、自分の居場所は自分で作れ。オレたちは獣として生まれたんだからな」


 人化なんて便利なものはない。この姿で生きていかなくちゃならない。なら、この姿を受け入れてもらえるように生きるしかないのだ。


「生き難いですね」


「それはどんな種族でも同じだよ。生きやすい地もないさ」


 この世界じゃ人間に生まれたとしてもハードモードだったことだろうよ。


「自分の居場所を作り、自分の生き方を見つけろ。こうして生まれてしまったんだからな」


 嫌なら他の命に食われたらいい。他の命を支えるために生まれてきた意味はできるだろうからな。


「……厳しいです……」


「この世にイージーモードはない。諦めろ」


「……はい。なら、わたしも持ったほうがいいですか?」


「お前には背中に羽があるからな。てか、歩くの大変じゃないか?」


 足の爪が鳥と同じだ。それでいて人間のように歩いている。道からは外れているから抉れても問題はないがよ。


「そうですね。爪の隙間に土が入ってくすぐったいです」


 そういうものなんだ。


「間接とかは痛くないんだな?」


「はい。痛くはないです」


「なら、しばらく歩いてみろ。我慢できなくなったら飛んでもいいから」


 歩けるなら歩いて向かってもらおう。翡翠は感じからSランク。その存在を示せば肉食系の獣は寄ってこなくなるからな。


 オレと翡翠がいるので獣は寄ってこないのはいいのだが、それはオヤツがないと同じこと。食料調達が大変であった。


「レオガルドさん。大きな猪がいました。シシ○ミですかね?」


「よくいる猪だ。食えるのか?」


「はい、食べれます。実は一匹食べてきちゃいました」


 少しずつ野生が出てきているようだな。ちょっと前は食べるのに躊躇してたのに。


「レオガルドさん、食べます?」


「いや、オレは草食系は好みじゃなく、肉食系が美味いと感じるんだよ。特に熊は好きだな。見つけたら捕まえてくれ。オレは猪を見つけたら捕まえてくるからよ」


「わかりました。あ、でも、一回食べてみていいですか? わたしもなに食べれるか知りたいので」


「構わないよ。獣はすぐ増えるからな」


 食い尽くしたらかと思っても一年もすれば元に戻っている。まったく不思議なものだよ。


 交代でエサ探しに出ながら二日くらいでロザンガの町に到着。やはり道がいいと早く到着できるんだな。


 とは言え、辺りは真っ暗。火を焚かないと歩けないがな。


「ギギ。あとは任せる。オレたちはエサ探しに出てくるから」


 さすがに獣だけじゃ腹は満たされない。五トンくらいないと明日の朝まで持たないよ。


「わかりました。お気をつけて」


 ロザンガの町を一週してから翡翠と一緒にエサ探しに出た。


 ムム。あっちに肉食系モンスターの気配。これは猿系だな。今日はあれにするとしよう。


「翡翠。わかるか?」


「はい、わかります。大きなゴリラっぽいのが数匹います」


「じゃあ、狩るぞ」


 そう言って今日の獲物に襲いかかった。


 お互い一匹ずつ狩り、一緒にいただきます。うん。まあまあかな。


「どうだ?」


「さっぱりしてて美味しいです」


「やはり翡翠の舌は草食系が好みっぽいな」


 ミディアと同じ味覚だな。


 ゴリラは四メートルくらいあったので、七分目にはなった。もう一匹いけるかな?


「もうちに食べたいですね」


 量的にはオレと同じなようだ。


「じゃあ、半分こずつ食うとするか」


「はい。そうしましょう」


 サクッと狩って上半身は翡翠。下半身はオレが食った。


「お腹いっぱいです」


「そうだな。この満腹感が幸せと感じるよ」


「わたしもです。人間だった頃には感じなかった幸福感です」


 きっと本能が満足しているんだろうよ。


「ちょっと眠くなりました……」


「オレが見張っているから休んでいいぞ。まだ警戒しながら眠ることはできないだろうからな」


 オレは眠っていても獣が近づけばわかるくらいにはなっている。翡翠が熟睡しても問題はない。


「じゃあ、お願いします……」


 と、丸まって眠ってしまった。


「……一人前になるのはまだまだ先だな……」

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