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どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
安定期編

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197/225

197 農業村レオノール歴18年 秋

 久しぶりに守護聖獣三匹がマイノカに揃った。


 まあ、ちょくちょくやってきてはいたが、オレらの腹を満たすモンスターはマイノカ周辺にいない。


 草食系モンスターはいるし、保護区のミゴル(マンモス)も増えている。だが、オレとチェルシーの好みは肉食系モンスター。三日も草食系モンスターを食べると飽きるのだ。


 そのため、チェルシーは主にブランボル方面で狩りを行い、ミディアはミナレア方面で狩りをすることに決めている。


 もちろん、そこばかりで狩りをしてたら獲物が減るので場所を交換して生態系を守ってるよ。


 オレは他の二匹より食えるものは多いので、海にいったり遠出したりしているよ。


「レオ様。農業村に灰色の熊が現れたよ。どこからか流れてきたみたい。子もいたから長いこと住み着いているんじゃないかな?」


「お、それは嬉しい報告だ。ギギ。久しぶりに農業村までいってみるか」


 季節は秋になろうとしている。収穫が始まる前に周辺の獣を狩っておくか。


「はい。お手伝いとして巫女を十人くらい連れていきましょう」


 そうだな。巫女たちには国を知っておいてもらいたいしな。


 巫女には人間もいるので、まずは農業村までの道を守護聖獣たちで整えるとするか。


「ちょっと通らないとすぐ埋もれるな」


 この大陸の草木の復元力は異常だ。十日も通らないと草木が生い茂り、道がなくなってしまうのだ。


 オレも雷を放って大地を焼くが、それでも三十日くらいで復元してくるよ。


「レオ、熊だよ!」


 後方を地固めしてミディアが叫び、振り返ったときは熊の姿はなかった。素早いな。


「ちょっと捕まえてきてくれ」


 オレは今、微弱な雷を放って周辺の蟲を追っ払うのに忙しいのだ。


「ガゥ」


「どうした、チェルシー?」


 レブを連れてきてないからお前がなに言ってるかわからんのよ。ただ、チェルシーはオレの言葉は理解しているようで、尻尾を動かした。


 その先にはビノード(通常サイズの虎)がいた。


「おー。久しぶりに見たな。なかなか肥えたヤツじゃないか」


 何年振りだ? 軽く十年は見てないんじゃないか? いつの間に戻ってきたんだ?


「チェルシー。狩ってきてくれ」


「ガゥ!」


 ミディアが狩ってきた灰色の熊とチェルシーが狩ってきたビノードをいただく。なかなかいい味だ。この辺は獣のエサが豊富なのか?


「お前たちは食わないのか?」


「熊は好きじゃない。そいつもチェルシーみいで食う気になれない」


「ガゥガゥ」


 まあ、それぞれ好みは違う。じゃあ、この辺はオレのエサ場とするか。


 農業村まで道を整えたらマイノカへ戻り、ギギたちを連れて農業村へ向かった。


「ようこそいらっしゃいました」


 農業村の村長でベイガー族の長であるリドリルと……家族が迎えてくれた。


「お前の子たちか?」 


 そして、左右にいるのは嫁さんたちか?


「はい。今年産まれました」


「そうか。子だくさんでなによりだ。と言うか、ライザーの兄弟か」


 そのライザーは弟や妹がいたことにびっくりしているがな……。


「オレたちのことは構わず収穫を行ってくれ。オレらは村周辺を見回ってくるから」


「あたしもいく!」


 巫女となったビズがオレの頭に乗ってきた。


「まずはレブとチェルシーはエサ探してこい。ミディアとライザーは村を歩き回ってくれ」


 オレらの臭いを村中に広めておく。オレらのテリトリーだと知らしめるためにな。


「ここには湖ないの?」


「湖はないが、小さな沼ならあるぞ。ナマズでも狩るか」


 沼は結構どこにでもあり、いったいどこからきたんだと疑問に思うくらいなにかが住み着いていたりするのだ。


 特にナマズは大体の沼にいて、巨大化してたりするのだ。もしかして、陸地に上がって移動するのか?


「こんなところになにか住んでるの?」


「おお、いるぞ」


 沼に片足突っ込んで雷を放つ──と、巨大なナマズが一匹浮かんできた。


「沼一つにナマズ一匹しか住まないのか?」


 出てきたのはビズを丸飲みできそうなナマズ一匹だけ。ここのナマズは縄張り意識が強いのか?


「レオがレド、早く食べようよ!」


 謎触手を絡ませて引き揚げ、爪で切り裂いてやった。


「ちょっと固いけど、これ美味しい!」


 ビズはどちらかと言うと、淡白な魚を好む。ナマズは好みのようだ。


「土産に持ってってやるか」


 魚はあまり食ってないだろうからな。たまには淡白な魚でも食わせてやろう。


 他の沼にいってナマズを捕まえて帰ると、ミディアが灰色の熊を五匹も狩ってきていた。


「村の近くに巣を作っていました」


「他にもいたけど逃げちゃった」


 おいおい。危機一髪だったのか? 収穫のときにきてたら被害が出ていたのかもしれんな。


「ありがとうな、ミディア、ライザー」


 謎触手でお互いの頭を撫でてやった。


「今度はお前たちがエサを狩ってきていいぞ」


 ミディアは草食系モンスターを好むからこの辺ではエサに困らない。すぐ見つけるだろうよ。


「じゃあ、いってくる。ライザーは残ってていいよ」


 そんな気遣いができるようになってるとか、ミディアも成長したものだ。


 駆けていくミディアを見送り、おやつに灰色の熊を一匹だけいただいた。うん。美味い美味い。

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