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どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
黎明期編

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22 そっちかい!

 旅は順調だ。


 ゼルム族は下半身が馬なだけに進みは馬並みだし、人間の女はオレにギギとギギと仲のよい少女、他二人はゼルム族の男の背に乗っている。


 人間を下半身の背に乗せることに抵抗があるかと思ったが、野郎は野郎。女を乗せることには抵抗ないようだ。


 ……まあ、オレも野郎は背に乗せたくはないがな……。


「止まれ!」


 先頭を進む案内役の男が槍を掲げると、男たちが周辺を警戒する。


「レオガルド様、ミドールが這った跡がありました」


 ミドールとは簡単に言えばコモドオオトカゲだな。俊敏で肉食で待ち伏せ型のハンターで、ゼルム族の天敵みたいなものらしい。


 案内役の男のそばにいき、這った跡を嗅ぐ。


「古い跡だな。近くにはいない感じだ」


 あいつらは土や草を体に擦りつけてゼルム族の鼻を誤魔化したりするが、オレの鼻を誤魔化すことはできない。半径五十メートル内なら正解に嗅ぎ分けられるさ。


「ただ、これは群れだな。沼地があったら避けて進め」


 さすがに泥の中に隠れられるとオレの鼻でも厳しくなる。あいつら、結構長い時間息を止めてられるんだよな。


「わかりました。少し道を変えます」


 なんてことが度々ありはするものの、モンスターや獣に襲われることはなく、予定より早く七日でミナレアの民の縄張りへと入った。


「話を通してきます」


 数時間も歩けは村に着くと言うところで陣を張り、案内役の男がオレたちがいくことを伝えに向かった。


「ギギ。ちょっと狩りをしてくる」


 オレの食事は現地調達。野営の陣を張ったら出かけるのだ。


 三十分も走ればミナレアの民の縄張りから外れ、モンスターも普通に闊歩している。今日は幸運にも脚長蜘蛛(体は軽トラくらいあり、脚は五メートルくらいある)がいたので、それに決めた。


 最初は見た目的に避けていたのだが、脚を噛ったらびっくりするほど旨かった。


 旨いとわかると見た目も気にならなくなるから不思議である。もうカニが歩いているとしか見えなくなるのだからな。


 オレに気がついて糸を放ってくるが、風で払ってやり、軽い雷を放ってやる。


 雷でショック状態になり、長い脚に力がなくなり倒れた。


「いただきます!」


 R18な食事を済ませて野営地に戻ると、ミナレアの民と思われる男たちがいた。


「どうかしたのか?」


 急に現れたオレにびっくりするミナレアの民に構わずギギに尋ねた。


「どうもゴゴールが現れたようです」


 ゴゴール? って確か、獣人だったか? 縄張り意識が高いとかなんとかの?


 詳細を聞くために案内役の男の元にいく。


「ゴゴールの領域にバルバが出たそうです」


 また名前の知らんモンスターか。オレの知ってるモンスターならいいんだがな。


「どんなのだ?」


「飛べない鳥で、レオガルド様の頭くらいあります」


 飛べない鳥? ダチョウ的なものか?


「狂暴なのか?」


「はい。集団で行動して肉食です。本来なら草原で狩りをしているんですが、雨が降らないことがあるとこちらまでやってくることがあるんです」


 草原とかあるんだ。ここ、オーストラリアくらいある大陸なのか?


「そのバルバとやらにゼルム族は対抗できるのか?」


「一匹二匹なら怖くありませんが、集団となると対抗する手はありません。走るのも同じくらいで、厚い羽根を持っているので槍も通じないんです」


 話を聞いている分にはそんなに強い感じはしないな。中級モンスターくらいか?


「ミナレアの民に被害は?」


 ミナレアの民の男たちに尋ねる。


「バルバの被害はないが、ゴゴールがこちらの縄張りに入ってきて何度か争いになって死んだ者もいる……」


 まあ、原始的な暮らししてたら殺し合いしか解決法はないだろうよ。


「こちらはそちらの問題に口出すことはしないが、バルバがきたらオレが狩ってやる。それより、こちらは布が欲しい。塩や道具と交換して欲しい。話を通してくれ」


 ゼルムは種族より民を重要視する。こちらが首を突っ込むつもりはない。民の問題は民で解決するのがゼルム族のやり方らしいからな。


 ……ただ、民と認めたら人間でも受け入れられるんだから、他の種族よりは順応性があるんだよな……。


「わかった」


 交流をしていたお陰で断られることはなく、朝になってからミナレアの民の村へと入った。


 他の民とも交流があるからか、ミナレアの民の村は大きく、三百人くらいいそうだ。その中には人間が何人かいて、こちらを不安そうに見ていた。


「ギギ。人間が声をかけてきてもついていくなよ。絶対に一人になるな」


 他の女たちにも言っておく。女だけ連れてきたのは失敗だったかもな。


「どうしてですか? ミナレアの民とはいい関係を築けてますよ」


「ゼルム族ではなく人間に注意しろと言っているんだ。連れ去られるかもしれんからな」


 すっかり忘れていた近親婚の問題を。


 ここに何人の人間がいるかわからんが、おそらく二十人もいないだろう。もっといるならまばらにいたりはさせない。いないからまばらなんだろう。


「ミレナーの女衆。ギギたちを守れ。無理矢理に連れ去ろうとするなら殺せ。オレが許す」


 ミナレアの民と断絶するのは惜しいが、ギギを守るためならスッパリと切る。ミナレアの民などいらんわ。


「わかりました。皆、いいね?」


 ゼルの下の妹──ルゼが他の者たちに強く言いくるめた。


 娯楽がないと夜のレクリエーションに励むようで、ゼルのところも五人兄弟なようで、二男三女の家庭らしいよ。


 オレの体だと村に入ることはできないので、商売はギギたちに任せ、オレと男数人とでミナレアの民とゴゴールが争った場所にいってみることにした。そこにはバルバも現れるとのことなので。


 昼頃に境界線(?)辺りに到着すると、バルバ数匹とゴゴールが戦っていた。


「そっちかい!」


 狼男的なケモノ度の高いのを想像してたんだが、そこで戦っているのは人間度が高く、犬耳とフサフサの尻尾を振るフレンズな獣人だった。


 ほんと、統一性のない世界だよ!

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