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どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
発展期編

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194 帰還

 少し休んだらサエギリの樹へ戻った。


「キケーラは倒した」


 そう報告すると、歓喜の声──と言うには超音波なものに耳が痛くなる。顔や体は人に近くても鳥(?)の体が主なようだ。いや、鳥が超音波を出せるから知らんけどさ。


「少し疲れたから眠る。移る用意をしておけ」


 苦戦したわけじゃないが、空中戦をしたことで呪霊をたくさん使った。腹を満たす前に霊力を回復しよう。


 サエギリの樹の下で伏せ、一秒もしないで眠りへついた。


 ──レオガルド。


 頭にマドの声かした。え? 呪言か? オレ眠ってるよね?


 え、あ、どうした? 


 我ながら器用だな~とか思いながら返事をする。


 ──竜を倒したな。


 あ、ああ。見ていたのか?


 ──呪眼で見ていた。感謝する。これで仲間が襲われずに済む。


 役に立てたのならなによりだ。体力を回復させたらそちらに向かう。それと新たな眷族を仲間にした。連れていくので海面に出れる者を用意してくれないだろうか?


 ──わかった。ラダーレンの仲間を呼ぼう。きたらまた呪言を送る。


 それでマドの呪言が途絶え、オレの意識も途絶えた。再び覚醒したらすっかり夜となっていた。


「……腹減ったな……」


 のっそりと起き上がり、大きく伸びをする。


 ハーピーたちは眠っているようで、サエギリの樹は静かなもの。風に吹かれて葉が鳴っているくらいだ。


 起こさないようにその場から離れ、獲物を探すことにした。


 キケーラを倒したからか、なにか空気が違う。特異種は環境すら変えてしまうのだろうかね?


 獲物──火竜の臭いを発見。忍びよると、崖の中腹に巣を作って眠っていた。


 捕食者の余裕からか、堂々と眠っている。オレとキケーラとの戦いがあったことを知らないのか? 危険なものが近づいてますよ~。


 サクッと火竜を倒して美味しくいただいた。


 オレと同サイズだが、腹を空かしていたからペロリと食べられた。


「……将来、食い物がなくなったらここに引っ越してくるしかないな……」


 レオノール国が発展していけばモンスターは減っていくだろう。そうなれば大陸の奥にいくか草食系モンスターを増やすしかない。


「……いつか、オレは邪魔者になるのかな……」


 それは悲しいことだが、食糧難になればたくさん食うオレはレオノール国の負担となるだろう。まあ、オレが生きている間にそれがくるかはわからないが、そうなる日がくると心に止め、覚悟しておこう。


「ギギがオレの側からいなくなる日まで、オレはレオノール国の守護聖獣として生きていこう」


 永遠の命など願ってはないし、欲しいとも思ってない。ギギを幸せにできたらオレの一生はそれで満足だ。


 なんてセンチメンタルになるのはギギ成分が不足しているからだろう。またギギの側で充填しないといかんな。


 朝になりサエギリの樹に向かい、出発の準備を眺めた。謎触手ではハーピーたちの籠を編むことができないんでな。


 三日ほどで移住する者たちが入る籠ができ、強度を試し、多少の揺れでは解けたりしないことを確認した。


「あ、そうだ。キケーラの鱗でも持っていくか」


 ハーピーたちを運んでくれる者を呼んだのだからオレの背中はあくんだから鱗を持ち帰るとしよう。ちょうど盾になるサイズだ。人間の兵士にでも持たせてやろう。


 ハーピーたちに集めさせ、蔦で編んだものに詰め込み、籠を背負ってバランスを調整させた。


 準備が調った頃、マドが呪言を送ってきたので海へ向かった。


「ラダーレンの仲間、サイザルムだ」


 白い龍が顔を出したが、ラダーレンとの違いがわからない。ただまあ、ラダーレンよりは弱いのはわかった。


 ……判断基準が獣だな……。


「よろしく頼む」


 わかったとばかりに陸へと上がり、その背を出した。


 籠をサイザルムの背中(龍ってどっからどこまでが背中なんだろう?)に籠を取りつけ、落ちないようさらに蔦で固定した。


「レオガルド様。この者たちをお願いします」


 残留組が集まり、移住組の者らと別れを惜しんでいた。


「ああ、任せろ。お前たちも生き延びられるなら生き延びるんだぞ。またオレがくるかもしれないんだから」


「……はい。レオガルド様がくるのを願っております」


 これが今生の別れとならないことを切に願うよ。


「さあ、帰ろう」


 オレはラダーレンの背に乗り、竜の巣に別れを告げた。


 一度だけ振り返り、残留組を見たらすぐに前を向いた。オレの守るべき者らはこの海の向こうにいるのだからな。

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